トルク計測 原理と使い方 -「HBMトルク変換器の仕様用語」

精度等級 (Accuracy class)

HBM 社製 トルク変換器 が示す精度等級 (Accuracy Class) は、次の4つの特性の中で偏差が最も大きい特性の偏差の値で表します。よって、これらの特性の偏差は精度等級と同等かそれ以下となります。尚、感度公差 (Sensitivity tolerance) はこの中に含まれていません。

精度等級 (Accuracy class) に含まれる4つの計測特性 (Metrological properties) は以下の通りです。:

  • ヒステリシスを含む非直線性 dlh
  • 繰り返し性 σrel
  • ゼロ点に対する温度変化10Kあたりの温度影響 TK0
  • 感度に対する温度変化10Kあたりの温度影響 TKc

2つ以上の出力を持つ変換器 (例:周波数出力及び電圧出力) の場合、これらの中で最も偏差の小さい出力で精度等級を決定します。

尚、精度等級は DIN 51309 又は EA-10/14 で規定されたクラス区分 (Classification) とは異なります。

精度等級と総合精度

精度等級 (Accuracy Class) は、HBM社製トルク変換器の製品幅内での精度の目安として使われることを目的としており、実際の使用方法、使用環境などを考慮して算出する総合精度 (Overall accuracy) とも異なります。

例:

T10F トルクフランジには、計測範囲 100 N·m から 10 kN·m までのそれぞれの定格に、オプション"S"(標準バージョン)、オプション"G"(ヒステリシスを含む非直線性が優れたバージョン)があります。

仕様書(Datasheet)を見ますと、オプション"S"は 「ゼロ点に対する温度変化10Kあたりの温度影響 TK0 」 が±0.05%、 「感度に対する温度変化10Kあたりの温度影響 TKC 」 は±0.1%、 「ヒステリシスを含む非直線性 dlh 」 も±0.1%です。以上の中で最後の2つが±0.1%で他の値より大きいため、精度等級は0.1となります。

これに対してオプション "G" は、「ヒステリシスを含む非直線性 dlh 」 は±0.05%と小さくなりますが、 「感度に対する温度変化10Kあたりの温度影響 TKC が±0.1% であるため、精度等級は0.1となります。

精度等級だけで見ますと、オプション "G" の利点がわかりにくいですが、 「感度に対する温度変化10Kあたりの温度影響 TKC 」は、公称トルク値に対するものではなく、測定値に対する偏差であるため、限られたトルク範囲内で測定を行う場合は偏差が少なくなり、オプション"S" より高精度の測定ができます。


感度 (Sensitivity C)

感度は、ゼロトルクと公称トルクに対する変換器出力のスパンです。HBMトルク変換器の試験成績書(Pruefprotokoll)には、時計方向反時計方向2つの感度が記載されています。

 

Fig. 1: 感度と公称トルクの関係

 

感度 (Sensitivity C) は、特性曲線の傾斜により表されます。特性曲線は、 変換器 が設置状態でトルクがかけられていない時の初期トルク値 (initial torque signal SM0 ) と、負荷トルクを増加し公称トルク(Nominal Torque Mnon 時の出力(output signal Sn  を結んだものです。よって、感度は次式で求めることができます。

C = Sn − SM0

公称トルクと感度の組み合わせ(ペア)及び任意のトルクとその時の出力値のペアの2つのペアが得られれば、 アンプ の設定を行うことができます。通常、第2のペアは、ゼロトルクとゼロトルク時の出力値である初期トルク信号(initial torque signal SM0 ) です。 (例:出力信号 = 初期トルク信号)

定格感度 (Nominal sensitivity)

定格感度 (Nominal sensitivity Cnom ) は感度の定格値です。一般的に、定格感度は時計方向トルクと反時計方向トルクで同じ値となります。

定格トルクは、トルク変換器の型式及び計測範囲毎に決定される特性で、変換器個々の実感度 (Actual sensitivity) は、仕様書に記載された定格感度の公差範囲内にあります。

感度公差 (Sensitivity tolerance)

