内燃エンジンの回転速度は常に一定ではありません。クランクシャフトは圧縮ストロークで減速され、燃焼ストロークでは加速されます。エンジンのフライホイールが回転をある程度までスムーズにしますが、スピードやトルクの周期的振動は明らかに存在し、低速では特にひどくなります。
この振動は駆動系の各部に重度のストレスをかけます。エンジン動力計やモータに対しては特に大きいうえ、その駆動系にはタイヤやサスペンションなどの緩衝部分がありません
解決策は、トルク緩衝用のカップリングです。正確なねじり剛性を持つように設計されています。モータのピークトルクや回転振動は、回転振動ダンパを使用する事により、おおむね吸収されトランスミッションの過剰な消耗を避けることができます。
Dyno Dynamics社がカップリングとして選択したのはTECTOS t600です。エンジン試験業界用に特別に制作されたものです。

TECTOS t600
機械部分の基本レイアウトが決まったので、計装部分に着手しました。優良な動力計の心臓部はトルクと速度の高精度測定です。他のデータの計測も必要ですが、トルクと速度が最重要項目です。
速度計測には、実績があり検証済みの歯車/誘導ピックアップを使用しました。長年の間この方式は信頼性が証明されてきました。
トルク計測には、異なる課題がありました。正確な測定には、ギアボックスの内部抵抗を含めるために、ギアボックスへの入力トルクを計測する必要があります。このためDyno Dynamics社は標準のトルク反作用アームとロードセルが使用できず、シャフトタイプのトルク変換器が必要です。

徹底した調査の結果、Dyno Dynamics社はHBM T40Bに決定しました。15,000 RPM /2,000 Nmの比率が動力計の設計に特に適しているうえ、コンパクトな外形により設置が簡単にできます。非接触での信号伝送ができるフランジ型のトルクセンサT40B です。わずか59 mm厚と非常にコンパクトで取り付けが容易な形状です。
HBMのトルク変換器は、高応答のため、個々のシリンダの爆発トルクをなめらかに評価するためには、追加のソフトウェアによるフィルタが必要です。

T40B

センサを設置した様子:中央の黒色のリングアンテナが見える部分