非直線性 (Linearity devation)

最大偏差の絶対値は、負荷トルクを増加していく課程において トルク変換器 の出力が直線近似した特性曲線から乖離した最大偏差で表されます。非直線性は最大偏差の感度に対するパーセントで表します。

非直線性の計算には、ゼロトルク SM0 から公称トルク Mnom まで負荷を増加していく課程(Ascending Series)の出力値を使います。基準直線(Reference straight line)はゼロトルクの出力値 SM0 を通り、プラス側とマイナス側の最大偏差 dlin を均等に配分する最適な近似直線です(図3参照)。非直線性は、この基準直線と実際の出力値の最大偏差で表します。

通常、トルク変換器とアンプ等を接続した計測系(measurement chain)を調整する場合、特性曲線を直線と仮定して調整を行うので、出力に偏差が含まれていることを考慮してください。特にトルク変換器をゼロトルクから公称トルクまでの広範囲で使用する場合、最大の影響が出ることを考慮してください。

図3: 非直線性 dlin

ヒステリシスを含む非直線性 (Linearity deviation including hysteresis)

ヒステリシスを含む非直線性 dlh は、基準直線からの最大偏差(絶対値) dlh を表しています。基準直線は、ゼロトルクの出力値 SM0 を通る最適な近似直線(Reference straight line)です(図5参照)。従って、非直線性とヒステリシスの両方が考慮されています。ヒステリシスを含む非直線性は、感度に対するパーセントで表されています。

ヒステリシスを含む非直線性は、ゼロトルクから公称トルクまでの間で負荷トルクを段階的に増加させた場合と減少させた場合における負荷サイクルの出力値により定義されます(図5参照)。基準直線(Reference straight line)は、ゼロトルクの出力値 SM0 を通り、プラス側(Ascending series)とマイナス側(Descending series)のそれぞれの最大偏差 dlh を均等に配分する最適な近似直線です。

 

図5 ヒステリシスを含む非直線性 dlh

ヒステリシスを含む非直線性は、基準直線に対して上下対称となる偏差幅の半分に相当します(図5参照)。非直線性の定義との違いは、負荷サイクルに負荷トルクを減少させる課程にあります。これがヒステリシスを含む非直線性 dlh と非直線性 dlin の値の違いとなります。

HBMでは、ヒステリシスを含む非直線性 dlh の決定を以下の通りに行っています。:

  • まず 変換器予備負荷(Preload)をかけます。 反時計方向にゼロトルクと公称トルクの負荷サイクルを3回行います。この予備負荷の目的は、接触面の平滑化とボルトの締め付け状態の不安定要素を取り除くことです。
  • 次に、段階的に反時計方向にトルクを負荷し出力値を記録します。測定は1サイクル。負荷トルクのステップは事前に決めておきます。(HBMの製造工程における負荷試験:公称トルク Mnom に対して0 %→ 50 %→100 %→50 %→0 % )
  • 時計方向に予備負荷を行います。ゼロトルクから公称トルクまでの運転サイクルを3回行います。
  • 段階的に時計方向にトルクを負荷し出力値を記録します。測定は1サイクル。負荷トルクのステップは事前に決めておきます。
  • 上述の手順に従い、時計方向と反時計方向のそれぞれについて最適な直線を算出します。
  • 時計方向と反時計方向のそれぞれについて最大偏差が求められます。

一般的にトルク変換器を含む計測系(Measuring Chain)を調整する場合、特性曲線(Characteristic curve)は直線として仮定されるためヒステリシスを含む非直線性は重要な特性です。この特性の影響は、トルク変換器が広い計測範囲で使用された場合に現れます。最も大きな影響が現れるケースはゼロトルクから公称トルクまでの広範囲で使用した場合です

例:

T10FS トルクフランジ は、最大許容の非直線性 dlh が0.05%、定格感度が5kHzです。計測システム最適に調整された場合、ヒステリシスを含む非直線性の影響による誤差は、最悪値で2.5Hzです。


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