感度公差 (Sensitivity tolerance dc ) は、定格感度に対する実感度の許容偏差をパーセントで表したものです。

HBM トルク変換器実感度は、出荷前に個々の変換器毎に校正し、試験成績書または校正証明書に記載しております。従って、感度公差は精度等級の決定にあたり考慮する特性には入っていません。


感度に対する温度影響 (Temperature effect on the sensitivity)

感度に対する温度影響 TKc  は、公称トルクにおける、10K(10℃)の温度変化に対する出力値変化(偏差)を表し、感度にも影響しています。数値は定格温度範囲における最大値を表します。

感度に対する温度影響 TKc  (または「感度の温度係数」)は、負荷トルクがかかっている状態でのトルク変換器の出力値に大きく影響を及ぼします。 TKc  を決めるには、それぞれの使用温度において、ゼロトルクの出力値を引く補正をしなければなりません。また、温度は安定した状態でなければなりません。

ここで需要なのはトルク変換器の温度です。HBMで定めている安定した温度状態とは、15分間に0.1K以下の温度変動の状態です。また、偏差はそれぞれの負荷トルクに対応した出力値に TKc  をかけた値になります。負荷トルク公称トルクと等しい場合、出力値は感度と等しくなります。

感度に対する温度影響 TKc  は、特性曲線 (Nominal characteristic curve) の傾きに影響します。(図2参照) これは トルク変換器 が基準温度からかけ離れた温度環境で使用される場合に大きく影響する、特に重要な部分です。しかし、負荷トルクの変動が小さい場合、偏差は出力に対するパーセントで計算されるので、その影響は小さくなります。

一般的に感度に対する温度影響 TKc  とゼロ点の対する温度影響 TK0 は相互に重畳される事に注意してください。

例:

公称トルク1kN・m のトルク変換器の使用を考えた場合、温度影響 TKC ≤ 0.1 % 、基準温度23℃、定格温度範囲 +10℃~ +60℃ です。

トルク変換器を33℃または13℃で使用する場合は、±10℃の温度変化となり、この温度変化による偏差は0.1%以下になります。

このトルク変換器に公称トルクの1kN・mがかかった場合、偏差1N・mになります。しかし200N・mのトルクがかかった場合、偏差は0.2N・mになります。なぜなら、温度影響 TKC は、負荷トルクに対応した出力に対するパーセントで計算されるからです。つまり、温度影響 TKC は特性曲線 (Nominal characteristic curve) の傾きに影響を与えます。同じトルク変換器を43℃で使用する場合、基準温度から+20℃の差があります。この場合、出力には最大で出力の0.2%の偏差が含まれる可能性があります。

ただし、定格温度範囲を超えた、例えば3℃の環境下では適用できません。

ゼロ点に対する温度影響

ゼロ点に対する温度影響 TK0 は、10K(10℃)の温度変化に対する無負荷時における変換器の出力信号の変化を表し、定格感度 (Nominal sensitivity) にも関係します。数値は定格温度範囲における最大値を表します

ゼロ点に対する温度影響 TK0 (または「ゼロ点の温度係数」)は、安定した温度状態において、10K(10℃)の温度変化に対するゼロトルクの出力値の変化より求められます。重要となる温度はトルク変換器の温度です。HBMで定めている安定した温度とは、15分間に0.1K以下の温度変動の状態です。

図2: 感度に対する温度影響 TKC およびゼロ点に対する温度影響 TK0

ゼロ点に対する温度影響 TK0 は、特性曲線(Nominal characteristic curve)が平行移動する特性です (図2参照) 。トルク変換器を基準温度から大幅にかけ離れた温度で使用する場合、この影響は大きくなります。使用温度において、ゼロ調整を行えば、ゼロ点に対する温度影響 TK0 を無くすことが可能です。

一般的に感度に対する温度影響 TKc とゼロ点に対する温度影響 TK0 は相互に重畳される事に注意してください。

例:

公称トルク1kN・m のトルク変換器の使用を考えた場合、温度影響 TK0 ≤ 0.05 % 、基準温度23℃、定格温度範囲 +10℃~ +60℃ です。

トルク変換器を33℃または13℃で使用する場合は、±10℃の温度変化となり、この温度変化によるゼロ点の偏差は定格感度 (Nominal sensitivity) に対して0.05%以下になります。

