ひずみゲージが道路(ルートA2,マーストリヒト)の沈下を警告 ひずみゲージが道路(ルートA2,マーストリヒト)の沈下を警告 | HBM

ひずみゲージが道路(ルートA2,マーストリヒト)の沈下を警告

Avenue2建設共同体(Strukton社/Ballast Nedam社)は、現在、マーストリヒト市の地下を通る高速道路A2の新ルートを作るために、オープンカット工法でトンネル掘削工事(大きな溝を地表から掘り進み最後に天井部分を建設)を行っています。これは複雑な建設プロジェクトになりました。何故なら掘削の下部が地下22mにあるうえ、掘削箇所の水平方向のエッジが共同住宅の区画からわずか3mほどしか離れていないこと、また土壌の特性が影響することなどです。 掘削の安定性と地盤沈下の危険性がないことを24時間連続で監視するために、Avenue2共同体はHBMの協力のもとで、掘削箇所で使用される横方向に走る支柱にひずみゲージを設置しました。ひずみゲージはシートパイル工法で使用する縦方向の板状の鉄クイが支柱に加える力を計測するのに使用されます。

掘削工事の進行を妨げる不確実性の主原因は土壌の特性です。 長さ2.3kmのルートの地盤の一部に脆弱な泥灰土層が存在しているからです。 これは通常かなり堅い土ですが、泥灰土中の水圧が増加すると、トンネル掘削箇所の底部の強度が下がる可能性があります。 その上、泥灰土は水分や空洞(カルスト地形)を持つ砂利のポケットを含む可能性があります。 地盤強度が低くなり過ぎるか、またはカルスト地形に遭遇すると、掘削部の下部から泥水が噴出する可能性があります。 適切な対応を迅速に行わないと、地盤沈下が発生し掘削箇所の崩落や建設物への損害が発生し、プロジェクトが遅延する可能性があります。 このため、Avenue2共同体はリアルタイムで掘削箇所周辺の土壌の状態を常時監視するシステムを開発しました。

リアルタイムで監視

「私たちは、土壌特性の変化を監視し、同時に地盤沈下をタイムリーに防止する技術の組み合わせをこのトンネル工事で使用しています。」とGalenkamp氏(Strukton社の監視技術専門家)は説明します。 「掘削箇所に隣接した建築物の外壁の状態を連続して計測します。またシートパイル(鋼矢板と呼ばれる板状の鉄クイ)の外側に自動傾斜計を取り付け、パイルの内側には垂直管に設置した圧力センサで水圧を計測します。 さらにシートパイルを支える水平方向の支柱上で負荷を計測します。 この計測は、ワールワイクのHBMにより供給/設置されたひずみゲージで行いました。」

HBMが行う作業は、かなりの困難を伴いました。 現場でのスケジュールがきつく、作業へのプレッシャーが大きくなりました。 支柱の事前準備が問題となりました。各支柱の上にひずみゲージを設置するのにまる一日は使用できないので、HBM側の作業に柔軟性が要求されました。

観察法

Galenkamp氏によると: 「最大4層の支柱が、0m、4.5m、11.5m、16.5mの深さレベルで掘削箇所に設置されました。」 ひずみゲージは最下層の支柱で弱い石灰岩に対処しなければならなかった掘削部分にだけ使用されました。 支柱3本あたり1本の割合で、ひずみゲージ4個を1セットとして支柱の円周方向に均等に分散させて取り付けました。 データは、直ちにデジタル化されて、オンラインで掘削の結果が監視できるようにしました。 「掘削溝を掘るには段階を踏んで行いました。まず溝の中央を掘り、次に打ち込んであるシートパイル側へ掘り進む方式で行いました。私のタブレットの画面上で、負荷がリアルタイムで増加する様子が観察できます。これは観察法と呼ばれる方式の好例で: 事前に危険な変動に対する対処法を計画したうえで、作業の出発点からリアルタイムで状況観察を常時行い、随時設計の最適化を図る方式です。」

リミット値の超過がゼロ

計測システムは、これまですばらしい成果を発揮しており、稼働率は98パーセント以上になっています。 支柱上の負荷と水圧は毎日24時間監視されました。 事前に設定されたリミット値を超えた場合は、自動的にアラームがSMSによって送信されました。 リミット値としては4000kN (これは400,000キロの力が各支柱にかかった場合と同等)を、工事責任企業が対応すべきレベルとして確立しています。 介入を行うリミット値は6000kNに設定されました。緊急時の対応組織は昼夜を問わず出動できるようになっています。

「観察法の初期フェーズは今回で完了しました。しかしリミット値に達するケースはゼロでした。」とGalenkamp氏は述べています。 「支柱への負荷は、溝の掘削が進むにつれ増大しましたが、4000kNレベルには到達しませんでした。 支柱に対する負荷が突然の変化した場合がありましたが、これはシートパイル外側の土壌に一時的な変化があったためで、その状況はすぐに安定化しました。 システムは、精密なので太陽光が支柱を加熱すると負荷に影響が出ることを観察できます。」 観察法の第2段階と最終段階は今年の12月に始まる予定です。

安全を向上させる監視

「掘削時の安全を確認するために監視をします。 これは、第一に掘削現場の設備と人の安全性を確保するためですが、同時に掘削箇所と周辺の建造物に対する損害を防ぐためです。 監視する過程では、プロジェクトのさらなる進歩に役立つ情報を集めます。 負荷の大きさが、常にリミット値以下に保たれている結果から判断して、掘削に使用する支柱数の削減を検討できると思います。 これは製造コスト、輸送コスト、および道路閉鎖期間の最小化に通じます。 さらに総合的な時間の節約も見込まれます。 この最適化は、監視システムの費用も短期間で償却できることを意味します。」

「意義ある節約が予期していなかった箇所から得られました: 泥灰土の排出が困難と判明(水圧が好ましくなく、リミット値を超える場合がある事を意味します)しましたが、この土壌の脆弱化は支柱側の圧力を増加すること補正できます。 当社が提供した掘削に関する対策情報を、現場の技術者が活用して、結果として工事の遅延を防ぎました。」

Galenkamp氏は、「監視システムのおかげで、将来のプロジェクトではさらに効率よく実施できる可能性がある。」と結論づけています。 「建設業では、コストと安全の間のバランスを常に考慮しています。 建設業者は、デザイナーが保守的過ぎると考え、逆に、デザイナーは建設業者があまりにリスクを冒しすぎると考えます。 私たちのデータは、客観的事実を議論に加えることができると思います。 「リアルタイムの監視・データモニタシステムは、建設の際にどんな力が働いたかを記録・分析することができます。この結果、建造物の強度と安全性を確保する一方で、工期の短縮と材料の節約を行いコストも削減するような設計が将来可能になります。」

The Customer

Strukton