ケネディ宇宙センターでの宇宙船の発射を保護する最新の落雷警報システム

ロケットの発射作業中における信頼性の向上

HBMは、自社製のトランジェントレコーダ(過渡現象記録装置)とデジタイザを使用して、フロリダにある ケネディ宇宙センター のために落雷監視システムを設計しました。このシステムによって落雷による損傷の危険性を最小化することで、ロケットの発射などの作業の安全性が向上しました。宇宙船は特に落雷による影響を受けやすいため、ケネディ宇宙センターにとって落雷は非常に恐ろしいリスクとなります。例えば2009年7月には、スペースシャトル・エンデバー号の発射台エリアが少なくとも11回、雷におそわれ、そのうち何回かはライトニングマストと給水塔に落ちました。その結果として発射準備が完了するまでに大幅な遅れが出て、大きなコスト負担となりました。

幾多の要件に対しても、ソリューションは1つで十分

ケネディ宇宙センターのあるフロリダは赤道に近いため、発射位置としては理想的です。つまり、地球の自転力が発射に際して効果的にロケットを後押しする形になるため、宇宙空間に到達するまでの燃料が節約できるのです。しかし残念ながら、フロリダは発射基地としての課題にも頻繁に直面します。その理由は、単位面積当たりの落雷放電の発生率が米国内で最も高いのがフロリダであるからです(フロリダはアメリカの「雷首都」と呼ばれています)。こうした危険性に立ち向かうため、ケネディ宇宙センターでは、落雷保護システムと平行して作動する落雷監視システムが必要になりました。宇宙船の発射プログラムの進行中は、これら二つのシステムがすべての重要ポイント上で有効に作動しなければなりません。宇宙船は、最初に「Vehicle Assembly Building(スペースシャトル組み立て工場)」と呼ばれる巨大な建造物の中で、組み立てられます。完成した宇宙船は「Mobile Launcher Platforms(移動式発射装置プラットフォーム)」と呼ばれる特殊な重量輸送装置に載せられて、発車前の最終準備作業と任務確認が行われる発射台まで輸送されます。

宇宙船は、スペースシャトル組み立て工場を出た瞬間から最終的に宇宙に向かって発射されるまで、常に落雷の被害を受けやすい状態にあります。この期間中は、地域内の落雷から誘発される電気的過渡現象によって問題が発生する可能性があるので、そうした問題の発見を支援するため、宇宙船の中と外にある数多くのポイントを継続的に監視することが重要です。

これを実現するため、HBMがケネディ宇宙センター向けに開発したシステムは、120もの計測ポイントで誘導電流と誘導電圧を計測するものでした。多数のポイントを監視することにより、高い誘導電流が発生している場所を特定することが可能になり、さらに損傷が起きているかもしれない場所も決定できます。落雷監視システムを開発する時は、多くの要素を考慮する必要がありました。ケネディ宇宙センターでは平均周囲温度が高く、華氏90度(摂氏32度)を超えることもしばしばです。同時に湿度も非常に高く、監視システムは腐食と湿気に対して非常に高い耐性を備えていなければなりません。もう一つの要素は、宇宙船の発射時に発生する大きな衝撃と振動により損傷を受けるリスクが非常に高いことでした。したがって監視システムは、特定の標準的な軍事仕様を満たす必要があります。さらに、送信器の入力をDC(直流)のみとする点も非常に重要だと考えられました。これによりバッテリー稼働が可能となるため、落雷がすぐ近くで起きても完全な絶縁が達成されます。これと同様に重要な点は、監視作業を継続するため、嵐が通過したら、送信器上の遠隔操作の出力スイッチを使用してDC充電回路内でバッテリーの充電状態を維持するように切り替えることです。こうしたケネディ宇宙センターの要求をすべて満たすために選択したソリューションは、

HBM製の Genesis HighSpeed HBM製のGenesis HighSpeedとPerceptionソフトウェアでした。これは箱から出してすぐに使える高分解能DAQシステムで、最大で64のチャンネルを、25 MHzのバンド幅を使用する一つのメインフレームで監視することができ、最大100 MS/sまでの記録性能を備えています。さらに、どのチャンネルからもウィンドウトリガが可能になっています。

テストポイントに装備された機器には、14ビットの分解能と25 MHzのバンド幅で100 MS/sの送信速度を実現する7600光ファイバ送信機が1台含まれていました。この送信機は、ステンレス鋼304(ミズーリ州セントルイスにあるゲートウェイアーチに使用されているものと同じ材料)のハウジングに収納されています。この材料は、通常のステンレス鋼のように簡単に錆びたり腐食したりすることがありません。多くの計測ポイントをつなぐために12 kmもの長い距離が必要だったため、光ファイバケーブルが選択されました。HBM製の機器は、800 mを超える距離でも0.1%の最大測定限界精度を持っており、さらにクロスチャンネルスキューを防止すると同時に、自動ケーブル長補正というメリットもあります。

Launch pads 39A (front) and 39B (background) at the KSC in Cape Canavaral.
HBM’s Genesis HighSpeed GEN16t ultra-high speed data acquisition system.

HBM製のPerceptionソフトウェアを使用した、リアルタイム表示、ナビゲーション、解析など

すべてのサンプルポイントがIRIG(射程間計装グループ)タイムコードに同期されているため、光ケーブルの長さとは無関係に、各チャンネル間、ケネディ宇宙センターにおける他の業務との間で、同期とデータ収集が可能になっています。光ファイバ送信機は、HBM 7600光ファイバ受信機にリンクされています。この受信機は4台までの7600送信機に対応可能で、900 MSの一時メモリを使用したシングルモードの光ファイバ送信を提供します。このシステムによって個々の計測ポイントの絶縁が可能となり、記録システムとは分離してテストすることができます。HBM製のPerceptionソフトウェアを使用することで、落雷監視システムによるリアルタイム表示、制御、解析が可能となり、それと同時に取得したデータを解析および検討するための他の数多くのオプションも使用できます。また、このシステムではマルチモニタ表示も可能で、さらに同期映像再生などの詳細なレポート機能もサポートしています。Perceptionソフトウェアは、ワードやエクセルなどの標準的なMicrosoft Officeアプリケーションとの統合も可能です。さらにこのシステムではStatStreamcディスプレイ技術を利用しているため、何ギガバイトもの大きなデータを数秒で閲覧することができます。また、遠隔制御テスト信号を生成することも可能で、これにより信号パスの検証を行うことができます。さらに、発生したすべての落雷イベントに基づいた、解析や自動レポートの作成といった機能も提供されています。落雷保護システムでは、近くの落雷を遮断して電流を発射台からそらすための金属製のケーブルを、高いタワーで支持しています。こうしたケーブルは、宇宙船から電気をそらすための一連の金属製ワイヤに取り付けられています。試験エリア内では、2基の発射台が保護の対象となっています。発射台39Aは、次世代のスペースシャトル用に設計されたもので、発射台の上に1基のタワーがあり、もう一方の発射台39Bには保護を目的とした高さ180 mのタワーが3基あります。

Source NASA picture: mediaarchive.ksc.nasa.gov/detail.cfm

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