これは0.5N・mの偏差に相当します。この偏差は負荷トルクに関係なく影響します。例えば同じトルク変換器を43℃で使用する場合、基準温度との差は+20℃なので、最大0.1%の偏差が生まれる可能性があります。

ただし、定格温度範囲を超えた、例えば3℃の環境下では適用できません。


非直線性 (Linearity devation)

最大偏差の絶対値は、負荷トルクを増加していく課程において トルク変換器 の出力が直線近似した特性曲線から乖離した最大偏差で表されます。非直線性は最大偏差の感度に対するパーセントで表します。

非直線性の計算には、ゼロトルク SM0 から公称トルク Mnom まで負荷を増加していく課程(Ascending Series)の出力値を使います。基準直線(Reference straight line)はゼロトルクの出力値 SM0 を通り、プラス側とマイナス側の最大偏差 dlin を均等に配分する最適な近似直線です(図3参照)。非直線性は、この基準直線と実際の出力値の最大偏差で表します。

通常、トルク変換器とアンプ等を接続した計測系(measurement chain)を調整する場合、特性曲線を直線と仮定して調整を行うので、出力に偏差が含まれていることを考慮してください。特にトルク変換器をゼロトルクから公称トルクまでの広範囲で使用する場合、最大の影響が出ることを考慮してください。

図3: 非直線性 dlin

ヒステリシスを含む非直線性 (Linearity deviation including hysteresis)

ヒステリシスを含む非直線性 dlh は、基準直線からの最大偏差(絶対値) dlh を表しています。基準直線は、ゼロトルクの出力値 SM0 を通る最適な近似直線(Reference straight line)です(図5参照)。従って、非直線性とヒステリシスの両方が考慮されています。ヒステリシスを含む非直線性は、感度に対するパーセントで表されています。

ヒステリシスを含む非直線性は、ゼロトルクから公称トルクまでの間で負荷トルクを段階的に増加させた場合と減少させた場合における負荷サイクルの出力値により定義されます(図5参照)。基準直線(Reference straight line)は、ゼロトルクの出力値 SM0 を通り、プラス側(Ascending series)とマイナス側(Descending series)のそれぞれの最大偏差 dlh を均等に配分する最適な近似直線です。

 

図5 ヒステリシスを含む非直線性 dlh

ヒステリシスを含む非直線性は、基準直線に対して上下対称となる偏差幅の半分に相当します(図5参照)。非直線性の定義との違いは、負荷サイクルに負荷トルクを減少させる課程にあります。これがヒステリシスを含む非直線性 dlh と非直線性 dlin の値の違いとなります。

HBMでは、ヒステリシスを含む非直線性 dlh の決定を以下の通りに行っています。:

  • まず 変換器予備負荷(Preload)をかけます。 反時計方向にゼロトルクと公称トルクの負荷サイクルを3回行います。この予備負荷の目的は、接触面の平滑化とボルトの締め付け状態の不安定要素を取り除くことです。
  • 次に、段階的に反時計方向にトルクを負荷し出力値を記録します。測定は1サイクル。負荷トルクのステップは事前に決めておきます。(HBMの製造工程における負荷試験:公称トルク Mnom に対して0 %→ 50 %→100 %→50 %→0 % )
  • 時計方向に予備負荷を行います。ゼロトルクから公称トルクまでの運転サイクルを3回行います。
  • 段階的に時計方向にトルクを負荷し出力値を記録します。測定は1サイクル。負荷トルクのステップは事前に決めておきます。
  • 上述の手順に従い、時計方向と反時計方向のそれぞれについて最適な直線を算出します。
  • 時計方向と反時計方向のそれぞれについて最大偏差が求められます。

一般的にトルク変換器を含む計測系(Measuring Chain)を調整する場合、特性曲線(Characteristic curve)は直線として仮定されるためヒステリシスを含む非直線性は重要な特性です。この特性の影響は、トルク変換器が広い計測範囲で使用された場合に現れます。最も大きな影響が現れるケースはゼロトルクから公称トルクまでの広範囲で使用した場合です

例:

T10FS トルクフランジ は、最大許容の非直線性 dlh が0.05%、定格感度が5kHzです。計測システム最適に調整された場合、ヒステリシスを含む非直線性の影響による誤差は、最悪値で2.5Hzです。


ヒステリシス(相対往復誤差) (Relative reversibility error)

ヒステリシスは、同じ負荷トルクを段階的に増加させた場合(Ascending series)と減少させた場合(Descending series)(図4参照)に見られるトルク変換器出力を意味します。ヒステリシスは、計測範囲内の最大偏差(絶対値)を感度(sensitivity C )に対するパーセントで表します。

この特性は、負荷トルクを段階的に増加させた場合と減少させた場合で得られる特性曲線に違いが現れる現象です。

ヒステリシスは、公称トルクの範囲内で負荷トルクを段階的に数ステップ昇降させる負荷を行い、トルク変換器出力を求めます。

ヒステリシスは、負荷トルクを何段階かに分けて設定し、増加ステップでの出力値と減少トルクステップでの出力値を基に計算を行います。

(例;荷トルク設定:公称トルク Mnom の 0 %、 50 %、 100 %)

ヒステリシスは、負荷トルクの増加・減少過程における出力値への影響を表しています。特にトルク変換器を広い計測範囲で使用した場合に重要になります。最も過酷な計測条件は、ゼロトルクから公称トルクまで負荷トルクが変動する場合です。

一般的にヒステリシスは、負荷トルクが公称トルクの全体に渡って変動する場合よりも、公称トルク内のある範囲内で使用する場合の方が影響が小さくなります。

図4: 負荷サイクルを基に定義されたヒステリシス dhy (負荷トルク:公称トルクの 0 %、 50 %、 100 % Mnom) 

ヒステリシスは計測点(上図では dhy,0 と dhy,50)における最大偏差として表されます。


繰り返し性 (Relative standard devition of repeatability)

繰り返し性(Repeatability)は、同一条件で同一トルクを繰り返し複数回かけた場合に生じる出力値の変動を表します。ただし、測定期間中は、 トルク変換器取付け状態に変化がなく、脱着も行わないことが条件になります。数値は、同一条件で同一トルクを繰り返しかけたときの出力値の平均値からの偏差を表します。

繰り返し性は、DIN 1319 に準拠する繰り返し性として定義され、感度に対するパーセントで表されます。この値は全ての測定条件が一定に保たれている場合に適用されます。もし測定条件に変化があった場合、出力値に系統的な偏差を生じる原因になります。(DIN 1319 に定義された繰り返し性)

繰り返し性は、以下に示す静的な校正方法で検査されています。:

  • トルク変換器に公称トルクをかけます。出力値 S1,100% は公称トルク時の出力値です。
  • 公称トルクの50%のトルクをかけます。出力値 S1,50% は公称トルク時の出力値です。 
  • 公称トルクの50%と100%のトルクを交互にかけます。この負荷サイクルを10回繰り返し、 Si,50%Si,100% の出力値を測定します。
  • 以下の数式に、それぞれの負荷トルクに対する出力値を代入し、相対標準偏差を計算します。(数学的には、ランダムサンプリングによる実験的標準偏差の算出方法です):

繰り返し性を n=10 とし、公称トルクの50%と100%の条件における出力値を求め、下式に基づき測定値の平均値を計算します。

  • 繰り返し性は、 σrel,50% と σrel,100% のどちらか小さい方の値を表します。

例:

HBM の場合、 T10F トルクフランジ の繰り返し性は σrel ≦ 0.03%です。

実際の負荷トルクが公称トルクの範囲内であれば、この値が適用されます。例えば、公称トルクを1kN・mとした場合、上述の条件に従うと負荷トルク500N・mは適用範囲内になります。従って、この場合、繰り返しの標準偏差は、0.15N・m以下と計算されます。

次の例は、繰り返し性ユーザーにとって特に重要である場合の説明です。エンジンテストベンチ試験の目的の中に、電子制御のパラメータ設定が及ぼす性能比較があります。但し前提条件として トルク変換器 の取付状態と環境条件は一定に保たれている必要があります。また、負荷トルク運転パターンは、同一条件の実験では同じでなければなりません。

