ポータブルデータ収集システムで、爆発後の砂粒の破壊を計測

 

銃弾は砂袋を貫通できません。砂のような粒状の物質の挙動と、衝撃を受けた際のエネルギー吸収について理解することは、兵士の防護服の開発において非常に重要です。そのため当社の研究室では、米国海軍研究局の「多分野大学研究イニシアティブ」(MURI)の資金援助を受けた「土壌爆破のモデリングおよびシミュレーション」プロジェクトの一部として、ポータブルデータ収集システムを使用し何百回もの実験を行い、爆発後に滑り合う砂の粒子の機械的な挙動を特定しました。

この機械的な挙動を理解する最も効果的な方法は、爆破時の砂のアコースティックエミッション(AE)を調べることです。AEは、保存されたエネルギーの急速な解放によって生成される一時的な高周波の弾性波です。砂を爆発させる場合、砂粒間の滑り摩擦と回転がAEの発生源になります。AEは、物質に関する位置、強度、変形機構などのリアルタイムの情報を提供します。

上図は、初期質量密度1.58 g/cm3の砂をCordin 550-62カメラで撮影したもの。左は衝撃前、右は衝撃後の砂のサンプル

AEスパイクと砂粒変形の関連付け

上図はインシデントバーからの入力信号、伝送バーによる出力信号、およびサファイアチューブにおける周方向のひずみを示す。

実験では、HBMのGenesis HighSpeedポータブルデータ収集システムを使用してAEデータを取得しました。HBMは、センサ、変換器、ひずみゲージ、アンプ、データレコーダ、データ収集システム(DAQ)といった試験・計測アプリケーションのソリューションに加えて、構造耐久性解析のソフトウェアも提供しています。

まず、砂を中空の円筒に入れ、AEセンサ(圧力波を電気信号に変換する圧電型デバイス)を材料の境界部分に配置しました。AEセンサは、Genesisに電圧を送るチャージアンプに取り付けました。

爆発力を再現するため、円柱状のロッドで砂を押して圧縮しました。与えた圧力によって粒子は変形し、一部は実際に破砕しました。これにより生じるAEイベントはサブミクロンからmmの規模であり、10kHzから数MHzの範囲の周波数を持つ信号が発生しました。

また、円筒の外側も圧迫し、データ収集システムに接続されたひずみゲージを使用して横方向の変形を追加AEデータとして計測しました。ひずみゲージは、直流10Vの電源が供給されるホイートストンブリッジを使用してGenesisに接続しました。信号は、信号増幅器で増大させました。信号増幅器からの電圧は、別の回路を経てGenesisで変換しました。10MS/sという高速のデータサンプリング速度でも、データ収集システムの表示は正確で高解像度でした。システムに内蔵の10xアンプ/コンディショナも、高品質データの確保に役立ちました。

次に、Genesisで表示されたAEの周波数スパイクを、砂粒の変形と破砕した砂粒の数に関連付けました。その結果、2つの完全に異なる現象を示すデータが特定されました。滑り合う砂粒は低周波で低振幅の音を出し、粒子の破砕は高周波で高振幅の音波を出していました。

信号処理

AEの発生源のエネルギーを算出するなど、各種の信号処理によって変形のプロセスとメカニズムに関する情報が得られました。今回は、データを捕捉するための特殊コードを書き、データをUSBドライブに保存し、コンピュータ上で数値計算用ソフトウェアを使用して破砕した粒子の数を計測しました。この情報により、爆破の規模を推測することができました。基本的に、AE信号の周波数と砂粒の破砕率に関するデータからは、砂によってどのような爆破を防止できるかという知見を得ることができました。

Genesis HighSpeedデータ収集システムは他のシステムと異なり、別のコンピュータを必要としない統合型の電子デバイスです。他のレコーダと比較して軽量なため持ち運びもしやすくなっています。装置は小型ですが、最大96個の完全に設定可能な入力ポートを備えています。大型で使いやすいタッチパネルにより、連続記録やトリガリングなど、希望のデータ記録モードを簡単に選択できます。

実験チームは、収集した情報を別のプロジェクトチームに提供しました。チームは、データを使用して、爆風と砂の相互作用と、それが兵士や車両にどのように伝播して衝撃を与えるかについて深く理解するため、コンピュータで爆発のシミュレーションを実施しました。結論として、Genesisによる処理情報は、兵士の防護服を開発する設計技術者の役に立つことが証明されました。

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