三軸テストセル内にある超高性能コンクリート(UHPC)における変形の進行を度量衡的に記録する 三軸テストセル内にある超高性能コンクリート(UHPC)における変形の進行を度量衡的に記録する | HBM

三軸テストセル内にある超高性能コンクリート(UHPC)における変形の進行を度量衡的に記録する

1. 序文および動機

超高性能コンクリート(UHPC)は、構造的に非常に密度の高い新しいタイプのコンクリートです。その強度は最大で250 N/mm2に達し、ほぼ鋼鉄に匹敵します。最大で一般的なコンクリートの10倍の強さを持っているため、これを使用するには新しい設計コンセプトが要求されます。つまり、従来のコンクリート建造物よりもはるかに軽量な建物が設計の対象となります。

通常のコンクリートと比較した場合、UHPCには構造上の問題に解決策をもたらしてくれるいくつかの材質的な長所や特質があります。そうした解決策の特徴として、コンクリート自体の大幅な軽量化、そして「開放的な構造」があります。その一方で、こうした開放的な構造物は、通常のコンクリート建造物と比較して動的励起や疲労荷重の影響をはるかに受けやすくなります。

UHPC構造体においては、ロッド形状の部材には主として一軸性の応力が発生し、また小型の部品や集中的な力がかかった時には多軸性の応力が発生します。こうした理由から、German Research Foundation(DFG、ドイツ研究基金)が支援する研究プロジェクトでは、優先的な計画の一部として、解析的な手法と経験の両方を使用して一軸性および三軸性の荷重の影響下にあるUHPCの応力疲労の挙動を調査することを目標としています。

異方性損傷を持つUHPCを対象とした、三次元の力学モデルに使用するパラメータは、主経線試験(軸対称応力と変形状態)を解析することによって定義しなければなりません。

2. UHPCを対象とした三次元の力学モデル

2.1. 基本原則

コンクリートや鉄筋コンクリート支持構造に対してFEMプログラムによる数値解析を行うには、そうした目的に合った力学モデルが必要となります。このモデルは、非線形材料反応、進行的なひび割れの形成や損傷に加えて、潜在的な障害の状態などを現実的に記述できるものでなければなりません。

標準的な強度を持つコンクリートの非線形材料反応を、数学的に記述することを目的として開発されたモデルの詳細な概要は、[Grünberg/Göhlmann-2005]に記載されています。

破砕包絡線は、不変量I1、J2およびJ3の関数として幾何学的に記述されるのが普通です[Chen-1982]。不変量I1は流体応力の状態を表しているのに対して、J2とJ3は偏差応力の成分として表されます。

Haigh-Westergaard応力空間における各座標ξ、ρ、θを使用した定式化は有用です。任意の応力状態σは、流体応力成分ξ、偏差応力ρ、偏差角θによって記述されます(図1を参照)。

2.2. UHPCのための3段階モデル

従来の破壊モデルは超高性能コンクリート(UHPC)ではその有用性が限られているため、UHPC用として3段階モデルが導入され、その開発が進められてきました[Grünberg他、2007]。このモデルでは、脆い材料と延性のある材料の両方を、主経線の特性曲線(特に破砕包絡線の圧縮経線)によって記述しています。

一軸荷重の場合、超高性能コンクリートの評価は、引っ張りと圧縮の両方における脆性破壊で行います。この特性は、ファイバーを追加しても変化しません。こうした脆さが、張力と圧縮の経線曲線を大幅に変化させると予想されます。多軸荷重の条件下での異方性損傷によるUHPCの三次元力学モデルを開発するには、これらの圧縮と張力の経線曲線(図1、右)を理解することが必要です。

 

図1:破砕包絡線、Haigh-Westergaard座標(上)および主経線区間におけるUHPC用の3段階モデル

主経線の応力状態は、開発中の3段階モデルにとって特に深い関係があります。これらは、主に軸方向の圧縮荷重による応力状態と回転対称の横方向応力状態です。

必要なパラメータを決定するために、静的・動的な一軸および三軸の実験的な調査がハノーバーにあるライプニッツ大学のInstitut für Massivbau(コンクリート建築研究所)で実施されています。

