試験・計測装置に使用する配線の影響度 試験・計測装置に使用する配線の影響度 | HBM

試験・計測装置に使用する配線の影響度

近代的な試験・計測装置においては、そのノウハウや高品質部品が高精度を得るためには不可欠の要素となります。変換器、アンプ、計測ソフトに関しては、高い品質が要求されることを多くのユーザが認識しています。しかしながら、変換器とアンプを結ぶ計測用ケーブルにも高い品質が必要です。計測チェーンの品質は一番弱いリンク部分で限定されるので、高品質の構成部品で最適化することを推奨しています。

 

物理量を測定することは、多くのアプリケーションにおいて極めて重要です。高い信頼性で確実に関連する物理量を測定することは、開発生産ラインの両方で必要です。製品開発時には、テストベンチなどで試験・計測機器が使用されますし、同様に生産では品質管理の中心的機器として使用されます。

測定する物理量にたいして最適なトランスデューサを選択することが、物理量を測定信号に正確に変換するために重要です。また適切な配線ケーブルがアンプに信号を送信して、下流の解析ソフトウェアや上位の制御アーキテクチャにおいて測定値を利用可能にしています。環境よりの電磁干渉の影響を受けずに、非常に低い信号レベルでも、正確に信号送信を行えることが、計測用ケーブルにとって大きな課題です。

 

高度な要求

 

産業用アプリケーションで使用される検査室や自動化ライン向けの配線ケーブルに対しては、高度な配慮が必要になります。製造ラインでは、特にシステムの稼働率が重要になります。このため、例えば、事務所用と比べ非常に高い性能が要求されます。このようなアプリケーション向けのケーブルは対応するコネクタと同様に、特別に耐久性が高いばかりでなく、信号の電送特性が良くなければなりません。もちろん、この計測用ケーブルは機械的特性や試験・計測用の性能が高いばかりではなく、関連する指令や基準に準拠している必要があります。ROHS指令(2011/65/EC) とWEEE指令(2012/19/EC)に加え、各アプリケーション別に様々な指令があります。例えば、ATEX指令(94/9/EC)は爆発の可能性のあるアプリケーションでは重要な役割を担っています。

 

堅牢な機械設計

機械的側面は、ケーブルやコネクタの品質の鍵となります。機械的に堅牢な設計は、高性能な電送特性の前提条件です。高い接触力、優れた導電性及び適切な材質は、コネクタの性能に影響を与える最も重要な要因です。試験・計測機器が様々な用途で使用される場合、接続/切断の頻度に対する適正を考慮する必要があります。また絶縁抵抗絶縁耐圧だけでなく、非導電性の材料部分の静電気の帯電特性も同様に考慮しなければなりません。

使用するアプリケーションによっては、ケーブルは追加の性能を要求される場合があります。例えば、ケーブルが屋外で使用される場合は、油や水だけでなく、耐候性が要求されます。またトランスデューサが可動部に取り付けられているアプリケーションでは、ケーブル品質が移動式に最適である必要があります。つまりこれは、頻繁な移動や許容囲内の曲げに対してケーブルの特性が悪影響を受けないことを意味します。

 

EMCとシールド

ケーブルの機械的特性に加えて、その電気的特性は一番重要です。まずはケーブルがトランスデューサによって生成された信号を実際に増幅器に正しく送信することが不可欠です。例えば、数µVしかないほど信号レベルが非常に小さいことが多いので、干渉のない電送は非常に重要です。例えば、電気駆動装置、周波数変換器や電源などのパワー電子部品によって生成される電磁干渉は、特に工業生産の現場環境では、特に問題となります。信号レベルが非常に小さい信号の場合は、小さな干渉でも影響を与える可能性があるため、EMC指令(2004/108/EC)に準拠している、すべての機器に適用されます。このような環境で干渉されることなく信号を送信する計測ケーブルには適切なシールドを施す必要があります。

一般的に、ケーブルは干渉に対して十分な遮蔽をするためにシールドされています。ほとんどの場合、非磁性材料の銅やアルミニウムなどが、ケーブルのシールド材として使用されています。ケーブルのシールドは、通常、2セットのブレード織線(編組線)を編み合わせるように構成しています。この設計の利点は、ケーブルの高い柔軟性を保ちながら、電磁界からの遮蔽ができる点です。シールドの品質はブレード織線の密度と強度により決まります。保護をする導体の表面の全部分をシールドが覆っていることが重要で、これにより電磁気の侵入を防ぎます。また、良好なシールドを確保するためには、ブレード織の密度を高くして、実面積の約95%以上がカバーされている必要があります。90%未満しかカバーされていない場合には、干渉よりの遮蔽が保証されないので、非常に小さい信号の電送用には使用できません。

 

専門家が計測用ケーブルを提供

オフィス環境でのネットワークケーブルなどと異なり、計測用ケーブルには、シールド性能などの主要な特性を定義する、有効な標準が存在しません。試験・計測の専門家であるHBMは、試験·計測技術の特殊な要件を満たすために、広い範囲で様々なアプリケーション適した計測ケーブルを提供しています。シリーズ7.5/00-2/2/2の 6芯ケーブルは、例えば、特別にキャリア周波数法を用いたアプリケーションのために開発されました。ケーブルは、ワイヤとシールドの間だけでなく、配線自体も非常に低い静電容量を備えています。外側の被覆および中間被覆材の両方がポリウレタン製でケーブル全体の高い柔軟性を確保するように作られています。開発段階では、移動ケーブル向けの耐久性テストを行い、半径75mmまで曲げるテストを繰り返して、その耐久性を確認しています。各ワイヤは、ツイストペア線をシールドして、さらに、すべてのワイヤを追加のシールドでカバーして非常に高い耐干渉性を保証します。このケーブルは、堅牢性、耐摩耗性および耐候性を確保した設計になっていますので、屋外でも使用することができます。

まとめ

信頼できる高精度なテスト結果を得るためには、それなりの最適な条件を整える必要があります。具体的には、トランスデューサから計測ケーブル、アンプ、ソフトウェアまでの計測チェーン全体が、高品質でなくてはなりません。HBM60年におよぶ試験と計測の経験をいかして、各アプリケーションに対して、計測ケーブルを始め全システムにわたって最適なソリューションを提供します。