1. 初期観察

タンク内にロードセルを取り付ける際には、基本的な決まりをいくつか守る必要があります。タンクは、気象条件や生産関連の条件から影響を受けることが多くあります。新しい直立型のタンク(サイロ、石炭ホッパーなど)を屋外に建設する場合、その型の構造体に対して適用される建築基準を順守しなければなりません。建築基準法に照らし合わせると、後から取り付けた計量デバイスを「著しい変化」として考慮しなければならない場合もあります。こうしたケースでは建築構造エンジニアの助言を受けることを推奨します。建築基準は、安全上の観点から「最先端」の技術に注目するのが一般的です。例えば、風による負荷について扱っているのは DIN 1055 Part 4「構造部材における荷重想定」です。

会社に限定の特別な規則があれば、タンクの配置を担当するプロジェクトエンジニアにも通知する必要があります。タンクに有害な物質が入っている場合や、運転可能なフォークリフトが保管場所の周辺にある場合には、たとえ屋根がある場所でも、タンクが盗難に遭わないよう頻繁に安全を確認しなければなりません。

2. 荷重配分

 

タンクの重量を測定する際には、それぞれにロードセルを配置した 3 つの荷重支持点に載せるのが最適です。この状態を「静定」と呼びます。重要なのは、全荷重を 3 つの荷重支持点にできるだけ均等に配分することです。直立型タンクや吊り下げ円筒型タンクの場合、こうした要件を満たす最善の方法は、3 つのロードセルをタンクの垂直軸から等距離に置き、しかも互いに他のロードセルから同一平面上で 120°の角度になるように配置することです。図 1 に、横置き型タンクの支持点の配置を示します。

 

システム内の支持点すべてにロードセルを装備できない場合には、荷重を不均等に配分することをお勧めします。ロードセルのある支持点には、必ずロードセルのない支持点よりも大きな荷重がかかるようにすれば、計量装置の全体的な精度を向上させることができます。システムの設計並びにロードセルの選定を行う際には、可能であればすべてのロードセルに対して同じ大きさの荷重がかかるようにします。

 

 

図1:横置き型タンクにおける支持点 A、B、C の配置

 

タンクを 4 つ以上の支持点で支える場合、タンクの支持点は静的に冗長となります。こうしたケースでは、すべての支持点にロードセルを取り付ける必要があります。個々の変換器に対する荷重の均等な配分が可能になるのは、組み立て作業中だけです。したがって、変換器の負荷は個別に計測する必要があります。許容量を超える差違が生じた場合には、該当するロードセルの高さを変更しなければなりません(補正用のシムなどを使用)。かかる荷重が低すぎるロードセルは、互いに対角線上に配置するのが一般的です。

 

 

3. タンクの重心

図2: 排出ベースが傾いているタンクの重心配分 - 充填量に依存して変化

理想的には、充填済みタンクの重心はそのタンクの支持点より高い位置にあってはなりませんが、現実にはそうならない場合がほとんどです。

 安定性の観点からは、重心は支持点よりも低い方が有利です。充填レベルの関数としての重心の位置は、使用するロードセルの数にかなり大きな影響を及ぼします。重心が垂直線に沿って移動すると仮定すると、充填物がロードセルに対して対称的に配分されている場合には、ロードセルを1個だけ使用して計量装置を設定することが可能かもしれません(6.3 節も参照)。しかし、充填量の変化にしたがって重心も横方向に移動する場合は、すべての支持点にロードセルを取り付ける必要があります。このタイプの用途では、絶対にロッキングや固定支持点を採用してはいけません。

 図 2 から、重心の位置が変化する場合、すべての支持点でロードセルを使用する必要があることが分かります。

4. タンクの供給側接続部

Figure 3: Long horizontal pipe connection
Figure 4: Elastic pipe coupling
Figure 5: Pipe elbow
Figure 6: Mechanical compensator
Figure 7: Open filling stud

内容物の供給および排出用、あるいはタンク上の追加装置に電気や油圧、空気圧などを供給する目的で、ほとんどの場合にタンクには供給接続部を設置する必要があります。

 こうした供給接続部からフォースシャント(力の分路)が発生する可能性があり、これが計量装置の計測精度に影響を及ぼすような誤差として現れます。したがって供給接続は垂直方向の柔軟性を備えていなければなりません。図 3〜7 に、供給接続に適した設計例をいくつか示します。ともかく、設計および計画段階における財政的な判断に際しては、必ず供給接続部の柔軟性という側面を考慮する必要があります。柔軟なリンク部分のない硬質パイプを使用する場合、タンクには、できるだけ横方向に長い配管セクションを接続するのが望ましい方法です。なお、この配管セクションには、長手方向に膨張補償を設ける必要があります(図 3)。

配管の水平セクションには垂直方向のばね効果があり、配管が長いほどその効果は大きくなります。これに対応して、疑似荷重(引張または圧縮)の形で配管がロードセルに及ぼす機械的な力は小さくなり、計測精度への影響は無視できる程度になります。