3. 実験的調査

3.1. 圧縮経線試験

この用途において圧縮経線が特に重要である理由は、建築の実務に関わる応力の比率がこの圧縮経線で見つかるからです。低い流体静力学的な圧縮荷重と高い圧縮荷重とを重ね合わせることによって生成される応力比率は、三軸テストセル内で調査します。調査対象となっているこうした応力比率は圧縮経線上に見つかるため、一軸強度より上にあります。コンクリート内では、低い横方向圧力の荷重がかかっただけで、軸方向の支圧強度が明らかに増大します。

この調査は、円筒形のUHPC試験片(=60 mm)を対象として行われました。φ(h=180 mm)からの“M2Q混合物”、DFG優先度プログラム1182“UHPCを使用した持続可能な建築物”[Schmidt-2008]が使用されました。fcmの強度=198 MPaは、比較を目的とした一軸調査で達成されたものです。

3.2. 三軸テストセルおよび計器類

三軸テストセルは、コンクリートの静的な多軸強度を決定する目的で、これまでに数多く使用されて来ました[Dahl-1992]、[Rogge-2002]。しかし、それよりはるかに重要な用途分野は土質工学と岩石力学です。この試験装置のメリットは、横方向圧力の荷重が、軸方向の変形を妨げることなく試験片に対して水力学的に印加されることです。

ここで意図している動的な調査には、特殊な密閉システムとサンプルの位相同期荷重のための特定制御が必要となります。DBTA60-100-RT-DYN三軸テストセル(図2)は、最大5 Hzまでの動的荷重用として設計されており、製造メーカーと連携して開発されたものです。

図2: DBTA60-100-RT-DYN 動的三軸テストセル

圧力チェンバは、上部クロージャーにはめ込まれているステップシールによって上部荷重スタンプに密閉されています。軸方向力は、既存のユニバーサル装填フレーム1 MNによって印加されています。横方向圧力は、サーボ油圧試験装置によって直接生成され、5ヘルツの荷重周波数による位相同期で、Walter&Bai社が製造したPCS 8000マルチチャンネル制御装置によって制御されています。厚さ3 mmのニトリルブタジエンゴム製のサンプルスリーブが、UHPC試験片をオイルから保護しています。

油圧チェンバは十分な大きさを持っているため、周囲のオイルの中で、試験片上に追加的な計測技術を取り付けることも可能です(3.2.3節を参照)。

計測信号は、合計8個の4線式電気貫通(electrical leadthroughs)を使用して圧力容器から取り出すことができます。テストセルは、最大1,000バールまでの油圧に耐えられるように設計されています。セル内のオイルの容積は、特殊なアルミニウム製パッキングの助けを借りて約8リッターから1.5リッターまで減少させることが可能です。これにより、横方向でも正確な正弦曲線の荷重を実行することが可能となります。

3.2.1. テスト装置と計測値の取得

三軸テストセルは、既存のサーボ油圧式テスト装置(図3)内に設置し、新しい制御システムに組み込まれてアンプに接続されます。

製造メーカーが供給する個々のコンポーネント(三軸テストセル、油圧装置、制御装置、計測技術)のテスト装置への組み込み作業(単純なテストシーケンスを伴うもの)は、ハノーバーにあるライプニッツ大学のコンクリート建築研究所の施設内で行われています。

図3: テスト装置内の三軸テストセル

計測チャンネルの一部は、制御用としても使用します。したがって、最初にPCS-8000制御システムを使用して、これらの制御用チャンネル(シリンダ圧力、LVDT、円周伸縮計)を記録する必要があります。次に、同じ制御タイミング(0.125 ms)で、再度アナログ出力モジュール(0~10 V)を経由して、記録したチャンネルをアンプに転送します。圧力トランスミッター(横方向圧力)と長距離用センサの場合、両方のシステムで使用する電圧信号を平行して計測できるため、こうした転換は必要ありません。