これらの実験においては、トルクの絶対値よりも実験毎のトルク値の差がより重要視されています。このような状況下で生じるある程度のトルク値の差は、トルク変換器の不確かさ要因の一つである繰り返し性の影響も含まれています。


定格回転速度 (Nominal rotation speed)

定格回転速度は、停止状態から使用可能な回転速度の範囲の上限値です。この値は時計方向および反時計方向の両方に適用できます。

公称(定格)トルク (Nominal torque)

公称(定格)トルク (Nominal torque Mnom  ) は、変換器の各特性が公差を超過しない範囲の上限トルクです。この値は時計方向および反時計方向の両方向に適用できます。

最大許容トルク (Maximum service torque)

最大許容トルクは、測定可能なトルクの上限値です。ただし、公称トルクを超えた部分については、精度等の各特性の公差は仕様値内となる保証ではありません。

 

トルク変換器が公称トルクと最大許容トルクの間で使用された後に、公称トルクまでのトルクで再び使用される場合、ゼロ点信号にわずかなシフトが生じ得ますが、これにより仕様を満たさなくなることはありません。

 

お勧めはできませんが、 HBMトルク変換器最大許容トルクまでの測定に使用することができます。

最大許容トルクは、トルク変換器に内蔵されたアンプの動作範囲などの電気的な特性、あるいは過負荷防止のような機械的な特性によって決定されることもあります。アンプも機械的な過負荷保護を持っていない変換器の場合には、最大許容トルクと限界トルクは同じとなります。

限界トルク (Limit torque)

限界トルクは、変換器の測定能力に永久的なダメージを与えない最大トルクです。

最大許容トルクと同様に、変換器が公称トルクと限界トルクの間で使用された後に、公称トルクまでのトルク値で再び使用される場合、ゼロ点信号にわずかなシフトが生じ得ますが、これにより仕様を満たさなくなることはありません。

 

振動トルクが連続的に入力される場合は、この限界トルクよりも別項目に示す許容振動振幅(Permissible oscillation bandwidth)の方が重要となります。

破壊トルク (Breaking torque)

破壊トルクは、これを超過した時に変換器の機械的な破壊に結びつくトルクです。

限界トルクと破壊トルクの間のトルク値の場合には、変換器に機械的な破壊は生じませんが、永久に使用不可能になるほどの故障を生じ得ます。

図 6: 限界負荷 (Load Limits)


許容振動振幅 (Permissible oscillation bandwidth)

許容振動振幅は、変換器の特性に何らかの変化を引き起こさずに、107回の繰り返し入力ができるサインカーズ状の負荷トルクの最大振幅です。

振幅は振動トルクの最大トルクと最小トルクの差である peak-to-peak 値で表します。

許容振動振幅と同じく、最大トルクの値および最小トルクの値は、規定した上限値及び下限値内にあることが必要で、通常この上下限値(正・負トルク)は公称トルクです。これと異なる場合は、上下限値を仕様書に明示します。

許容振動振幅の概念は、材料の連続振動試験(疲労試験) vibration testing (fatigue testing) について規定した DIN 50100 規格の応力(stress)をトルクに置き換えたものです。

疲労強度 (fatigue strength) を決定するのは繰り返しサイクル数で、繰り返しの主は数が機械的プロセス (mechanical processes) と関連付けられる範囲内にあれば、その周波数の値は重要ではありません。*)

DIN 50100 によれば、鋼材の機械部品の場合は、107回の繰り返し負荷をかけた時これに耐えることができれば、この時の負荷値以下では疲労しない (fatigue proof) と考えられます。

規定した上下限の範囲内にあれば、許容振動振幅は振動トルクがゼロトルク線をを横切らない脈動トルク (pulsating torque) と、これを横切る交番トルク (alternating torque) の両方に適用できます。(図7参照)

図 7: 振動振幅 (oscillation bandwidth) に関する用語

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*) 参考文献: H.-J. Bargel, G. Schulze: Werkstoffkunde (Materials Science), VDI-Verlag GmbH, Düsseldorf, Germany 1988


限界軸方向力 (Axial limit force)