1 本の長いパイプの代わりに伸縮性のカプリングを数個使用する方法もあります(図 4)。融通の利く弾性材料製ホースを使用して接続すると、フォースシャントの防止という意味では良い結果が得られます。この場合(食品工業または医薬品技術などでは特に)、接続に使用する弾性材料が、充填材料または洗浄剤に対して相溶性を示すかどうかを十分にチェックする必要があります。接続パイプに起因する有害なフォースシャントを低減する方法には、配管にエルボーを使用するというものもあります(図 5)。

縦方向のパイプによる供給が必要な場合(つまり重力の方向で計量する場合)、あるいはホース接続を使用できない場合には、補償装置(金属ベローズなど)を取り付けた配管接続の有効性が確認されています(図 6)。こうした補償装置を取り付ける際には、取り付け許容範囲を厳しく守る必要があります。2 個目の金属ベローズを使用する場合、これを1個目の金属ベローズにパイプセクションで接続すると、より大きな許容範囲を補償することができます。ただし食品工業の場合、衛生条件が厳しいエリアでの金属ベローズの使用は認められていません。

図 7 に示した連結分岐は、フォースシャントを低減するという意味では最高の解決策です。開放接続式の分岐では配管とタンクの接触が回避されるからです。ただしこの形式は、圧力タンクのような閉じた配管システムでは使用できません。

接続配管内の材料も重量の一部に含まれますが、この点には常に十分な注意を払う必要があります。したがってタンクに直接接続されている供給側と排出側の配管の充填レベルは、重量計測時には常に再現可能になっていなければなりません。つまり両方の配管が常に空か、あるいは常に満杯かの状態のどちらかでなければなりません。

5. 加圧型タンク

閉じたプラントでは、システム内の圧力が計量結果に影響を及ぼします。化学工業の分野などでは、高い正圧が要求されることがあります。一方、粉末材料を計量する抽出型のプラントでは、100〜300 mbar の負圧が発生します。図 5〜6 のように配管がタンクに対して垂直に接続されている場合、圧力が計測結果に直接的な影響を及ぼします。この影響は、かかった力に配管の断面積をかけた値に等しくなります。計量プロセス実行中の圧力条件が一定であれば、この量を考慮(算入)することが可能です。どのような場面でも、垂直のパイプ接続よりは、水平方向のパイプ配置の方が、適切で優れた方法だと言えるでしょう。こちらの場合、発生する寄生的な力は設備の支持部材によって吸収されます。

6.1 ロードセルの配置および取り付け例

図 13: 4 個のロードセル上に設置した長方形のホッパ
図 8: 固定設備内の直立型タンクにロードセルを 1 個使用
図 9: 2 箇所の固定支持点を持つ直立型タンクに補正装置付きロードセルを 1 個使用
図 10: 背の高い丸形サイロ
図 11: 丸形サイロを計量モジュール上に設置
図 12: フランジ付きタンクにおける計量モジュールの配置

 

6.1 直立型タンク

中央充填式タンク内の液体およびバルク材料を計量するときには、2 つの固定支持点および 1 個のロードセルを使用した設置が可能です。適切なレベルの精度を実現するためには、タンクを対称に配置する必要があります。必要な精度を持つ正しい計測結果を取得するためには、製品の重量をタンクおよびホッパー全体に均等に分散させなければなりません。これ以外の場合はすべて、特に高レベルの精度が要求される場合には、可能であれば 3 個、環境条件によってはそれ以上のロードセルを設置する必要があります。

 

6.1.1 ロードセルの固定取り付け

キャリアにロードセルを固定するというシンプルな設計は、お勧めできません。この設計は、ロードセルに有害な影響を及ぼします。充填レベルの変化によって起きる変形、振動、温度変化といったものは、無視できないレベルの影響をロードセルに及ぼします。しかし依然として、この種の設計が散見されます。

 

6.1.2 固定ベアリングを 2 個備えた直立型タンク、補正機能付きのロードセルを 1 個使用

 この充填レベル計測システムでは、2つの固定支持点によって受け台上に配置したロードセルを使用します。固定支持点はタンクの水平方向の動きを抑える役割も果たしています。このコスト効率に優れた設計では、ロードセルに許容不能な影響がおよぶことはありません。

6.1.3 高い丸形サイロを 3 個または 4 個のロードセル上に設置

正確な充填レベルを計測する際には、3 個のロードセルを使用するのが普通です。長方形で対称な設計の中にはロードセルを 4 個使用する配列もありますが、こうした配列はその静的に冗長で値段も高いため、あまり好まれません。その一方で、このタイプは、構造体への取付けが容易です。自動芯出し式のエラストマーベアリングは、ステイロッドを全く必要としません。この種のベアリングには、固定式のストップを組み合わせるのが普通です。特に背の高いタンクでは、上部に追加のステイロッドガイドが必要となります。図 10 の例では、緩んだ初期ストレスとロック機構を備えたステイロッドを用いています。固定ストップは、タンクが理想的な位置から外れて望ましくない方向に少しでも動きそうになると、同じポイントでタンクに接触し続け、そのときの接触摩擦がフォースシャントを生み出します。ローラー式ストップやケーブルガイドが用いられることは、それほど多くありません。