記録用として十分な数の計測チャンネルを確保するため、「 HBM製 Spider8 タイプ」の搬送周波数アンプを3台カスケード接続します。これにより合計24個の計測チャンネルが使用可能となります。計測値は、これもHBM製の catman®Professional (Version 6.0) ソフトウェアを使用してPC上に記録/保存されます。

5Hzの荷重周波数に対して、100ヘルツのデータ取得周波数が選択されました。このサンプリングレートにより、十分な精度でピークを記録することが可能になり、それと同時に、より長いテスト(最大15億荷重サイクル)においても、累積された大量のデータを処理することが可能となりました。 ひずみゲージ と温度センサの計測信号の記録には、もっぱらこのSpider8アンプが使用されました。Spider8アンプはモジュール配置になっているため、後から追加の計測チャンネルを追加することが可能です。

図4に三軸テストセル、計測機器、制御システム、計測値取得装置を含むテスト設備の略図を示します。

図 4: システム概略図:三軸テストセル、 計装、制御システムとアンプ 

テストに使用した計測機器類の詳細とその特質については、以下の節で後述します。

3.2.2. 三軸テストセルの外側の計測技術

軸荷重用として使用したWalter&Bai社製のPZ-D 1000/600サーボ油圧テストシリンダは、250 mmの最大ピストンストロークを持ち、最大1 MNまでの荷重をかけることができます。シリンダ変位の記録用としては、±200 mmの計測範囲を持つ HBMの電磁誘導型変位変換器 電磁誘導変位変換器が使用されています。シリンダと球状キャップの間にあるロードセルの計測範囲は±1,000 kNです。

図 5: 三軸テストセルの外側にある計測技術

圧力チェンバの上部エリアで、三軸テストセルに外側からネジ止めされているP2VA1圧力変換器(D-1)は、1,000バールまでの油圧を記録し、電圧信号(0.5~10 V)を返します。一部のテストでは、最大で500バールの計測範囲を持つ追加のP5MA絶対圧力変換器(D-2)が、低い方のセル入口で使用されました。この計測信号は、Spider8アンプによって直接取得されたものです。その一方で、このことは圧力変換器の計測信号を監視することが可能であり(冗長)、また動的荷重中に、この第2の圧力センサを圧力チェンバ内で位相シフトが発生するかどうかのチェックに使用できることを意味しています。

三軸テストセル一式が搭載されたテストベンチと球状シリンダキャップとの間の距離は、L-1からL-3までの3台のレーザー距離センサによって記録されています。使用されている各センサの計測範囲は16 mmから26 mm、分解能は5μmであり、この範囲で電圧信号(0~10 V)を返します。特に動的な調査におけるレーザー距離センサのメリットは、これらのセンサが機械的な部品を持たないことで、したがって膨大な回数の荷重サイクルにも摩耗することなく耐えることができます。レーザー距離センサによって計測した変形には、試験片自体の純粋な変形だけでなく、上部と下部の荷重スタンプからの変形量、さらに起動時の非線形効果も含まれています。

時として非線形になるこの追加の変形量を除外するには、計測機器をオイルの中で試験片の上に直接配置する必要があります。

3.2.3. 三軸テストセルの内側の計測技術

長手方向と横方向の歪みは、サンプルシリンダの中心に設置した円周伸縮計と、それぞれ120度の角度でずらして設置した3台の差動変換器を使用して、試験片上で直接計測されます。

変形の進行を記録するもう一つの方法は、UHPCの試験片に取り付けたストレインゲージ(SG)を使用する方法です。この方法の持つ特別な側面は、ストレインゲージが最大で1,000バールに達する周囲の圧力に直接露出されていることです。

セルのカバー内にある8個の耐圧電気貫通(4ピン、Lemo S0 4)により、セル内の様々な計測機器を柔軟に使用することが可能になります。

差動変圧器回路内の誘導変位変換器(LVDT)

