チェーン上で計測される力

チェーンは、多くの巻き上げ技術アプリケーションにとって不可欠の部品です。当然ながら、他の巻き上げ装置の場合と同様に、その安全性と関連基準の順守が非常に重要な要素となります。

重量のある荷物を移動する時には、常にその近辺にいる人員は危険に曝される可能性があるからです。したがって、巻き上げ装置用チェーンの製造では品質保証が特に重要です。Ketten Wälder社は、生産システムで使用しているHBM製の計測技術に絶大な信頼を寄せています。

 

Ketten Wälderは、ドイツのオーバーバイエルン(Upper Bavarian)地方のバートエンドルフ(Bad Endorf)という町にあります。同社が生産するチェーンの主な用途の一つが、巻き上げ技術です。

この中堅企業では40人の従業員が働いており、最大で4,000メートルにも及ぶ高品質のチェーンを毎日生産しています。チェーン用の鋼鉄のような基本的な材料の処理工程は複雑なプロセスとなり、すべてのシーケンスが正確に調整されていなければなりません。

 

等級や寸法の異なる原材料は、まずコイラー(巻き上げ機)に巻き上げられます。次に、延伸機で材料を必要な寸法になるまで伸ばします。その後は、チェーン曲げ機でチェーンの個々のリンクが作られます。

ここではリンク一つ一つをきちんと曲げ、それを並べて端から端までつなぎます。次の生産ステーションには最新の溶接機があり、個々のリンクを溶接します。この溶接工程は完全に自動化されています。

 

溶接の継ぎ目の品質を評価するため、転倒圧力や電流フローなどの重要なパラメータが同時に計測されます。次は完全に自動化された工程で、品質等級、追跡可能性コード、製造者マークなどの情報が材料に刻印されます。

その次の工程は、チェーンの硬化および焼き戻しです。それにはまずチェーンを加熱してから、鋼浴槽を通過させて焼き戻し(つまり材料の急冷)を行います。その後、必要な硬度と弾性が得られるまで、材料を再加熱します。.

生産工程内で、チェーンは折り曲げられ、つながれ、端と端が接続されます。
校正機は常にチェーンの短い部分を伸ばし、同時に要求される力を計測します。

製造工程の最終段階に残されている処理は、製品の外観の仕上げです。つまりチェーンの表面処理を行って外観を完成させるのです。Wälder社のチェーンは、ここでピカピカに輝く製品に仕上げられます。

仕上げには、環境に優しいラッカーコーティング、または要望に応じてメッキ仕上げも可能です。Ketten Wälder社では、独自のメッキ工程を開発し、確実に水素脆化を防いでいます

校正機を使用してチェーンを正しい長さに

最終的な表面仕上げを行う前に、チェーンはいわゆる校正機を通過します。この工程では、正しい長さになるまでチェーンを引き伸ばします。つまり、チェーンの各リンクはわずかに変形することになります。

 

同時に、この工程によってチェーンの強度をテストします。チェーンの各リンクは、そのチェーンの公称耐荷重性能の2.5倍よりやや大きな力で変形されます。個々のチェーンリンクのサイズにもよりますが、7個から10個のリンクが引き伸ばされ、同時にそれを校正機でチェックすることが可能です。

この作業を行うために掛けられる力は、チェーンのサイズによって10 kNから200 kNを超えるまでの範囲となります。例えば製造工程で行われたシーム溶接に、しっかりしていない部分が1箇所でもあると、チェーンを伸ばした時にその部分が切れてしまいます。

 

これはチェーンが引き伸ばされた時に発見されるので、必ずすべてのチェーンリンクを対象とした全数検査を実施しています。品質管理手続きの基準ではこれが必須です。巻き上げ用途に使用できるのは、こうして適切な試験に合格したチェーンだけです。DIN EN 818、DIN EN 766、DIN 5684およびDIN 5687の各基準に、上記の条件が規定されています。



校正機内では、油圧シリンダがチェーンリンクを変形させるのに必要な力を生成します。チェーンを正しい長さまで引き伸ばすのに印加される力は、工程の実行中を通じて正確に監視されていなければなりません。前もって設定されている最大張力に到達しない場合は、チェーンが壊れている兆候ですから、校正機が自動的に停止します。

 

