「なぜこんな結果が出るのだろうか?」と感じた時、その原因を理解するためには、考えられる誤差の発生源を力計測の実行中に見つけ出すことが重要です。ストレインゲージに基づいた力変換器(S9Mなど)の場合、発生可能な誤差グループが2種類あります。:
- 負荷に依存しない誤差:加えられた力に依存しない特定の出力信号を生成する誤差
- 実効値に依存した誤差:誤差の大きさが評価時に加えられていた力に比例するもの
ゼロポイントに対する温度の影響は、負荷に依存しない誤差の一例です。この計測偏差は、計測された力の値とは無関係に特定の値を出力します。特定の誤差が出力信号と相対的な関係にあると考えられる場合、公称(定格)力のほんの一部だけを使用している時には、常にゼロポイントに対する温度の影響(TKZero)が特に大きくなるという現象が見られる可能性があります。絶対値は常に同じです。しかしこの状況では、相対的に割合が小さく有用な信号によって絶対値が増大します。
TKZeroに加えて、直線性誤差も終値と相対的な関係にあります。
実効値と相対的な関係にある誤差(実効値に依存する誤差)は、実際に適用された信号に対して相対的に算出されます。これには例えば、感度の温度に対する依存性(TCS)やクリープだけでなく、実施された可能性のある校正の許容誤差さえ含まれます。
誤差を評価する時は、個々の誤差が幾何学的に追加されます。つまり、計測精度における大幅な改善が実現するのは、個々の誤差のうち最大のものが改善される場合に限られます。多くのケースでは、TKZeroと直線性が極めて重要です。これらの誤差は終値、つまり公称(定格)力をすべて利用した時の出力信号と相対的な関係にあるため、これらのパラメータの改善は特に有効です。さらに、いわゆる部分負荷領域における力変換器の使用、つまり公称(定格)力の信号を部分的に活用することが可能になります。