3台のLVDT(LVDT-1からLVDT-3)に使用する締め付け装置により、試験片の直近にあるサンプルの軸変形を計測することが可能になります。製造メーカーによると、これらのLVDTは1,000バールまでの油圧内で使用することが可能で、計測範囲は±5 mmとなっています。締め付けリングは試験片の近くの上部荷重スタンプ上にあり、計測範囲を超過した場合にLVDTを保護する目的で、120°増分で配置したプランジャー用の磁石式リテーナを装備しています(図6、左)。3台のLVDT(LVDT-1からLVDT-3)に使用する締め付け装置により、試験片の直近にあるサンプルの軸変形を計測することが可能になります。製造メーカーによると、これらのLVDTは1,000バールまでの油圧内で使用することが可能で、計測範囲は±5 mmとなっています。締め付けリングは試験片の近くの上部荷重スタンプ上にあり、計測範囲を超過した場合にLVDTを保護する目的で、120°増分で配置したプランジャー用の磁石式リテーナを装備しています(図6、左)。

図 6: 三軸テストセル内部のセットアップと装置

円周伸縮計

円周伸縮計は、圧力容器内で使用するために設計されており、圧媒体(最大1,350バール)として鉱物油を使用し、計測対象となる円筒形のコンクリート製サンプルは円周を変えることができます。この伸縮計は、特殊ローラーの高精度チェーンによってサンプルに直接取り付けられています。内蔵スプリングにより装置全体が自動的に保持されます。

ゼロポイントは、機械式の取り付けネジによって簡単に調整することができます。ストレインゲージフルブリッジに基づいた計測原理を使用するクリップの計測範囲は、合計12 mm(−2 mmから+10 mm)となっています。試験片が突然砕けた場合にも、離脱装置により伸縮計の破壊を防ぐことができます。

伸縮性のMBRサンプルスリーブ(非常に薄い)によって計測結果が歪められるのを防ぐため、試験片の中心部分で円周伸縮計を使用するテストでは、透明なテフロン製の締まりばめ式チューブが使用されます(図6、右)。

ひずみゲージ

前述の計測方法はすべて、サンプルの円周と高さの全体を対象とした統合的な計測を示すものですが、ストレインゲージを使用すると、変形の局所的な進行を観察することが可能になります。しかしここで注意しておくべきなのは、ストレインゲージを使用する場合、試験片の準備とセルへの組み込みにかなりの時間がかかり、かなりコスト集約的な作業になるという点です。

ここで使用しているのは、HBM製のLY41-20/120ストレインゲージ(計測グリッドの長さが20 mmのタイプ)です。このタイプのストレインゲージは、コンクリートの表面を少し粗面化し清掃してからX60接着剤を使用して装着します。試験片がMBRスリーブに挿入される時に接続ケーブルに対する負荷がより大きくなるため、はんだ端子(LS 5)も使用します。必要に応じて、3個までのストレインゲージを垂直方向(SG-l)と水平方向(SG-t)に配置することが可能です。接続ケーブルは、サンプルスリーブの内側を通過し、スリープの上端部分でオイルチェンバに到達します(図7)。

アクティブなクォーターブリッジは、補正用ストレインゲージによってハーフブリッジに延長されます。補正用ストレインゲージも、セルのオイルを満たした圧力チェンバ内のUHPC試験片上に配置されています。テストの実行中は、これら両方のストレインゲージが、その周囲を循環するオイルによって均等に加熱されます。予備テストの結果、横方向圧力が計測値に及ぼす影響はごくわずかであることが判明しています。ストレインゲージによる計測は、静止試験では非常に信頼性が高いのですが、動的な横方向圧力荷重が伴う場合はストレインゲージが故障する回数が多くなります(3.2.5節を参照)。これは、ストレインゲージの下の表面近くに生じた、以前は見えなかった小さな空隙によるものです(図7、右側を参照)。

Fig. 7: ひずみゲージを貼った試験材

温度センサ

容器密閉タイプのPt-100センサ(抵抗温度計)は、圧力チェンバ内における油温を記録するための温度センサとして使用しました。動的荷重によって圧力チェンバ内のオイルが最大で約50℃まで加熱されます。さらにPt-100センサは、試験装置内にある三軸テストセル近傍の周囲温度を記録しました。アンプに接続するため、抵抗はハーフブリッジに延長されました。

