トルク計測に回転速度計測システムと参照パルスを統合化したT40B

インクリメンタル型の回転速度計測システムについては、さまざまな製品が販売されています。しかし、こうした回転速度計測システムは、回転速度の計測のみを目的として設計されています。回転速度とトルクの両方の計測機能を1つの計測用センサに統合化する際には、回転速度の計測に対して次のような特有の要件を満たす必要があります。

  • 速度計測システムによって、計測用センサの用途に固有の機械的機能が損なわれないこと
  • ロータとステータ間における大きな相対運動を許容し且つ高分解能であること
  • 統合化された回転速度計測システムは、必要な公称(定格)トルクの伝達を妨げたり、トルクを制限したりしないこと

回転速度計測システムを変換器に統合化することにより、取り扱いを大幅に簡素化することができます。2番目のシャフト端は速度計測システムには必要ないため、必要に応じて追加のトルクセンサなど他のタスクに使用できます。

回転速度計測システムの導入

図1:回転速度計測システムと参照パルスを統合化したT40Bトルクセンサ

磁性プラスチックリングの金属キャリアは、トルク信号テレメトリアンテナを搭載していない方のフランジ上に取り付けられて完全に一体化されます。これにより、スペースを節約でき設置がしやすくなります。

このシステムは、異方性磁気抵抗(AMR)センサを使用した磁気パルスホイールによる非接触センシングに基づいています。システム内のセンサは、磁場にさらされると、磁化角度と抵抗器の方向ベクトルに応じて抵抗値が変化します。磁場は、ホイールとセンサの相対運動に伴って変動し、パルス変調されます。磁場は、ホイールの半径方向から検知されます。これにより、堅牢で安定した信号を得ることができます。パルスホイールとセンサの間の最大エアギャップは、2.5mmです。

こうした構成により、この計測システムは、テストベンチの振動によるロータとステータ間の相対運動の影響を非常に受けにくくなっています。

双方向エンコーダによるパルス生成

図2: AMRセンサによるデジタル変換

ドライブドレインが回転すると、インクリメンタル型磁気エンコーダはパルスを生成します。1回転当たりのパルス数は、回転の速度あるいは位置に一致します。ここでは、双方向エンコーダシステムを利用することができます。このシステムでは、AMRセンサに信号取得用のフルブリッジ回路が2つ含まれます。2つのブリッジ回路は、互いに4分の1周期分オフセットするように配置されます。生成される正弦信号と余弦信号は、下流の電子機器によってデジタル変換されます。周期的な正弦信号と余弦信号は、内挿補間によってさらに細分化され、これにより電子的な基本分解能をさらに向上させています。その結果、量子化誤差が減少し、入力シャフトのリアルタイムの回転速度の計算において精度の高い結果が得られます。

出力信号

図3:矩形波信号A/B


電気的な位相のずれが90度の2つの矩形波信号を、出力信号として利用できます。2番目の信号(信号B)を使用すれば、動作方向(右-左)を解読できます。

時計方向回転(すなわち右回転)の場合、信号Bは信号Aよりも位相が1つ進んでいます。信号Bの立ち上がりエッジの位置では、信号Aは「ローレベル」です。これは、論理値「0」に相当します。反時計方向回転(左回転)の場合、信号Aが信号Bよりも位相が1つ進んでいます。信号Aの立ち上がりエッジの位置では、信号Bは「ハイレベル」です。これは論理値「1」に相当します。

このように位相をずらした信号AとBのペアは、さらに分解能を向上できることから、4逓倍信号とも呼ばれます。信号Aと信号Bは、磁極のペアが1つ通過するごとに1つのパルスを生成します。分解能は、例えば信号Aと信号Bのパルスの各エッジを使って向上させることができます。これを、4逓倍カウントと呼びます。T40BとT40FMの回転速度計測システムでは、このカウント方法により1回転あたり1024パルスの分解能を4096パルスまで向上できます。

インクリメンタル方式による回転速度計測システムから駆動制御装置への信号伝達では、2つの信号を送信するだけで、動作の方向と速度と相対位置を伝えられるという利点があります。一方、この種の回転速度計測システムは、初期位置に対する変化のみを計測するため、停電後に絶対位置がわからなくなるというデメリットもあります。位置決めシステムでは、絶対位置を知ることが不可欠であるため、電源投入時にいわゆる原点復帰動作を行います。これには、参照パルス(0インデックス)が必要となります。

基準信号

図4:矩形波信号A/Bと基準信号(0インデックス)

図4に、第三の信号である基準信号(0-index)を示します。この信号は、軸方向の磁場を感知する別のセンサによって生成され、信号Aの立ち上がりエッジと同期します。回転速度計測システムは、電源投入後、参照パルスが検出されるまで回転させる必要があります。角度の絶対値は、少なくとも1回転後には得られます。この第3の出力チャンネルでは、1回転ごとに1つのパルスが生成されます。ロータの位置あるいは位置決め精度を知るためには、高い角度分解能が必要です。4逓倍信号の4逓倍カウントを使用すれば、212 ステップの角度精度が得られます。

出力ステージは、対称型の5V (TTL)-RS422相補信号、すなわち差動信号(ラインドライバ)にて伝送します。不要な干渉場が与える信号への影響は、相殺され信号差に変化を生じさせないためノイズの影響を受けにくいという利点があります。

その結果、デジタル信号伝送は干渉の影響をほとんど受けないため、長いケーブルを使用する場合や電磁場にさらされやすい場所で使用する際の理想的なソリューションになります。

HBMのトルクセンサ

T40B

T40FM

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トルクセンサT40Bの特長

  • 高精度: 1024 パルス/回転
  • 角度精度: 最大212 ステップ
  • 磁場の影響をほとんど受けない
  • 信号品質が高く、ノイズの影響を受けにくい
  • パルスホイールとセンサ間の追加調整不要
  • パルスホイールとセンサの間の最大エアギャップは、2.5mm
  • 周囲環境からの影響を受けにくい
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