HBMと行うトラックの排出テスト HBMと行うトラックの排出テスト | HBM

事業用車両テストデータ収集時間の93%を削減

排出基準の変更

2010年1月1日以降に製造された大型トラック・エンジンに適用される環境規制で、米国環境保護庁はNOx排出基準を下げました。この基準をクリアするために、多くの大型エンジンOEM(特に最終生産品がClass7~Class8トラックに使用されるもの)が、選択接触還元法(SCR)を採用しました。

SCRを採用すると、尿素ベースのディーゼル排気流体(DEF)の定期的な添加が、大型トラック・エンジンに必要となります。DEFが排気流に加えられ、触媒が反応します。触媒と流体との相互作用が、不要な窒素酸化物の化学的変換をもたらし、より環境に優しい水と窒素ガスに変換します。自動車の技術者は最適化なNOx排出減少を達成するために、エンジン排気の投与物を継続的に調整する必要があります。

データ取得プロセスの合理化

排気制御とライドコントロール製品の主な一次サプライヤーは、事業用車両のデータ取得プロセスを合理化することを望んでいます。理想的なシステムは、尿素ベースと炭化水素ベース両方の添加物に対する互換性を必要とします。また、エンジン・インタフェースの柔軟性を継続的に確保する必要があります。テストは、独立の投与量システムの運用、または、ダイレクト電子制御装置の組込方式のどちらかを使用していました。

しかし、顧客は厳しいニーズを満たす製品が無いことに気づいており、大規模な自動車のDAQ専門的技術、優秀な技術サポート、および類似のアプリケーションで立証された実績を持つ、HBMと協力することになりました。

HBM SoMatで排出テストをサポート

車両排気テストが約30台のトラックに対して行われ、技術者が各車両のエンジン性能データとNOx排気データを集めました。車両のCANメッセージを含むデータ収集には、12台の携帯式で堅牢なHBM SoMat eDAQliteデータ収集システムを使用。同時に、テスト用車両の2番目のグループには、トラックの加減速度レベルを測定するのに、フルサイズのeDAQを追加して使用しました。モジュール構造で、イーサネット・ベースのHBM SoMat eDAQは極限環境でも高信頼性を保つように設計されています。

単一の、密封された独立システムが、データ処理、計測開始、知的なデータ保存、および複雑な計算を提供します。eDAQは最大100kHzのサンプルレートで、最大96個のアナログの測定チャネルの同期データ(平行な)を収集できます。さまざまな種類の信号処理方式が使用可能で、アナログ、ひずみゲージ、熱電対、ディジタル入出力、パルス・カウンタ、GPS、および車両のバス入力などをサポートできます。また、システムは、10-60 VDC入力電源と20Gクラスの筐体のなかで、稼働するように設計されています。それは、高精度に、各テストの瞬間状態のデータを提供するために、物理的データ、車両バス・メッセージ、およびGPSデータを相互に関連させます。また、完全に拡張可能で、複数のeDAQシステムを連続してネットワークにつなぎ、無数に同期チャンネルを増やす能力があります。

eDAQlite(eDAQのコンパクトなバージョン)は、32個のアナログ・チャンネルを持ち、仕様はeDAQと同様の高性能タイプです。このバージョンは、設置を容易にするため設置スペースが十分に小さいので、スペースに制約のある環境に適します。両方のシステムは主要プロセッサ層(eDAQ用にECPU-PLUS、eDAQlite用にはELCPU)から構築されたモジュール方式です。次の層は、特定のセンサ入力、ディジタル入出力、および車両ネットワーク・コミュニケーションに対応するために、ユーザの裁量で追加できます。

このアプリケーションの中で、eDAQとeDAQliteは、NOx排気量制御製品を、評価項目を増やしながら、段階的に評価して、その性能を調整できます。このデュアル・アプローチは、多くの高品質なテストデータを網羅できます。しかしながら、内蔵の記録データを、分析と報告のために、ローカルPCに簡単に転送する必要があります。

HBM nCodeで時間を節約

現場の自動車試験技術者は、収集したデータをダウンロードしてフィルターにかけ、分析するために、車両1台で一日に平均30分かかります。30台の事業用自動車に対しては、合計15時間のデータ収集時間になります。事後収集では、データは各レコーダーから手動でダウンロードされて、nCode GlyphWorks®でフィルター処理されます。

GlyphWorksは、強力な試験工学データ分析ソフトウェアで、自動車の耐久性と疲労分析に適しています。多量のデータを扱うように設計されていて、ソフトウェアはグラフィカルで、プロセス指向の環境を提供します。事前に定義されたルーチンで分析するか、ドラッグ・アンド・ドロップで分析構成要素を組み合わせて、カスタム設計に従った分析を実施できます。GlyphWorksは時間、頻度、統計分析、連動しているGPS、およびビデオ表示を含んでおり、事業用車両テストの手順を標準化する際に特に役に立ちます。このアプリケーションは、事業用車両排気の頻度と持続時間を測定するのをサポートし、集めたデータはnCode AutomationTMシステムにアップロードされました。

nCode Automationの使用で、データ保存、分析、および報告が自動化されます。また、nCode Automationは、ウェブベースのインタフェースで、複数の技術者間によるテストデータや他の情報の共有を可能にします。強力で拡張可能な格納、分析、および報告プラットホームにより、技術者は、傾向データと相関データの両方を、より有意義な形で処理して、分析できるようになります。SQLまたは基本的なデータベース構造を学ぶことなく、複雑なクエリ構築ができます。

このプロセスで、技術者はnCodeシステムに記録データを移すことに関し、新しいワークフローのボトルネックを確認することができました。リモート無線データ伝送を行うための3Dモデムが、各トラックに組み入れられています。また、HBMは、自動的に指定の間隔で、記録メッセージを効果的にダウンロードできるカスタムソフトプログラムを開発しました。後で他の要素と関連付けた分析をするために、nCode Automationにアップロードすることができます。また、HBMのソフトウェアを使用して、技術者は格納されたドライブ・データを他の車両テストやテストベンチシステムにアップロードすることができ、顧客がデータ取得と分析の効率を改良できるより普遍的な手段として使用できます。

データ収集時間の93%削減

SoMatデータ収集システム、nCodeソフトウェア;  二次カスタム自動データ・ダウンロード・プログラム; リモート無線データ伝送能力; そして、自動化されたワークフローから構成されており、事業用車両データ収集が、非常に効率化できることが証明されました。

毎回15時間かかった30台の処理が、データの質や量を犠牲にせずに1時間以下に短縮。これは依頼の方式に比べ、実質的に93%の時間節約を示しています。さらにデータ管理業務から、技術者の人的資源、NOx SCR排気制御の製品を改良する方向に転換できるようになりました。

新たな人的資源の創出で、製品を市場に投入するまでの時間を短縮することが可能になりました。大型トラック事業用車両の排気テストの厳しい要件にたいして、現場で実証済みで、完全に合理化された計測ソルーションを導入することにより、HBMは2重の利益を提供しています。