6.1.4 丸形サイロを 3 個の計量モジュール上に設置

構造体の外周に接線方向で接するステイロッドを備えた 3 個の計量モジュールは、タンクを横方向に安定した状態で保持します。この場合、追加的な措置は必要ありません。計量モジュールにはリフト防止装置も付いていて、これがタンクの転倒を防止します。この形をとると、タンクの外側の細かい構造がいくつか不要になります。この図では、典型的な計量モジュールの例として、低、中、高の三段階の負荷に対応した計量モジュールを示しています。このように、規格化された構成要素によって設計が単純化されると、建設コストを大幅に節約することができます。ただし、その一方で、確実に接触面は平行、タンクの高さは一直線でなければならないので、設計にはかなりの注意と経費が必要になります。

6.1.5 フランジ付きタンクを計量モジュール上に設置

フランジ付きタンクは、実際の現場でよく使われています。外側には、タンクの安定性を確保するための、土台まで繋がるケーシングが付いています。ロードセル上にタンクを取り付けるのは、簡単なことではありません。図 12 で示したのは、ロードセルでタンクを計量するための案です。この案は、既存システム内でも、比較的容易に実行できます。まず、タンクの内壁に、筋交いを設置(または溶接)します。荷重は、ロードセルにしっかりと挿入します。この場合も、できれば、リフト防止装置(分かりやすくするために図 12 では表示していません)の組み込まれたロードセル計量モジュールを使用してください。構造体をほんのわずかでも持ち上げると、全重量がロードセルにかかります。この作業には、頻繁な密閉作業が伴います。そのため、フォースシャントを発生させない、柔軟な円形シーリングリングを使用します。

 

6.1.6 充填ステーション内で 4 個のロードセル上に設置した長方形ホッパ

過酷な環境や異常な機械的効果が計測値に影響を及ぼすこともあります。例えば、振動機やミキサなどによる激しい振動、容器への製品や材料の大量追加、または内容物の排出などです。加えて、生産工程の全体を通して、温度の変化による構造体の膨張や収縮が起こります。こうしたリアルタイムの機械的影響により、ロードセルには複数の方向からのねじれや回転力がかかります。その結果、計測値の信頼性や精度が低下するのです。このような状況では、追加の支持点を設け、それに合わせてロードセルに修正を加えることを推奨します。こうすることで、計測の整合性は維持したまま、構造体には安定性が加わります。これが長期的には最終製品における正確な計測結果をもたらし、お客様の満足にもつながります。

また、ステイロッドまたはスウェイバを構造体に組み込むか、または追加の支持点として構造体に取り付けることもお勧めします。

こうした支持装置は、エラストマーベアリング付きのロードセル、または振り子式ロードセルの例(6.3 節を参照)のように、垂直位置に取り付けたロードセルにとっても、メリットとなります。支持点を設ける位置については、アプリケーションエンジニアから戦略的なアドバイスや提案を受けることができます。

6.2 吊り下げ式タンク

図14: ロードセルを3個使用した吊り下げ式タンク
図15: ロードセルを1個使用した吊り下げ式タンク

吊り下げ式タンクの芯出し問題は、たいていの場合、シンプルで柔軟な丸形のタイロッドを使用することで、解決、または単純化できます。ステイロッドは、もちろん転倒防止のためにも必要ですが、振動や回転を防止するためにも必要です。

6.2.1 ロードセルを 2 個または 3 個使用した吊り下げ

全体的にシンプルな構造の場合、接戦方向のステイロッドが複数本必要です。応力が比較的小さい場合には、下側のパイプ排出口がその機能を担うことができます。

6.2.2 ロードセルを使用した中央吊り下げ

この方式では、振動や回転を防ぐための特殊な拘束措置が必要不可欠です。

6.3 液体用の横置き型タンク

 

液体用の横置き型タンクは、一般的に、「充填量の変化に伴い、内容物の重心がほぼ垂直線に沿って移動する」という条件を満たしています。したがって、単純な充填レベルの計測をする場合、一方のタンクブラケットの下にロードセルを 1 個、他方のタンクブラケットの下には固定式ベアリングを 2 個配置すれば十分です。1 個の自動芯出し振り子式ロードセルと 2 個の固定ベアリング上に重量の半分を載せて立っているという状態になれば、理想的です。通常の状況下では、追加の拘束措置が必要になることはありません。ただしタンクが非常に長い場合は、横方向の衝撃によってタンクが転倒するのを防止するための追加措置として、ロードセルに載っているタンク受け台の両端に、横方向の動きを

しかし、実際には、タンクの基準線が片側(排出口の方)に向かってわずかに傾斜しているため、内容物は対称に分布されてはいません。計量の精度を上げるためには、3 個のロードセルの自動芯出し配置を用いるのが最適です。水平方向の動きを抑えるための固定ストップも併用するとなおよいでしょう。

 

 

 

図 16: C16ロードセルを取り付けた液体用の横置き型タンク(略図)
HBMへのお問合せ HBMやHBMの製品について「もっと詳しく知りたい」、「わからないことがある」、「こんな製品を探している」などございましたら、お気軽に下記お問合せフォームでご連絡ください。