機械ストレス分析をするためには、負荷や疲労の計測をひずみゲージで行います。機械的ひずみを示す通常の計測信号に加えて、ひずみゲージは、温度の影響を受けた計測信号を提供します。この信号は、公称ひずみと呼ばれ、実際の計測値の上に重ねて表示されます。

様々な要因が見かけのひずみに影響を与えます:

  • 測定対象物の温度による膨張(機械的負荷ゼロの状態での温度だけからくるひずみ)
  • 温度の変化のために起きるひずみゲージの抵抗値への影響
  • ひずみゲージの計測用グリッドフォイルの熱収縮接続ケーブルの温度応答

ひずみゲージの計測に対する温度の影響は補正できます。例えば、複数のひずみゲージをハーフブリッジかフルブリッジの形に組むことにより補正します。この方法は、ホイーストンブリッジ使用されている原理と同じで、正反対の方向の信号が出る位置に、複数のひずみゲージを配置して影響を打ち消しあう方式です。温度からの影響を打ち消しあうように、ひずみゲージを技術的に正しく配置することにより、ブリッジからの電圧は、機械的負荷のみを表示するようにできます。

ハーフブリッジかフルブリッジを使用した温度補正については、ここまでにして、主要トピックである、ひずみゲージに関する温度応答のマッチングについて述べます。クオーターブリッジタイプのひずみゲージ回路を使用した以下のケースは、まえにのべた4つの要因のすべてを含んでいます。温度の影響を受けた見かけのひずみ量は、温度応答のマッチングにより減少させることができます。

温度応答のマッチング

見かけのひずみは、以下に示すように温度変化を単純化することにより、数式で表すことができます:

ここで:
εs = ひずみゲージの見かけのひずみ
αr =計測用グリッドフォイルの電気抵抗の温度係数
αb =計測対象物の熱膨張係数
αm =計測用グリッドの材料の熱膨張係数
k = ひずみゲージのゲージ係数(kファクタとも呼ばれる)
Δϑ =見かけのひずみを起こす、温度差

ひずみゲージ(ひずみゲージ)を制作するときに、見かけのひずみを最低限に抑える技術的処理をすることができます。計測用グリッドフォイルの電気抵抗の温度係数は生産時の技術的処理を最適にすることにより、数式の条件がお互いに打ち消しあうようになっています;すなわち αr = (αm - αb) • k.です。 つまり、幾何学的形体と抵抗値の点では同一であるが、ゲージが搭載されている材料に対する温度応答のマッチングはひずみゲージの種類により異なります。 その中には、熱膨張係数の広いレンジに対して温度応答のマッチングが取れる材料があります。(例えば、フェライト鋼の熱膨張係数10.8 • 10-6/K やアルミの23 • 10-6/K)。 この場合、ひずみゲージは“温度係数を最適化したひずみゲージ” あるいは、もっと簡潔に“自己補正ひずみゲージ ”と呼ばれています。

見かけのひずみは、直線の要素だけからなる、単純化した公式で表せます。しかし直線の要素でカバーできない誤差成分で、非線形の変数である部分(残存誤差成分)も考慮しなければなりません。 この残存誤差成分を極力小さくするためには、誤差成分が室温付近で最低になるように調整します。 見かけのひずみのグラフがHBMのひずみゲージの箱に印刷されています。多項式関数、通常は3次元関数、によるグラフです。多項式関数は補正の計算に使用できます。下のグラフは、ひずみゲージのデータシートよりの一例です。

もちろん、この補正は材料の熱膨張係数がひずみゲージの最適化にマッチしていることが必要になります。この条件を満たし、かつ、ひずみ計測と並行して温度も計測していれば、残存誤差成分は、適切なソフトウエアにより、測定中(オンライン)や測定後(ポストプロセス)に、計算で除去できます。

関数曲線が示しているように、温度に依存する誤差要因への補正の必要性は温度レンジが広がるにつれて大きくなっています。この逆を利用することもできます。計測の間の熱変動が、ごくわずかな場合は、この種の補正は必要ありません。例えば、計測時間が非常に短い場合や、環境の雰囲気制御が実施されている場合などです。

以下に、残存誤差成分の補正計算の例を、catman AP計測データ取得ソフトウエアを使用して説明します。

補正計算

catman AP計測データ取得ソフトウエア1 はパラメータの設定、計測パラメータの調性、計測値の提供などを、すべてマウスの数クリックの範囲で行えます。パラメータを設定して、このソフトウエアに温度補正の実行を指示する事ができます。

温度補正を実施するためには、補正対象の全チャンネルに関する以下の情報が、このソフトウエアへ提供する必要があります。

  • 各当する温度チャンネルへの関連づけ
  • ひずみゲージのパッケージに書かれている、見かけのひずみを表す多項式関数

関連する温度チャンネルと多項式関数が同一のパラメータを持つチャンネルは一緒に取り扱えます。同じバッチで生産されたひずみゲージは常に同じ多項式関数を持っています。

温度チャンネルを設定するときには、ひずみ計測ポイントでの材料の温度が必要になります。アプリケーションによっては、数ヶ所の温度計測が必要になる場合があります。

catman AP内のひずみゲージ用コンフィグレーションダイアログ(対話型設定画面)には、中央の“計測チャンネル“ワークシートからアクセスできます。実行するには、使用するチャンネルをマークして、右クリックにより "Sensor adaptation(センサの適応)" 画面を開きます。

ひずみゲージに関連する全設定 -- 特にゲージ係数 -- が、このひずみゲージ・コンフィグレーション・ダイアログで行えます。

温度補正に関するほかのパラメータも調整する必要があります:

  • 3次元関数の係数(ひずみゲージパッケージに示されているものを使用)
  • 計測対象の熱膨張係数 (理想としてはひずみゲージと同一の物)
  • ひずみゲージをマッチさせている熱膨張係数(ひずみゲージパッケージに示されているものを使用)
  • 基準温度(通常20°C)
  • 対応する温度チャンネル

これで、catman APソフトウエアは補正済みの計測値を直接提供します。

まとめ

ひずみゲージを機械的ストレスの分析に使用する際には、クオーターブリッジ回路を使用することが多くありますが、温度依存性の要因のため、計測値が正確ではありません。

これを補正するためには、温度の応答性をマッチングさせたひずみゲージがあります。 この方式は、少なくとも誤差の線形成分までを補正します。

残りの誤差成分は、非線形成分のため、その特性はエラーカーブとなり関数化できるので、ソフトウエアを使用して数学的処理で除去できます。

以下の条件がそろえば、温度依存性の影響は十分に補正できます:

  • 材料の熱膨張係数がわかっていて、その係数に対応させたひずみゲージを使用していること
  •  ひずみ計測ポイントの温度を並行して測ること
  •  対応する適切な数学アルゴリズムを持ったソフトウエアを使用すること

1 This description of online temperature compensation also applies to the smaller software package catman Easy. The only difference is that unlike catman AP, compensation in the analysis range (post process) is not possible with catman Easy.

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