計重システムの予防保守 計重システムの予防保守 | HBM

計量システムの予防メンテナンス

コストを削減しながら、システム効率を向上させる

スケールの内部構造は、過去数年の間にますます複雑化しています。したがってスケールが故障すると問題の解決に長い時間がかかり、コストも増 大する可能性 が高くなります。その解決策は、使っているスケールが全く故障しないような対策を講じることです。これを技術用語では予防保全(予防メンテナンス)と言い ます。このコンセプトは、大幅なコスト削減とシステム効率の向上を約束してくれます。HBMでは、必要なコンポーネントを提供しています。

過去数年の間に、スケールの構造と技術に関して著しい進歩が達成されました。その結果、個々のコンポーネントやアセンブリの状態を判断することがま すます困難になってきました。最新のシステムは、旧型の機械と比較するとはるかに多くの弱点を持っているからです。さらに、大型のサイズのものを採用する 傾向はもはや過去のものとなり、設計エンジニアは設置スペースがより小さく軽量なシステムを開発する傾向が強くなっています。その結果として、多くのコン ポーネントが摩耗や故障の影響を受けやすくなっています。

メンテナンスと修理のコンセプトにとって最も重要な目標は、システムの技術的な利用可能性を最大限まで高めることです。最近になってますます多くの 企業が、メンテナンスが「単なる必要悪やコスト発生源」などではないことを認識し始めています。計量器が故障すると、その会社が直面するのは、修理や不良 部品の交換によるコストだけではありません。システムがダウンしている間、その会社は生産を続けることが不可能になるからです。より高い品質や効率を求め る競争によって際限なくプレッシャーが高まり、企業は望ましくないシステム障害を避けるため、保全システムや修理システムの導入を余儀なくされています。 こうした状況は、特に工業用やトラック用のスケールに加えて、重量測定システムを使用する生産システムにも当てはまります。

予防メンテナンス ― その定義と目的

ドイツのDIN 31051:2003-06規格(DIN EN 13306も併せて参照)によると、予防メンテナンスの定義とは、その装置の運転状態を維持または回復するため、つまり必要な操作の実行を可能にするため の、すべての技術上および管理上の措置と、対象となっている装置の製品寿命中における管理措置とを組み合わせたものです。このドイツの規格では、基本的な 対策措置を、メンテナンス、検査、修正メンテナンス(オーバーホール、修理)、改善の4つに区分しています。

メンテナンス(保全):既存の摩耗量がさらに悪化するのを遅らせるために行う対策措置。

検査:対象となっている装置の、実際の状態を判定して評価するための措置。摩耗の原因を特定し、将来の使用のために必要な結論を導くことも含まれます。

修正メンテナンス(オーバーホール、修理):対象となっている装置の正常な運転状態を回復するために実行する措置(改善は除く)。

改善:対象となっている装置の機能上の安全性を向上させることを目的とした、技術上および管理上のすべての措置と管理上の措置を組み合わせた対策措置。ただし、必要な機能は変更しないことを条件とします。
予防メンテナンスは、システムの技術的な障害が、人命への不可逆的な損害、あるいは深刻な経済的損失につながる場合に特に重要となります。予防メンテナンスの主な目標はシステム障害を予防することです。その他にも以下のような目的が考えられます。:

  • システムおよび機器の長寿命化と最大限の活用
  • 運転安全性の強化
  • システムの利用可能性の向上
  • 故障の低減
  • 予想原価計画

予防メンテナンス用機器の例としてのDIS2116電子デジタルスケール
 

予防メンテナンスでは、現在利用可能な情報を利用して、必要なメンテナンス作業の実施日を決定します。予防メンテナンスのコンセプトを導入することにより、システム効率化のための以下の目標が設定されます。:

  • 指定した期間中におけるダウンタイムを最小限に抑える。
  • 計量機器に関わる修理時間を短縮する。
  • 業務プロセスに対するダウンタイムの影響を少なくする。

しかしながら、こうした目標を達成するためには、メンテナンス作業の内容を定義して実行するだけでは不十分で、スペアパーツの供給が円滑に行われる ことも非常に重要です。予防情報を提供する機能や直接エラーメッセージ機能などを持つ計量システムでは迅速な再始動が可能となるため、大きな経済的メリッ トが得られます。

HBM製の DIS2116 電子デジタルスケールでは、高位の制御システムへの自動ステータスメッセージを使用した予知メンテナンスが可能になります。この機能は、運転コストにも好影響を及ぼします。


DIS2116電子デジタルスケール

DIS2116電子デジタルスケールにより、不正操作への耐性を備えた商取引に適した計量システム(トラック用のスケールなど)を実行することが可 能になります。ロードセルから電子スケールへの暗号化されたデータの送信には、256ビットキーを使用します。DIS2116は、32ビットのプロセッサ を使用し、タイプC16iのデジタルロードセルと併用することを想定して設計されています。

電子スケールからセンサに至るまで一貫してデジタル技術を使用することで、個別の計量システムでも、また複数の計量システムから構成されているプラ ントでも、都合よく管理することが可能になります。さらに、外部からの影響(EMC)によって障害が発生する可能性はほぼゼロになります。荷重の不釣り合 いによる誤差の電子的な補償をほんの数分で実行できることに加えて、DIS2116は、商取引に適したアリバイメモリとして機能するSDカードもサポート しています。このSDカードを使用することで、校正パラメータなどを含むすべての設定を取得することができます。

DIS2116電子デジタルスケールの取り付けは、システムインテグレータにとってはごく簡単な作業です。高位のシステムへの統合に必要となるの は、ごく少数のソフトウェアコマンドだけです。さらに、高位のシステムへの接続用として、PCに接続するためのRS-232ポート、PCキーボードやプリ ンタに接続するPS2ポートやUSBポートなど、多くのインターフェースを使用することができます。

高位の制御システムに送信される自動ステータスメッセージは、DIS2116電子デジタルスケールが提供する便利な機能のひとつです。取り付けの容易な電子スケールに基づくこの機能には、多くのメリットがあります。

メンテナンスを計画して適時に実行できるため電子スケールの耐用年数を延ばすことが可能

計量システムが制御システムにステータスメッセージを送信するという事実により、メンテナンス間隔を初期段階で計画することができます。計量システ ムから入手可能な情報(摩耗やケーブル絶縁の障害など)に基づいて、メンテナンス作業に最適な日時を決定します。タイムリーで予測可能なメンテナンスによ り、計量システムの耐用年数をさらに延ばすことができます。

迅速なセンサ交換により最高のシステム効率を実現

自動ステータスメッセージを高位の制御システムに送信することで、個々のセンサをすばやくローカライズし、故障時にも迅速に交換することが可能にな ります。スケールの修理時間が短縮されてダウンタイムが減少することで、システム効率にも良い影響があります。廃棄物処理場で、トラックのスケールが故障 したために数百台のゴミ収集車が何時間も順番待ちをしている光景は、近い将来に見られなくなるでしょう。

DIS2116 Weighing Indicator