Ketten Wälder社の製造部門で開発と工程の最適化を担当している工学修士の(FH) Reimar Bürkmayer氏は、「今まで当社では、校正機にアナログの計測技術を使用してきました。」と報告しています。設定された張力のしきい値に実際に達したのかどうかを、1台のアナログアンプで監視しているのです。

HBMの MP85A 工業用アンプが計測した力信号を内部で解析し、即座に OK/NOK 信号で判定を出力します。

デジタルの計測技術には多くのメリットがあります

Ketten Wälder社では、使用している校正機のうち1台をアップグレードする必要が生じた時に、計測技術を最新のデジタル技術に転換するという決断がなされました。現在、同社では MP85A タイプのHBM製デジタルアンプを使用しています。

 

400 kNの公称(定格)力を持つタイプA  KMRリング力変換器が、油圧シリンダによって印加される力を計測します。この力変換器は高い保護等級IP67に適合しているため、過酷な環境条件下での使用に適しています

ステンレス鋼製のハウジングが環境影響への耐性を高めています。この変換器は形状がリング型になっているため、機械の力の流れに統合させる用途に最適です。力計測値の再現性に優れているので、安全で信頼性の高い結果を確実に実現することができます。

 

MP85Aアンプは、特に製造工程の品質管理アプリケーション向けに設計されたものです。マイクロプロセッサとそれに付随するアルゴリズムを備えているため、アンプ内で計測値の解析まで行います。

アンプがプロセス実行中の力応答を記録し、到達した最大力が所定のウィンドウ内に収まっているかどうかをチェックして、その結果を合否(OK/Not OK決定の基準として使用します。例えば最大力が低すぎたなどの理由でエラーが発生した場合には、アンプが直ちに製造工程を停止させます。

 

Reimar Bürkmayer氏は、「特に重要だったのは新機能を組み込んで校正機を更新したことです。それで力の計測値を記録できるようになりました。」と言って、新しい計測システムが満たすべき主な必要条件の一つを示してくれました。このアンプはEthernetインターフェースを内蔵しており、このインターフェースを使って計測値を制御用のPCに転送して表示することができます。

 

特定のチェーン区間を力で引き伸ばすと同時に、その時の力応答をグラフに表示することで、この工程が正しく実行されているかどうかを明瞭に表示することができます。到達した最大値は、回ごとにデータベースに保存されます。こうした最大値を保存しておくことは、完全な追跡可能性を実現する上で非常に重要です。

力応答をすべて保存することも、それほど難しくはなかったでしょうが、これについてReimar Bürkmayer氏は、「しかし、当社の用途ではその必要はありませんでした。保存するデータの量は最小限にしているので、その度ごとに最大値だけを保存しています。」と説明しています。

力応答が工業用PCのスクリーン上に表示されます。

旧式のアナログ技術を更新する

校正機を更新する必要が生じた時、Ketten Wälder社では、どんな製品が出回っているのかマーケットを十分に通観しました。使っていたアナログ計測技術の中にはHBM製のものもありましたから、関連した新しいソリューションについても問い合わせました。

Reimar Bürkmayer氏は、サプライヤとしてHBMを選んだことについて、「私たちは、様々な会社の提案を1件ずつ綿密に比較してみました。そして最終的にHBMに決めたのです。コストパフォーマンスが一番優れていましたからね。」と語り、決定が正しかったことを強調しています。

 

ハードウェア(具体的には力変換器およびアンプ)と共に、Industry MonitorソフトウェアパッケージもHBMから供給されました。このアプリケーションは、Microsoft .Netに基づいており、力の計測値をTCP/IPによるEthernet経由で工業用PC上に表示します。

 

HBMは、計測値をデータベースに保存するように関連したアプリケーションをプログラミングする作業も担当しました。ソフトウェアはユーザーフレンドリーな入力スクリーンを備えており、校正機で現在処理中のチェーンの種類をリストから選択することが可能になっています。

次に、ユーザーは適切なバッチ番号も入力しなければなりません。ソフトウェアは自動的計測値を保存するためのファイを作成します。こうして、同社から出荷されるすべてのチェーンの品質データを確実に追跡することが可能になります。

 

Reimar Bürkmayer氏は、今回のプロジェクトから得た経験を要約して「個々のアプリケーションのプログラミング作業も、HBMはすべて問題なくこなしてくれました。全体として、大変満足していますよ」、と話しています。Ketten Wälder社にあるその他の校正機にも、次第に最新のデジタル計測技術が取り付けられてゆくことでしょう。

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