絶縁による計測結果の向上
計測結果の質には、いくつかの要素が影響を及ぼします。一部のアプリケーションでは、電気的な絶縁が大幅な改善のカギを握っています。この資料では、様々なトポロジー(接続形態)を示してそれぞれの利点や限界について考察します。
アプリケーション要件
一般的な計測上の問題点は、大型の機械または生産ラインの例によって簡単に説明することができます。図1は、2つの計測ポイント(この例では製紙工場内の2台のモニタ)が互いに50メートル離れている状態を示しています。ユーザーは計測システムをそのちゅうかんに設置し、2つの計測ポイント間をケーブルで接続させる可能性が高くなります。
一般的に、両方の被試験体(DUT)はアースに接続され、データ収集システム(DAQ)もその主接続部によってアース接続されます。ユーザーはそれぞれのアース接続の電位が全く同じであると仮定するかもしれません。
しかしこの仮定は、残念ながらいつも正しいとは限りません。その主な理由は、負荷の切り替えと不適切なアース接続(ワイヤの直径が小さすぎる、接続が悪いなど)との組み合わせです。異なる計測ポイントにおけるアース接続の電位は、短時間だけ変化する可能性があります。
そうした違いは短時間だけ発生するものであり、たった数ボルトの電位差ではありますが、それでも影響はかなり顕著なものとなります。
電位の異なる2つの点を低インピーダンスのケーブル(計測用ケーブルなど)で接続している場合、2点間に電流が流れて電位差が均等化されます。電圧差がたった1ボルトで計測ケーブルの抵抗値が0.1オームであると仮定すると、10アンペアの電流が流れます。
設置ループと呼ばれるこの現象は、計測機器やDUTを損傷させる可能性があり、さらには微妙な計測値と干渉する場合もあります。
外付け絶縁アンプ
最もシンプルな解決方法は、絶縁されたセンサを使用するか、またはセンサと計測システムの間に絶縁アンプ(図2を参照)を取り付けることです。これで設置ループが解消されます。
その利点とは、既存のDAQシステムの継続使用が可能であることと、比較的安価な、モジュール式で用途の広い、メーカーや仕様の異なる市販の絶縁アンプを利用できることです。
制限
基本的に、外付けの絶縁アンプには3種類の制限があります。
第1に、携帯用アプリケーションの使いやすさという意味では、主電源への接続が必要な追加ボックスの扱いが制限となります。(故障の発見、予防保守作業など)
第2に、アナログ帯域幅、絶縁電圧、および精度の仕様が、計測チェーンの全体的な信号品質の観点から制限要素となります。
第3の制限は、絶縁アンプでは長いアナログ信号経路の影響を解消することはできないという事実です。したがって、前述のアプリケーションでは電磁環境を考慮しなければなりません。
浸入電流および切り替えるべき誘導加重が高くなるほど、発生する傷害も大きくなります。長く延びた計測ラインがアンテナとなってあらゆる種類の電磁エネルギーを受け取ってしまい、それが計測信号の中に現れます。
内部的な絶縁
使い勝手を改善して信号品質を向上させるには、DAQシステムに絶縁を組み込む方法があります(図3参照)。
このソリューションは、メンテナンス作業に使用する携帯用の計測機器で使用されることが多く、より先進的なDAQシステムでも使用されます。
スタンドアロンの外付け絶縁アンプは、数kHzから最大で約50kHzまでのアナログ帯域幅を提供するのが一般的です。この帯域幅は使用する技術によって決まります。
内部的に絶縁されたアンプでは異なる技術を使用しており、最大で数百kHzまでの帯域幅をカバーすることができます。
外部的な光ファイバ絶縁
長い信号線を有害な電磁環境内におく場合に起きる問題については、基本的に2種類の対処方法があります。従来式のアプローチは、より高品質のケーブル(二重、または三重シールド)およびシールド付きのケーブルダクトを使用し、さらにケーブルを傷害源から話して敷設する方法です。
第2のアプローチは、光ファイバ絶縁システムを使用する方法です(図4を参照)。こうしたシステムでは、外付け絶縁アンプによく似たアナログイン/アナログアウトのアーキテクチャ(図2)を提供しており、絶縁バリアを通してアナログの入力信号を送信し、出力もアナログ信号になります。
似ているのはここまでで、残りのほとんどの部分は異なります。光ファイバ絶縁システムは、計測ポイントの近くに取り付けた電池式のフロントエンドから構成されています。これにより必要なアナログ信号パスが非常に短くなるため、電磁傷害の影響が大幅に低減されます。
このフロントエンドの送信機(Tx)は、入力アンプとアナログ/デジタル(A/D)コンバータから構成されています。ここで計測信号がデジタル化され、その情報がDAQシステムの近くに取り付けた受信機に送信されます。
データは受信機 (Rx) 内のデジタル・アナログ・コンバータによって処理され、アナログの出力信号として再構築されます。計測目的の光ファイバ絶縁システムは、最大で約20MHzのアナログ帯域幅を実現しています。
こうしたシステムは、主として既存の計測システム(オシロスコープ、トランジェントレコーダ、DAQシステム)に絶縁機能を追加する目的で使用されます。
内部的な光ファイバ絶縁
2種類の外部絶縁ソリューション(図2と図4)に共通しているのは、アナログ入力信号からアナログ出力信号が生成され、この出力信号がDAQシステムのアナログ入力に供給されるという点です。
計測値の精度を維持するために重要な仕様がいくつかあり、またユーザーは、全体的な不確かさを考慮しても計測チェーンがアプリケーションの要件を満たしていることを確認する必要があります。現場の計測(傷害の検出や予防保守など)では、これが主要な要素になることはほとんどありませんが、認証や研究の用途ではこれが重要な要素の一つとなります。
こうした用途では、計測の不確かさを可能な限り低くするよう求められる場合が多くなります。
図5に、これらのアプリケーションに対する一つのアプローチを示します。この例では、光ファイバ絶縁システムの受信機(Rx)は直接的にDAQシステムに統合されています。
デジタルで送信されたデータはそのまま保存されます。アナログ信号として再構築されないため、再度デジタル化する必要もありません。
これによって全体的な精度が大幅に向上し、計測チェーンの不確かさも提言されます。
何がベストか?
最高の技術とは何なのでしょうか?この質問は、以下のように言い換えることができます。「どの接続形態が自分の要件に最もよく適合するのだろうか?」 性能レベルは必要な労力と共に向上し、それが価格にも反映されます。
最初に答えるべき重要な質問として、DAQシステムは交換が必要なのか、それとも再利用しなければならないのかという問題があります。次に、絶縁の目的も明確になっていなければなりません。これには人員の安全や設置ループの解消、また電位に関する計測を可能にするための高い絶縁電圧だけでなく、計測ポイントとDAQの間でのブリッジまでの距離などが関わってくる可能性があります。The
最後に、アナログ帯域幅、精度、および計測の不確かさに関わる必要条件についても明確に定義しておく必要があります。評価の最終段階は、定義済みの必要条件を満たすことができるように調査結果を調整することです。
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