限界軸方向力 (Axial limit force) は、許容される軸方向力(縦方向力)の最大値で、図8の中では Fa で表しています。この限界軸方向力を超過すると、変換器は永久的なダメージを被る可能性があります。

HBM トルク変換器 では、限界軸方向力は測定可能範囲 (service range) の上限に設定しており、軸方向力限界軸方向力を超過しない場合、測定は可能ですが軸方向力によりトルク測定値に影響を与えます。この影響の上限値は仕様書の中に注釈として記載しております。

限界曲げモーメント、許容横力、公称トルクの超過のような軸方向力 (axial force) とは別の異常外力 (irregular stress) が同時に加わる場合は、許容可能な軸方向力は規定した限界軸方向力より小さくなり、限界値を下げなければなりません。

例えば、公称トルクを超過していない場合において、限界曲げモーメント (bending limit moment) の30%及び限界横力 (lateral limit force) の30%の寄生負荷が生じている時は、軸方向力は限界軸方向力の40%だけが許容できます。変動する寄生負荷(parasitic load) が連続的に加わる場合の許容振動振幅の値は、各々の限界値と異なります。

限界横力 (Lateral limit force)

限界横力は、許容される横力の最大値で、図8の中では Fr で表しています。この限界横力を超過すると、変換器は永久的なダメージを被る可能性があります。

HBM のトルク変換器 では、限界横力も測定可範囲の上限に設定しています。横力が限界横力を超過しない場合、測定は可能ですが横力によりトルク測定値に影響を与えます。この影響の上限値も仕様書の中に注釈として記載しております。

軸方向力、曲げモーメント、公称トルクの超過のような横力とは別の異常外力 (irregular stress) が同時に加わる場合は、許容可能な横力は規定した限界横力より小さくなり、限界値を下げなければなりません。

例えば、公称トルクを超過していない場合において、限界軸方向力の30%および限界曲げモーメントの30%の寄生負荷 (parasitic load) が生じている時は、横力は限界横力の40%だけが許容できます。変動する寄生負荷が連続的に加わる場合の許容振動振幅の値は、各々の限界値と異なります。

限界曲げモーメント (Bending limit moment)

限界曲げモーメントは、許容される曲げモーメントの最大値で、図8の中では Mb で表しています。この限界曲げモーメントを超過すると、変換器は永久的なダメージを被る可能性があります。

HBM トルク変換器 では、限界曲げモーメントも他の2つと同様に測定可能範囲の上限に設定しています。曲げモーメントが限界値を超過しない場合、測定は可能ですが曲げモーメントにより測定値に影響を与えます。この影響の上限値も仕様書の中に注釈として記載しております。

軸方向力、横力、公称トルクの超過のような曲げモーメントとは別の異常外力 (irregular stress) が同時に加わる場合は、許容可能な曲げモーメントは規定した限定曲げモーメントより小さくなり、限界値を下げなければなりません。

例えば、公称トルクを超過していない場合において、限界軸方向力の30%および限界横力の30%の寄生負荷 (parasitic load) が生じている時は、曲げモーメントの40%だけが許容できます。変動する寄生負荷が連続的に加わる場合の許容振動振幅の値、各々の限界値と異なります。

図 8: 寄生負荷(Parasitic loads) - 軸方向力 Fa ・ 横力 Fr, ・ 曲げモーメント Mb


基準(標準)温度 (Reference temperature)

基準(標準)温度は、各仕様項目の中に特に記載がない場合、仕様値を決定する周囲温度 (ambient temperature) です。

定格温度範囲 (Nominal temperature range)

定格温度範囲は、 変換器 を使用して測定を行う際、仕様書に記載された精度などの計測特性 (metrological properties) の全てを満足する周囲の温度範囲です。

許容温度範囲 (Service temperature range)

許容温度範囲は、変換器の計測特性に永久的な変化を生じないで使用できる周囲の温度範囲です。

許容温度範囲内ではあるが定格温度範囲を超えている場合、仕様書に記載された精度などの計測特性は保証されません。

保存温度範囲 (Storage temperature range)

保存温度範囲は、変換器に機械的にも電気的にも負荷を加えずに保存した場合、計測特性に永久的な変化を生じない周囲の温度範囲です。

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