ベンディングビーム型ロードセルの仕組み ベンディングビーム型ロードセルの仕組み | HBM

ベンディングビーム型ロードセルの仕組み

ロードセルの金属きわい体(スプリング構造体)に荷重がかかると弾性変形を引き起こします。このひずみ(正または負)は、きわい体に取り付けられたひずみゲージ(SG)によって電気信号に変換されます。最も簡単なタイプのロードセルは、ひずみゲージを備えたベンディングビーム型です。通常、ロードセルは基本的な構成要素である、きわい体とひずみゲージには、および、それを保護するハウジングやシール等の周辺部品から構成されています。

シングル・ベンディングビーム型ロードセル

ベンディングビーム型ロードセルは、様々な計測作業に適しています。ここで、原理上、信号は曲げモーメントに依存します。しかしベンディングビームの長手方向にある荷重作用点の位置が変化すると、負荷が同じでも、異なる信号が生成されます。この理由のため、シングル・ベンディングビームは、まれにしか使用されません。なぜなら、荷重作用点(てこの効果)を常に一定にするための特別な措置を必要とするからです。

図1:ダブルベンディングビームの原理

複数ビームのベンディングビーム型ロードセル

最大5 t までの負荷には、複数のビームを持つベンディングビームがきわい体としてよく使用されます。このタイプのロードセルは、おもに2個(ダブルビーム)から3個(トリプルビーム)のベンディングビームを使用します。複数のベンディングビームは、固定側と荷重側の両端で剛性のある構造体で接続されています。この接続された硬い構造体部分は荷重点の垂直変位に垂直に作用し、2つのベンディングビームをS字型に変形します。このシステムはシングル・ベンディングビームに比べ、作用点の位置変化に対する影響が非常に小さくなっています。S字変形は正と負のひずみゾーンを互いに近接した面に、生じさせます。また、ひずみゲージの設置と配線を容易にしています。図2は、様々なタイプのダブルベンディングビームの図解です。

図2:ダブル・ベンディングビームタイプ

HBMのベンディングビーム型ロードセル

HBMのロードセルには、多様な使用目的に合わせた様々な種類があります。タンク計量、プラントエンジニアリング、プロセス計量などのアプリケーションに使用されます。これらのマルチプル・ベンディングビーム型ロードセルの多くは、高精度アプリケーションまたは爆発性雰囲気内での使用される計量装置への組み込み用として、公的に承認(例えばPTB:ドイツ国家計量研究所)されています。世界中で使用できる証明書も利用できます。Z6とHLCはHBMの代表的なベンディングビーム型ロードセルです。仕様の違いは次のとおりです:

ロードセルZ6/Z6R

この円筒形ロードセルは世界中で幅広く使用されています。1972年にHBMによって開発された Z6 は、世界中で何百万ものユニットが出荷され、業界標準として確立されています。このロードセルは最大容量5 kg~1 t で、投薬やレベル計測用のプラットフォームやコンベアスケール、ならびにタンク計量アプリケーションに使用する計量モジュールなどに採用されています。敏感な計測エレメント部分は、特別な金属ベローズによって保護されています。 

高精度 ベンディングビーム型ロードセルZ6R は、20~200 kgの最大容量用に設計されており、Z6と機械的および電気的に互換性があります。厳しい衛生条件や過酷な環境で使用するために特別に開発され、Z6とは異なり、ベローズを使用しない密閉構造になっており、デコボコのない計測ボディ表面は極めて清掃しやすい設計になっています。

ロードセルZ6/Z6Rでは、ひずみ感知ゾーンの平面上(2つのスルーホールの上下)にひずみゲージが設置されています(図2参照:詳細は最大容量に応じて異なります)。ひずみ感知ゾーンは、溶接されたステンレススチールベローズ(Z6)または頑強なステンレススチールチューブ(Z6R)によって密封されています。

ロードセルHLC

この直方体ロードセルは、110 kgから10 tまでの最大容量で、タンクや投薬用途の計量、プラットフォーム計量器やレベルモニタリングに使用されます。 ロードセルHLC では、ひずみゲージは(図2の最後の写真参照)計測エレメントのスルーホール内側に設置されます。このゲージ設置部分は、ステンレススチールのキャップを溶接して気密封止されています。

その他のデザイン

ベンディングビーム以外にも、様々な設計のロードセルがあります。たとえば:

引張/圧縮荷重用ロードセル

引張荷重用ロードセルは、タンクなどの懸架荷重の計量に使用されます。標準的なアプリケーションには、重量計測や懸濁液処理タンクを使用する投薬アプリケーションがあります。圧縮ロードセルは、例えば、車両スケール、サイロ、およびラドル計量またはバッチ計量器などで、負荷荷重を計測します。

せん断応力用ビーム型ロードセル

せん断応力計測用のビーム型ロードセルは、横荷重に対して優れた安定性を提供します。せん断ひずみは、荷重作用点が特定の範囲内で移動しても変化しません。従って、加えられた荷重に比例する電気信号は、荷重作用点から独立しています。ただし、副次的な効果が計測結果に影響する可能性があります。

リングトーションロードセルなどの特殊設計

リングトーションロードセルは非常に小さいので、様々な計量アプリケーションで使用できます。  その堅牢な設計は、過酷な環境(過激な溶媒、干渉、温度変動)であっても、良好な設置と動作条件を確保できます。この原理に基づいたロードセルは、より高い横荷重に耐えることが可能です。