3.2.4. 静止テストの結果

静止テストは常に同じパターンで実行されました。第1段階では、希望する横方向圧力(ここでは200バール=20 N/mm2)が達成されるまで静水圧応力の上昇が見られ、その後は、一定したシリンダの前進に伴って軸方向での荷重が進行し、破砕(ここでは287.1 N/mm2)に至りました。時間経過に伴う軸応力と横方向圧力を図8に示します。

図 8: 軸と横応力曲線

試験装置の初期設置後、並列に(軸に沿った方向と横断方向で)取り付けたストレインゲージ、LVDT(差動変圧器)、円周伸縮計、レーザー距離センサを使用して、広範囲におよぶ一連のテストが実行されました。図9(左)に、UHPC試験片上のストレインゲージによって決定された軸方向と横断方向の歪みを示します。比較対象として、図9の右側ではLVDTによって決定した軸方向の歪みを、また円周伸縮計によって規定された横断方向の歪みを見ることができます。LVDTの計測値は、荷重スタンプによる鋼鉄の変形を計算することによって減少しました。

図 9: ひずみゲージ(左)とLVDT(右)の応力曲線

これら2種類の計測方法において、破砕上でほぼ同じ軸方向応力が生成されました(εB=6.8 0/00)。LVDTでは、最初の静水圧荷重を開始した後に、小さな非線形の起動時効果が顕著になります。これは、上部と下部の荷重スタンプからの試験片に対する圧力の結果として生じる現象です。なおストレインゲージが記録するのは、純粋な試験片の歪みのみです。

レーザー距離センサ(図10)を使用したテストベンチと軸シリンダのフォースプレートとの間の変形の計測では、試験設備から受ける影響がはるかに大きくなります。こうした影響には、鋼鉄製荷重スタンプからの伸縮量、試験設備からの線形変形量に加えて、非線形の起動時効果による変形量(軸荷重の増大にしたがって減少する)も含まれます。

Fig. 10: Deformation measurement by laser distance sensors

3.2.5. 動的テストの結果

パッキング上の理由から、動的荷重中に内側で他の機器をすべて使用することは不可能です。したがって、今回のテストで変形の進行を試験片上で直接記録するためには、ストレインゲージを使用するのが唯一の方法です。これらのテストにおける問題点は、荷重サイクルの数が増えるとストレインゲージが故障してしまうことです。

様々な最大応力(75%~50%)を対象とした動的テストでは、常に一定の最小応力(5%)でテストを実行しています。基準量は、静止した三軸応力の下での特定の破壊荷重です。図11は、多くのサイクルを対象とした場合の、各荷重サイクルにおける最小歪みと最大歪みを示します。テストは、55%の最大応力で、21,558回の荷重サイクル後に破壊が起きるまで行われました。テスト中に発生する破綻は、縦のラインによって認識することができます(計測値"−8‰")。SG-1は横方向の歪みを示していますが、SG-2とSG-3は軸方向応力を示しています。

横方向の歪みを見ると、約3,500荷重サイクル(ポイント1)までの歪みが、故障なく予想される曲線に一致していることに気がつきます(軸方向応力の約20%)。その後、歪みの偏差は一定のまま、この値が「ドリフト」します。5,000荷重サイクルを経過した後に、最終的にストレインゲージが故障します。

図11: 動的負荷をかけている間にひずみゲージが計測した値

SG-2は、多少の障害はあっても、約13,000荷重サイクル(ポイント2)までは現実的な計測値を返します。SG-3の最小応力における歪み値は、約5,000荷重サイクル(ポイント3)まではSG-2における同様の歪み値に良く一致します。最小応力でのSG-3(試験片の最小圧縮)は、その後は計測値を返すことはありません。しかし最大圧縮では同じストレインゲージが破壊まで良好な値を返します。

