ABB大電力試験所が実施する世界トップレベルの電力試験 ABB大電力試験所が実施する世界トップレベルの電力試験 | HBM

ABB大電力試験所が実施する世界トップレベルの電力試験

Genesis HighSpeed計測システムを使用した超高速サンプリング

スウェーデンのルードビカにあるABB社の大電力試験所は現在、自社のほぼすべての電力関連製品を試験しています。国際的な産業グループであるABB社は、開閉装置、高電圧回路遮断器、変圧器などの製品を開発中のさまざまな段階において試験を行うとともに、最終製品の定期試験の一部も実施しています。試験では、電流や電圧による極端なストレスを製品に加え、非常に高速なサンプリングレートで試験データを取得します。これには、HBMのGenesis HighSpeed計測システムとPerceptionソフトウェアを組み合わせた高度な試験・計測装置が使用されています。

ルードビカの試験所は、1933年に当時世界最大の短絡発電機が設置されて以来、ABB社における電力関連製品の試験業務の中心的な役割を担ってきました。現在でも、この高度に専門化した分野で、世界的リーダーとしての地位を維持し続けています。施設内には2基の堅牢な短絡発電機があり、直接試験用に合計4,000 MVAの電力を供給できます。合成試験に対しては、75,000 MVAの電力を供給できます。

破壊試験

ルードビカのABB大電力試験所に勤務する上級エンジニアで、計測技術と制御システムを専門とするKjell Korhonen氏は次のように述べています。「当社は、非常に高い電流と電圧を扱っています。試験の多くは破壊的なものです。つまり、試験後には製品があまり残されていません。また、高電圧製品の試験では、たいてい大きな火花が散ります。そうした中で、瞬間的に起こるすべてのことを完璧に記録しなければなりません。詳細なプロセスを正確なグラフにして確認したいためです。」

HBM製品のメリット

  • 高速サンプリングレートで収集されたテストデータの確実なレポーティング
  • 信頼性の高いデータ収集技術でデータを確実に保存
  • 高耐久、長寿命 (Genesis HighSpeedシリーズの絶縁入力システム)

開発中の計測システム

高い応力を高サンプリングレート(最大毎秒100メガサンプル)での計測環境は、使用する計測器にとって非常に厳しい条件となるのは明らかです。1980年代には、ABBはすでにデジタル試験データシステムの設計の先駆者となっていました。この早期の研究は、現在HBMが製品として提供している過渡的データ記録装置のGenesis HighSpeedファミリーの基礎となっています。ABBは、現在もこのシステムの開発でHBMと緊密に協力し、現在のシステムは9世代目になります。

Korhonen氏はまた、次のように語っています。「システムが、他のユーザーが多数いる市販の製品として開発され、サポートと更新を受けられることは、私たちにとって大きな意味があります。当社では、すべての試験施設でGenesisとPerceptionを使用しており、改善すべき点についてHBMと建設的な意見交換を進めています。これらは定期的に更新され、一貫性のある効果的なツールセットであることから、安心して利用することができます。」

フレキシブルなシステム

各計測ラックには、4チャンネルのレシーバーカードを搭載するためのスペースがあります。各チャンネルは光ファイバーケーブルでデジタイザーに接続され、そこでアナログからデジタルへと変換された信号が、.ルードビカの試験所には、Genesis HighSpeedシリーズの計測ラックが4つあります。必要なモジュールはラックに直接差し込むことができるため、システムはフレキシブルに運用できます。大規模な試験の場合、複数の計測ラックを組み合わせて使用できます。

各計測ラックには、4チャンネルのレシーバーカードを搭載するためのスペースがあります。各チャンネルは光ファイバーケーブルでデジタイザーに接続され、そこでアナログからデジタルへと変換された信号が、Perceptionソフトウェアに送られて検証と処理が行われます。ルードビカの試験所と試験装置は、約30名の優れた技術者によって2交替制で稼働しています。

国際標準規格に適合

ABBのほぼすべての電力関連製品は、開発中のさまざまな段階でテストされ、完成した最終製品についても定期的に試験が実施されます。これは、年間を通じて1日平均2回の高周波試験が行われることを意味します。試験は、2、3時間から1週間かかり、1,000メガバイトほどのデータが生成されます。データは、少なくとも10年以上保持されます。

すべての試験は、国際標準規格と地域の規格に従って実施され、試験所自体は別途スウェーデンの認定機関Swedacによる独立した品質検査を受けています。スカンジナビア電力装置試験協会(SATS)とその上部組織である国際短絡試験協会(STL)の会員であることも、さらなる品質保証の裏付けとなっています。すべての作業は、標準規格に厳密に準拠しています。準拠していなければ、試験所で形式試験を実施した装置は認定されません。

グローバルなノウハウ

試験業務においては継続性が重要です。試験中には、ケーブルの配線、バグ、計測装置の配置など、さまざまな部分で想定可能な数多くの不具合について考える必要があります。製品を試験するチャンスは多くの場合1回だけで、かつ試験そのものは数秒ですべてが終了します。絶対にデータを失うことはできません。このような理由から、長年の経験は重要な資産となります。また、正しいスキルを備えた人材を採用するとともに、世界中からルードビカに来る従業員の研修にも力を注いでいます。

計測機器がダメになる可能性も

ABB大電力試験所には、危険が全くないわけではありません。システムは、高電流・高電圧によって停止する可能性があり、最悪の場合、電流、電圧、圧力、または動きといったネットワーク量の計測に使用されるセンサや、信号を変換するデジタイザーなどの精密な構成機器が過熱のために故障し、交換しなければならないこともあります。Genesis HighSpeedシステムの4つの計測ラックは、特殊な電気絶縁手法により、長期間使用できる耐久性を実現しています。光ファイバーリンクを使用して制御室の計測ラックをデジタイザーに接続することで、ラックと作業者を高電圧から保護しています。

より高い水準へ

Korhonen氏は次のように予測しています。「当社は、常に最先端の試験所であり続けるため、装置を定期的に更新して最新の技術を反映させなければなりません。計測システムが世代交代する際には、大変な苦労が伴います。また、計測精度を向上させなければならないというプレッシャーを常に受け続けています。さらに私たちは、実施できる試験方法の数を増やすとともに、より多くの製品を試験できるよう、能力拡大に向けて最善の努力をしています。電流や電圧といった常に計測しなければならない数値に加えて、今後は各種の新しい試験が導入されます。例えば、非接触プロセスで動作の計測ができるようになる日が来るかもしれません。」

Genesis HighSpeedデータ収集システム

Genesis HighSpeedは、高速の試験データ収集システムです。Genesis HighSpeed製品ファミリーは、複数のチャンネルで、1チャンネルにつき最大毎秒100メガサンプルのサンプリング周波数を取り扱うことができます。このシステムは、モジュラー式のプラットフォーム設計により、用途に合わせて構成を変更可能です。

Perceptionソフトウェアは、大量のデータを迅速かつ確実に処理できるように設計されています。Perceptionを使用すれば、10ギガバイトのデータを10秒以内でPC上に表示できます。

Customer Statement

"We now use Genesis and Perception in all our labs, and we have a healthy dialog with HBM with regard to improvements. It's reassuring to have a uniform and effective set of tools that is constantly being updated."

Kjell Korhonen, Senior Engineer and specialist in measuring technology and control systems at the ABB High Power Laboratory in Ludvika