実際のアプリケーションで良くあるのは、使用する力センサに高い負荷が最初からかかっているが(初期負荷)、その初期負荷は計測の目的ではない場合があります。 本文は、初期負荷に加えて変化する非常に小さい力を計測するアプリケーションについて述べます。

標準的アプリケーション例:

  • ボルトに取り付けタイプのワッシャ型力センサがあらかじめ一定の力で締め付けられており、このセンサで非常に小さい力を計測する必要がある
  • かなりの力で所定の場所に固定されたセンサを使用し、そこにわずかな力が加わった場合の変化を検出する必要がある

この記事では、圧電式センサひずみゲージ式力センサの利点について、実際のアプリケーションを使用して説明します。

圧電式計測技術の利点

圧電式センサの設計。 力を加えると電荷中心が動きます。 水晶の表面に発生する力に比例した電荷を計測することができます。

力を加えると圧電式力センサは、電荷を発生します。 上図は動作原理を示しています。

力に比例した電荷が発生します。 電荷の計測単位は pC (10-12 クーロンは3.12 × 10-6 一次電荷と同等)です。

圧電式力センサの材料としてクォーツを使用するタイプは、4.3 pC/N の感度を持っています。 これは、1ニュートンの力がセンサに加わると、4.3pCの電荷が発生することを意味します。 新型センサCFT/25kN は圧電性結晶としてリン酸ガリウムを使用しています。 利点は感度が2倍になることです。 つまり同じ負荷に対して2倍の電荷が発生します。 電荷の信号はチャージアンプに送られます。(アンプはこの信号を0~10Vの信号に変換します)。

この技術の利点は、材質が同じ場合、センサの感度が公称(定格)力の大きさにかかわらず一定であることです。 このため非常に小さい力を計測するのに測定レンジが非常に大きいセンサを使用できます。 この技術を好むもう一つの理由は、電荷を物理的にゼロに設定できることです。 前例のように最初から圧力がかかっている場合には、短絡により入力値に対して0pCの電荷を表示することができます。

この場合、計測する力に応じた計測レンジに対してチャージアンプの感度設定を高くできます。 初期負荷は無視できます。 初期負荷があっても全くなくても、圧電式力センサの分解能と精度は影響を受けません。 リセット機能を使用してチャージアンプの入力値をゼロに設定することができます。

初期負荷がある場合の圧電式力センサの働き: 初期負荷確定後に、計測チェーンをゼロにリセットできます。 これで、非常によく調整された小さな計測レンジでチャージアンプを操作できます。

事例:

ボルトに設置されたフォースワッシャ。 目的は、ネジ取り付け部分にかかる引張力を計測することです。 最初に、ネジ取り付け時に初期負荷がかかります。 初期負荷はフォースワッシャ自体で計測できます。 チャージアンプ上でリセットを行うことにより、計測チェーンのゼロバランスを実行できます。 これで入力には電荷が全くない(電荷=0)状態になります。 次にチャージアンプは、どのような計測レンジにも設定できるので、非常に小さい力でも正確に計測できます。

以下の点に注意:

  • この計測は、あらゆるレンジに設定可能なCMD600などの近代的なデジタルチャージアンプで簡単に行えます。
  • ここで示される例はフォースシャントの計測です。定量的な計測をする前に、設置された状態での校正が必要です。詳しい情報は力センサの設置をご覧ください。
  • 圧電式力センサはドリフトします。 このため定期的にゼロ点補正をするか、ハイパスフィルタを使用する必要があります。 どちらも利用できない場合は、ひずみゲージ式のセンサを使用します。

ひずみゲージ式技術の利点

左: スプリングエレメント、中央: 計測される力は変形を引き起こします(ひずみはゲージにより抵抗値の変化に変換されます)。 右: ホイストーンブリッジ回路が抵抗値の変化を計測可能な電

ひずみゲージ(SG)に基づくセンサは以下の原理で動作します:

  • 力がスプリングエレメントに加えられると、そこに小さな変形が起こります。
  • 変形を電気抵抗の変化に変換するために、ひずみゲージは適切な計測点に接着されています。
  • 特別な配線(ホイストーンブリッジ回路)と供給電圧により、抵抗値の変化は計測可能な電圧に変換されます。

SGセンサの利点は、ゼロ点や感度の温度係数、曲げモーメントの影響、またリニアリティなど、様々な特性の物理量で電気的に校正ができる点です。 使用条件によっては、この方式により比類のない精度が達成できます。

このタイプのセンサの出力信号は電圧です。 出力電圧は常にセンサに供給する励起電圧に依存します。 誤差要因(温度、寄生負荷など)から生じる影響を考慮に入れない場合は、出力信号は2つのパラメータで決定されます:

  • 相対的ゼロ信号誤差」とは、無負荷の時にでるセンサの出力信号です。
  • センサに負荷された力は、上で説明したように、測定できる電気出力信号に変換されます。

ゼロバランスをソフトウェアか計測ブリッジアンプ上で実行した場合は、常に上で説明した2つの電圧に対する足し算か引き算になります。 これは通常、アンプかソフトウェアによる演算で行われます。  計測チェーンの出力電圧は変わりません。 センサの計測レンジは、全体の力に対応した選択になります。つまり初期負荷と計測目的の力の合計です。

電源ケーブルを支えるスチールケーブルをモニタする上記の例では、ベース圧力に比べ引張応力における変化は非常に小さい値になります。 広い計測レンジの中で、微小な変化を計測する必要があるので、非常に高い分解能が必要となります。 また、力測定チェーンにおける誤差は、計測する力の変化量に比べて十分に小さくなくてはなりません。

影響量(特に計測の不確実性観測におけるフルスケール値に関連するもの)が、ここでは大きな要因になります。 この話題に関する詳細は、「高精度イコール高効率:特に精度の高い変換器を使うと新しく用途分野が拡がる理由」をご覧ください。 信頼性の高い計測結果を得るには、ゼロ点補正に対する温度の影響が低いこと、直線性誤差が小さいこと、およびクリープが小さいことが非常に重要です。 しかしながら、高い公称(定格)力があるセンサを使用して非常に小さい力の計測をする場合と異なり、このアプリケーションでは感度の温度係数が重要な要素になります。 上述ように、センサに負荷がかかると出力電圧が発生しますが、この出力でアンプがゼロに調整されていると、その値は表示されません。 センサの感度が温度の影響で変動すると、出力信号は直接影響を受けます。 常時存在する初期負荷が増加すると、この影響も増加します。例:高いロープ張力。

以下の点に注意:

  • 放射状に対称に配置された剪断力センサは、非常に正確なうえ堅牢で、特に温度変動があるアプリケーションにおいて、有効性が証明されています。 このタイプのセンサはクリープが非常に小さい(30分で250ppm)だけでなく、特に温度誤差が非常に小さくなっています。 新型の C10圧縮型力センサ には、ゼロ点における温度依存性が75ppm/10Kほどしかありません。U10M力センサは同様に優れた特性を持っています。
  • S形の力センサ(S2MS9M)は、小さい力の計測用に向いています。 同様に非常に高い精度を持っています。 しかしながら、放射状に対称の剪断力センサと異なって、動的挙動における性能面に限界があります。
  • SGセンサは特性が変動しないので、ハイパスフィルタの採用や定期的リセットが使用出来ない場合は、この方式を使用します。

まとめ

微小な力や変動を計測するには、センサ精度が非常に重要になります。

圧電方式の利点は、チャージアンプの計測レンジを選択できるので微小な力を正確に計測できることです。

SG式力センサは非常に高い精度で利用可能になっています。 動作原理上、温度依存性やリニアリティ誤差が小さくドリフトが全くないので、定期的なゼロ点補正ができないプロセスでは、第一候補になります。

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