ストレインゲージが故障した後は、三軸テストセルの外側にあるレーザー距離センサが、動的テストにおける最後の計測値を供給します。

疲労荷重の影響下にあるコンクリートに見られる特徴的な変形の進行は、その曲線(図12)によって見分けることができます。

図 12: 動的負荷がかかっているときのレーザー距離センサの変形計測 

4. 要約および展望

前述の「三軸セル」の試験装置を使用した場合、静的荷重および動的荷重の両方において三軸強度を決定することができます。

三軸テストセルのオイルを満たした圧力チェンバ内でセンサを使用すると、配置された計測技術にとって特に条件が厳しくなります。特殊な誘導変位変換器(LVDT)と円周伸縮計を使用することにより、UHPC静止荷重の影響下における変形を直接試験片上で決定することが可能になります。こうした変形は、試験片に直接取り付けたストレインゲージによって検証されます。大規模な試験シリーズでは、これがコスト(ストレインゲージの材料コスト)と試験片の準備(ストレインゲージの取り付け)にかかる時間の節減につながります。

ここで問題となるのは、動的な調査における変形の進行を度量公的に記録する方法です。パッキングが必要となるため、ここではストレインゲージのみが使用可能です。ストレインゲージの表面に対して垂直に繰り返された動的な荷重が、ストレインゲージをコンクリート内に生じた小さな隙間に押しつけます。これがやがて原因となって、ストレインゲージを早めに故障させてしまうのです。テストセルの外側に取り付けたレーザー距離センサが、変形の進行を示す特性曲線を記録します。

三軸テストの結果、開発された三段階モデルによって、破砕包絡線の圧縮経線を比較的よく説明できることが判明しました。横方向圧力の荷重が、一軸荷重における脆弱な品質と比較して、UHPC内でより延性のある材料反応を生み出します。

継続的な三軸の動的調査とその結果から作成したウェーラー曲線に関する詳細な報告書は、第3回fib-Congress[Ertel/Grünberg-2010]で提供される予定です。

確認および参考文献

Acknowledgements

The research project is supported by the German Research Foundation (DFG) in Priority Program 1182: "Sustainable building with UHPC".

References

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[Düsterloh 2007] Düsterloh, U.: Triaxiale Kompressionsversuche an UHPC-Beton, Bericht (unveröffentlicht), Institut für Aufbereitung und Deponietechnik, Professur für Deponietechnik und Geomechanik, Technische Universität Clausthal, 2007

[Ertel/Grünberg-2010] Ertel, Chr.; Grünberg, J.: “Triaxial Fatigue Behaviour of Ultra High Performance Concrete”; 3rd fib International Congress; May 29 – June 2, 2010, Washington, D.C. (accepted)

[Grünberg/Göhlmann-2005] Grünberg, J.; Göhlmann, J.: Versagensmodelle für Beton unter monotoner Beanspruchung und Ermüdung. Bauingenieur, Band 80. März 2005

[Grünberg et al. 2007] Grünberg, J., Lohaus, L., Ertel, C. Wefer, M.: Mehraxiales mechanisches Ermüdungsmodell von Ultra-Hochfestem Beton – Experimentelle und analytische Untersuchungen, Beton- und Stahlbetonbau, Heft 6, 2007

[Grünberg et al. 2008] Grünberg, J., Lohaus, L., Ertel, C. Wefer, M.: Multi-Axial and Fatigue Behaviour of ultra–high–performance concrete (UHPC), Proceedings of the 2nd International Symposium on Ultra-High Performance Concrete, 05.-07.03.2008, Kassel

[Kupfer-1973] Kupfer, H.: Das Verhalten des Betons unter mehraxialer Kurzzeitbelastung unter besonderer Berücksichtigung der zweiaxialen Beanspruchung. DAfStb, Heft 229, Ernst & Sohn, Berlin, 1973.

[Rogge-2002] Rogge, Andreas; Materialverhalten von Beton unter mehraxialer Beanspruchung, Dissertation, Lehrstuhl für Massivbau, TU München, 2002.

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