TIM-ECを使用した電動モータ用のEtherCAT対応テストスタンド

 

Dynosens社では、電気自動車のモータ用のテストベンチを開発するにあたって、T40BトルクセンサEtherCATフィールドバスに接続するインタフェースを探していました。そこで、HBMが市場投入しようとしていたTIM-ECが直ちに実用化されました。

 

Dynosens社は、さまざまな種類の原動機と車両用のテストベンチの開発を専門とする企業です。1990年にフランスのオート=サヴォワ県でLa Roche sur Foron氏により設立され、各種の市場(自動車、バイク、スクーター、ゴーカート、トラクタ、農業用エンジンなど)向けに標準設計と特注仕様のテストベンチを年間約30台製作しています。

Dynosen社では、さまざまな開発プロジェクトのすべてにおいて、既存のリソースの有効活用に努め、信頼できるサプライヤの専門技術を積極的に利用している、と最高責任者のYves Rosnoblet氏は言います。「当社では、製品の品質と性能に加え、技術サポートにも定評のあるサプライヤを使用しています。HBMは、15年前から一貫して、当社の力変換器とトルク変換器の主要サプライヤとなっています」。

HBMは、長年にわたりDynosens社と緊密なパートナー関係を築いてきました。そのことを裏付けるのが、最近Dynosens社が受注したCEA (フランス原子力庁)入札公告の案件です。

厳格な技術仕様に基づく特注テストベンチ

この入札公告は、電気モータ用のテストベンチと、ルノー社の電気自動車ZOEの代表的な駆動モータを使用して、モータ制御の法則を検討し、最適化することを目的としていました。CEAは、モータの電子制御装置と計測用アプリケーションについては、自ら供給することを希望していました。

テストベンチは、ZOEの駆動モータと、加速または減速中、あるいは上り坂や下り坂でモータにかかる条件の変化をシミュレーションする装置とを組み合わせて納入されます。充電システムは、トルクまたは速度制御、またはその両方を備えた非同期電気サーボモータです。

テストベンチは、モータのパラメータを検討することを目的としていたため、計測情報(電圧、電流、電力、トルク、速度など)を記録する必要がありました。「仕様書では、これらの計測値をEtherCATフィールドバス経由で送信することが要求されていました」と、Yves Rosnoblet氏は説明します。

EtherCATはリアルタイムの工業用イーサネットで、1990年代初めにBeckhoff社が開発して急速な発展を遂げ、現在では第三者機関(ETG、現在2400をこえる企業が加盟)が管理するオープンスタンダードとなっています。この規格に準拠する製品を開発するために必要なすべての文書とツールは、ETGから提供されています。
通常、EtherCATバスは30μs1000のデジタル入出力、あるいは50μs200のアナログ入出力、または100μs100の動作軸を処理できます(サイクル時間)。

この種の用途に最適なT40Bトルクセンサ

Dynosens社は、新しいテストベンチ用にHBMのトルクセンサ(トルク変換器)を使用したいと考えました。長年HBMの技術に信頼を寄せ、HBMが生み出したイノベーションを高く評価してきました。ひずみゲージを回転シャフトではなく計測フランジに取り付ける方法もその1つで、これによりシャフトのひずみを低減でき、特に動力学的な計測においてより良好な性能を確保できます。

これらのトルク変換器は非常に堅牢でもあり、動作方法や伝達系によって生じる厳しい機械的条件に耐えられることから、熱機関のテストベンチの用途に優れています。このような条件下で、これらのトルク変換器がDynoses社やその他の企業の熱機関用テストベッドの新しいスタンダードになったことは、当然のことと言えるかもしれません。

長年にわたる開発の結果、計測範囲は拡大し(50Nmから80kNMへ)、製品ファミリーは各種用途に向けてより細かく対応できるようになりました。これによってT40B卓越した費用効果を実現しています。過去のモデルと比較すると、性能が向上する一方で、価格は半分になりました。熱機関のテストベンチのスタンダードとしての地位を確立したHBMは、当然、電動モータ向けでも大きな進歩を遂げています。

Dynosens社は、T40Bによってトルクだけでなく速度のデータも得られ、設計プロセスが容易になることを高く評価しています。

重要なポイントとなる信号処理

しかし、テストベンチが設計されたとき、HBMT40B用のEtherCATコネクタを用意していませんでした。計画していたのは、変換器をEtherCAT I/Oモジュールに統合化するという従来型のソリューションでした。

しかしこれでは、Yves Rosnoblet氏が変換器を十分に利用できるレベルの性能は得られません。「変換器メーカーは、フィールドバスコネクタに内蔵される処理機能と診断機能を開発するうえで理想的な環境にあります。自動装置のメーカーが開発したI/Oブロックは個別の用途に特化されておらず、変換器全般に対する最適化や、さらに具体的に言えばT40Bクラスから進化した変換器に対する最適化ができません」。

TIM-ECモジュールを使用したEtherCATへの直接接続

当然、Dynosens社はHBMに相談を持ちかけました。これに対する対応は迅速でした。HBMは、まったく同時期に欧州トップの自動車メーカーから同じ要請を受けていたため、EtherCATインタフェースの開発を加速しました。製品はまだ市場に出ていませんでしたが、Dynosens社は経験からHBMに信頼を置いていたため、EtherCATインタフェースの事実上の「ベータテスト」になり得ると考えてテストベンチの設計に取り掛かりました。

TIM-ECインタフェースは、同意した期限までに納入され、Dynosens社はフランスで最初のユーザになりました。「我々はほんのわずかのリスクを負いましたが、その甲斐がありました。製品はすぐに使用でき、テストベンチへの組み入れには全く問題がありませんでした。性能面では、解像度が工業用I/Oモジュールの範囲を超えるレベルの25ビットに達しています。ご存知の通り、精度はテストベンチのユーザにとって重要なポイントです。何故なら性能を改善するのは精度だからです」と、Yves Rosnoblet氏は満足した様子で説明します。HBMのTIM-ECインタフェースでは、様々なフィルタリング速度を選択でき、計測チェーン全体(変換器からインタフェースまで)に沿った診断情報を利用することができます。

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