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燃料の最適化:ディーゼルエンジンおよびユニット全体の効率を向上させる

自動車業界は、従来方式に変わる駆動装置の開発に加えて、従来型の内燃機関の効率のさらなる改善と向上に期待しています。それにはまずディーゼルエンジンの燃料噴射が問題となりますが、それに加えてユニット全体の効率も関わってきます。

効率的なディーゼルエンジン

ドイツ国内で全車両数に占めるディーゼルエンジン車の割合はちょうど50%になっており、ヨーロッパ全体でもこの割合は同様です。

ディーゼルエンジン技術の利点を示す一般的な知識として、ガソリンエンジンに比較して燃料消費量が低いことが挙げられます。

燃料消費をされに低減し、その結果としてさらに排気ガスも減らすためには、高精度の圧力測定が不可欠です。

ディーゼルエンジンにおける燃料噴射

ディーゼルエンジンでは、非常に高い燃料噴射システムの圧力により、燃料を微粒子にまで霧化します。より細かく霧化されるほど、高圧における燃焼プロセスの速度が向上すると同時に、粒子サイズが小さいために排出ガスも低減されます。

ディーゼル燃料噴射を使用した初期の車種の中で、1988年に登場したフィアットCroma TD i.d. の場合、噴射の圧力は約1,000バールでした。最近ではこの燃料噴射圧が2,000バールから2,500バールに達しており、現在も上昇中です。

コモンレール方式の燃料噴射

一例を挙げると、圧力生成が実際の燃料噴射プロセスから完全に分離しているために「アキュムレータ燃料噴射」とも呼ばれるコモンレール方式の燃料噴射装置の開発にも、HBM製の圧力変換器が使用されています。

この技術を使用することにより、高圧アンプが常に燃料を高い圧力レベルに維持します。燃料噴射のタイミングと噴射量はエレクトロニクスで制御します。

P3TCP 圧力変換器シリーズ

高精度の圧力変換器 P3TCP シリーズ は、自動車産業のテストベンチでコモンレール燃料噴射を最適化するために使用されています。

“top class” モデル では、使用精度が 0.1 から 0.2% の間(計測範囲による)になっており、使用可能な圧力範囲は 0~3,000バールです。これは今日の燃料噴射システムとそこに接続されている高圧ポンプの作動レンジにぴったりと適合します。

こうした高精度により、計測結果の再現性が高い信頼度で保証されています。また、内蔵されている(PT100)温度計測機能が確実に温度補正を行います。

しかし、 P3TCP シリーズは、圧力レベル向上の面でもさらなる性能促進を目指しています。 “BlueLine” モデル では、 5,000 ~ 15,000 バールの範囲で最大温度を決定することが可能で、5,000 バールでは 0.25 の精度を実現しています。

“Top Class” と “BlueLine” モデルは両方とも精密な制御が可能なため、ディーゼル燃料噴射の設定を最適化することができます。

ユニット全体を最適化する

エンジンとトランスミッションの開発分野で話題になっている重要な目標とは、ユニット全体のエネルギー効率を最適化することです。これを実現するには、関連するすべてのコンポーネントおよび付属装置のエネルギー消費量を計測学的に決定しなければなりません。

現代の燃焼機関は、トランスミッションだけではなく発電機やエアコンのコンプレッサなどにも動力を供給しています。最適化を可能にするためには、こうした動力供給についても計測学的な記録が必要です。カムシャフト、カムベルト、あるいはタイミングチェーンにおける力の損失も記録して最適化しなければなりません。

例えばクランクシャフトやカムシャフトのような、各ユニットの機械的なインターフェイスにおいてトルクを計測することにより、こうした作業を非常に高精度で実行することができます。

カスタマイズされたトルク変換器

HBMでは、この作業のために 特別にカスタマイズされたトルク変換器 を提供しています。これらの変換器は、ベルトまたはチェーンスプロケットと付属ユニットの間に取り付けられます。結果的に生ずる曲げモーメント、半径方向力、軸力といった寄生負荷は、ほとんど変換器設計によって補正されます。

テストベンチおよびロードセスとにおける有用性

この変換器はコンパクトな超薄型デザインになっており、エンジンをすべて車に取り付けた状態でも、そのままの位置に配置することができます。

したがって、テストベンチとロードテストの両方で使用することが可能になってきています。この変換器の使用温度範囲も、現場試験(酷暑あるいは寒冷な気候での運転)で発生するような極端な温度値にも適合します。

データ転送やローターのエネルギー供給は、遠隔測定システムを経由した非接触のワイヤフリー方式になっています。データは、デジタルまたはアナログのインターフェイスを使用して計測用コンピュータに直接出力することが可能です。

幅広い供給電圧範囲により乗用車とトラックの両方で使用できます。

精度クラスは 0.2%

トルク変換器の精度クラスは、100N・mでの典型的な計測範囲において 0.2% typ. です。

これにより、要件に適合した高い分解能での計測が可能です。変換器の寸法は、取付寸法も含めて、お客様の要求に併せて調整することができます。