Halvar Schmidt博士、フラウンホーファ構造耐久性・システム信頼性研究所

インタビュー記事: Halvar Schmidt博士、HBMアワード2014を受賞

ダルムシュタット(独)で開催された第4回構造耐久性シンポジウム(SoSDiD)において、Halvar Schmidt博士(ハルバー・シュミット博士:フラウンホーファ構造耐久性・システム信頼性研究所の科学者)は、彼の論文「様々な負荷における接着構造物の振動強度分析」が、HBMアワードを受賞しました。

軽量であることを大きな利点とする複雑な構造の自動車部品を、接着により作る設計手法が、シュミット博士により開発されました。このインタビューでは、シュミット博士の手法がもたらすメリット、そして自動車開発にとって、それが何を意味するかを明らかにします。

記者: シュミット博士は、非常に軽量であることを特徴とする、複雑な構造の自動車部品の製造を可能にする計算手法を開発しましたが、この方式の主な利点は何ですか?

シュミット博士: 1つの大きな利点は、実際のアプリケーション用に開発した点です。 この手法は、実験によるパラメータの決定とコンピュータの疲労寿命解析において、特に実用性を意識して設計されました。これは計算過程における特別な方式、試料の処理方法、負荷のかけ方などを配慮しています。(図1と2を参照)。 例えば、短いコンピュータ処理時間で済む純粋に直線的な弾性計算を使用したり、システム拡張性を活用したりすると、短時間で実質的な結果が得られます。

また、ランダムに変化する実際の負荷を検証した結果(図3を参照)、接着で作られた軽量構造物は、非常に将来性がある事がわかります。

図1: 実部品と同様のサンプル、(左:実部品、右:CADモデル、取り付け部品付き)
図2: 使用された荷重スペクトル、"CARLOS垂直、特注版"

記者:この研究の結果は、自動車開発者にとってどのような意味を持ちますか? また車体構造の開発期間を革新的に短縮することができますか?

シュミット博士: この研究は自動車産業の革命に直ちに繋がるものではありません。 接着技術は耐久性に関しての研究が始まったばかりです。 これまでの結果、接着箇所の振動強度に関して科学的な評価を行い、最大限に可能性を引き出す設計ができるようになりました。試作品の制作では、信頼できるコンピュータ分析で、オーバーサイズや過剰な重さによる不要なコスト高を避けることが可能になります。

記者:  この研究により、薄い溶接鋼板を使用した予備試験として、初期のひび検出に関する不良の基準と方法が、試験により明確にされました。 この試験で、ひずみゲージと熱の弾性応力解析の両方が、周期的な剛性とストレスを分析するのに使用されましたが、ひずみゲージの利点は何ですか?  またHBMのひずみゲージを使用すると決めた理由を教えてください。

シュミット博士: 一般に、ひずみゲージの利点は、正確に定義可能な領域のひずみを、高い感度と信頼性で測定する能力です。 初期のひびが発生した時点で、非常に小さい変化に反応することが可能になります(この場合は、接続箇所のエリアに起こるひびの発生とその拡大に伴うストレスの移動から生じる表面ひずみを計測)。 またHBMのひずみゲージは、以前にも使用したことがあり、信頼性と計測精度が良かったので、今回も使用しました。 また、今回のアプリケーションに適した様々な種類のひずみゲージが利用可能(図4参照) な点も重要でした。

図4: SGが搭載されているスポット溶接</br>されたサンプル
スポット溶接された</br>サンプルのひずみゲージ計測
SGが搭載されている接着サンプル

記者: 疲労寿命のコンピュータ解析に対する改良が、接着型軽量構造物の普及を促進しています。 この研究では、nCode GlyphWorksソフトウェアを使用していますが、このソフトウェアソリューションの性能の評価をお願いできますか?

シュミット博士: まず、このソフトウェアは非常にユーザーフレンドリーです。使い易いコントロールインターフェースに加えて、計算方法を開発したり展開したりする時に重要なデータ処理や個別の要件に対応するためのオプションが使用できます。このnCode DesignLifeソフトウェアに関連して、既に実現している概念と手法は、行き届いた内容を含んでおり、それに対応した実用的な用途を多数提供している点を評価しています。

図5: HBMのnCode GlyphWorks
図6: HBMのnCode DesignLife

記者: この研究は、部品に起こる破壊のメカニズムに基づいた疲労寿命解析を、意味ある形で適用するためには、ひびの発生と進行に関しては、それぞれ個別の考察が必要であることを示しています。この点に関して、光ファイバーセンサグレーチングの重要性は何でしょうか?

シュミット博士: この領域では、高度な重要性があるにも関わらず、知識が大きく不足しています。例えば、コンピュータ設計用の基礎データを発生させるために必要な光ファイバーセンサグレーチングに関しても情報が不足しています。今日では、よく使用されるようになった繊維強化プラスチック(FRP)に、光ファイバーセンサグレーチングを組み込むことができるので、これを利用した有望なオプションが提供されるようになってきました。(FRPは、電気自動車の高電圧の環境に使用されています)

図7: HBMからのOptiMet OMFシングルモードファイバ

記者: 将来の研究目標について、お話いただけますか?

シュミット博士: 研究所としては接合部分の耐久性に関して、包括的な理解を進める研究が、多く残っています。特に接着剤を使用した接続に関する研究が重要です。 接着剤による接続に関して、知識不足がまだあります。例えば、多方向から負荷を受けた場合の接着構造物の疲労寿命のコンピュータ解析、構造を支える接着部の振動強度などの課題に対して、知識のレベルを深める必要があります。ダルムシュタット(独)のフラウンホーファ耐久性研究所では、最近プラスチック用に開発された多層構造の接着層を使用した2重硬化型の接着剤のテストを行っています。

私の個人的な将来の研究目標は、部品ではなく車両全体の耐久性に関する一般的な研究を考えています。

HBMへのお問合せ HBMやHBMの製品について「もっと詳しく知りたい」、「わからないことがある」、「こんな製品を探している」などございましたら、お気軽に下記お問合せフォームでご連絡ください。