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使用の際の効率性: S字型S2M力変換器

HBM製のS2Mのような高精度の変換器(力センサ)を使用すると、多くのメリットがあります。精度クラス0.02のセンサにより、高い機械的余力を備えた力計測チェーンの設計が可能になります。これに加えて、様々な計測タスクに合わせて変換器を柔軟に活用することができるため、経済面でも大きなメリットがあります。

S字型S2M力変換器(力センサ) 0.02の精度クラスを実現しており、このクラスの新しい標準を確立するモデルです。こうした高レベルの精度を達成するためには、変換器の持つ個々の特性をすべて最適に整合させる必要があります。

何が力変換器の精度に影響を及ぼすのか?

ストレインゲージを使用した力変換器では、誤差を以下に示す2種類に分類することができます。:

  • フルスケール値に関連した誤差:
    作用している力とは無関係に特定の出力信号を生成する誤差。例えば、ゼロポイントに対する温度影響 (TCzero)や非直線性などがこれに当たります。vor non-linearity.
  • 実効値に関連した誤差:
    誤差の大きさが評価の時点で作用している力に比例するもの。

多くの場合、TCzero と 直線性 が非常に重要な意味を持ちます。こうした誤差は、フルスケール値(公称(定格)力がすべて作用したときの出力信号)に関連しています。この計測上の不確かさは、計測された力の大きさに関係なく特定の値を示します。

センサの計測範囲の上の方(高い力レベル)で計測値を取得したときには、出力信号の高さと比較して誤差の相対的な比率が小さくなるため、フルスケール値に関連した誤差の重要性は低下します。しかし、同じ力変換器を使用して小さな力を計測する場合は状況が大きく異なり、フルスケール値と比較して誤差の影響が著しく大きくなります。つまり、計測された値が同じものであっても、より小さな力と比較する必要があるため相対的な比率が増大するのです。

直線性および温度に対するゼロポイントの依存度 (TCzero) は、フルスケールに関連のある主な誤差要因です。(精度要件が満たされていることが前提とはなりますが)こうした特性値の改善が行われる毎に、さらに小さ な力に対して力変換器を使用することが可能になってくるので、結果的には、フルスケール値に関連した誤差によって力変換器の許容計測範囲が決まります。フ ルスケールと比較して誤差が小さい場合は、部分負荷範囲における計測の可能性が広がります。

実効値に関連した誤差には常に現在計測中の力に相関した影響が取り込まれるので、小さな力を計測している場合、誤差の量が及ぼす影響が比較的小さくなります。

高精度力変換器の応用分野の拡大

S字型S2M力変換器の場合、フルスケール値と比較すると直線性誤差相対可逆性誤差温度影響が0.02%未満となっており、この機種の持つ最高の精度はユーザーに大きなメリットをもたらしています。これはHBMが高精度の基準を追求していることを示す証拠であり、この高精度は産業用の堅牢設計を実現した通常製品にも上級製品にも採用されています。

変換器をその公称(定格)力の5%で使用している場合、直線性や TCzero に起因する誤差は、作用している力と比較するとほんの0.4%に過ぎません。こうした特性があるため、高精度変換器によって新しい用途が開かれようとしています。さらに、以下に示す理由から小さな力の計測も可能となります。:

  • 部分負荷範囲内で計測チェーンを使用することにより、過負荷許容範囲が広がって信頼性が高まります。それでも重要な計測結果は保証されます。

  • ゼロポイントに対する温度影響が最小限に抑えられるため、同じ力変換器を様々な計測タスクに使用することができます。例えば高い振動帯域幅や剛性といった動的な特性が要求される場合でも、心配せずに高い公称(定格)力を作用させることが可能となり、経済的に大きなメリットが得られます。これらの機械的なパラメータは、公称(定格)力に依存します。高い公称(定格)力を持つ力変換器は大きな剛性を備えているため、共鳴周波数も高くなります。大型のモデルを使用する場合は、相対振動応力も増大します。
感 度従来の力変換器S2M [%]
ヒステリシス0.10.02
非直線性0.050.02
TCzero0.050.02
TCS0.050.02
クリープ0.050.02

表1:計測の不確定性に影響を及ぼす主な要因の比較

計測される力

 500 N 公称 (定格) 力の従来型力変換器の計測不確かさ

S2M/500 N 計測不確かさ
150 N0.62 N = 0.41 %0.18 N = 0.12 %
20 N0.61 N = 3 %0.18 N = 0.9 %
5 N0.77 N = 12 %0.17 N = 3.4 %

表2:従来型の力変換器と比較した、S2M力変換器の実効値に対する総誤差(温度範囲:23~45℃、値は計測された力に対する%で示す)

高精度による生産効率の向上

S2Mのような高精度の力変換器は、用途分野の拡大と製造プロセスの効率化の両面でプラスの効果を及ぼします。これを図1に示します。

X軸は品質管理目的で計測する力Y軸生産される部品の個数を表しています。

生産される部品の分散は、ガウスベル曲線の法則に従って分布します。許容範囲を示す緑色のラインが図上に記入されており、力計測チェーンによる計測の不確かさは、で示したこれらの限界線の左側と右側に見ることができます。

プロセスの評価を可能にするためには、変換器の計測精度を評価する必要があります。合否の評価を実行するには、対象となるコンポーネントが設定ポイントから計測誤差を差し引いた範囲内に収まるときにのみOK(合格)と評価することが可能で、この範囲は図上に青色の斜線で示されています。

計測精度が向上するにつれて、許容される可能性のある部品の個数が増加することは明らかです。言い換えると、不合格となる部品の個数も力計測チェーンの計測精度に左右されることになります。

S2M 力変換器

  • 引張・圧縮において静的・動的計測に最適F
  • 高い正確さ
  • 頑丈で確実
  • 保護等級 IP67
  • 効率的でコスト削減
  • 力計測範囲: 0…10 N ~ 0…1000 N

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