力センサの精度をさらに改善

細かい部分での様々な技術的改良の結果、HBMの高精度 力センサU10M精度がさらに向上しました。これにより、どのような利点があるかを述べます。U10Mはもともと高精度なセンサで、堅牢な構造を持っています。このセンサには様々なタイプがあり、最高保護等級IP69、耐腐食性、曲げモーメントの影響を受けないなどの特長があります。また、モジュール型で、自由に構成を変更できます。これまでの技術的な取り組みにより、直線性、ヒステリシス(相対往復誤差)などの誤差要因が最適化された結果、計測の不確かさが小さくなりテストの有効性が向上し、最終製品検査での廃品率が減少することで、お客様の投資コストを減少できます。

力センサの計測に関するエラー解析

力センサで計測する際には、2種類の誤差要因を区別して対処します: 負荷の大きさにかかわらずある一定の大きさで発生する誤差と、負荷に比例して発生する誤差の2種類です。

ゼロ点における温度影響負荷の大きさに影響を受けない誤差の例です: この計測誤差は、計測される力の大きさに関係なく、ある特定の値を持っています。そのような誤差が出力信号に対して比較される場合、例えば、非常に小さな力の値を計測しているときは、TC0の影響が著しく大きくなります。誤差の絶対値は常に同じなので、計測信号値が小さい状況では、相対的な影響の度合いは増加します。しかし直線性誤差は最終計測値の大きさに比例しています。

実際の値に比例する誤差(実測値に依存する誤差)は、実際の適用された信号に比例して計算されます。これには、例えば、感度の温度依存(TCS)やクリープ、校正の許容誤差などがあります。

誤差の計算

誤差は以下の原則により計算されます:

  • 全ての誤差はメーカーの技術資料に基づいて計算されます(TC0、直線性の影響、ヒステリシスなど)。パラメータが、計測範囲の最大値(フルスケール)に対してなのか、もしくは計測値に対してなのかに注意してください。つまり、フルスケールに関連するのか、実測値に関連するかの違いです。また、プロセスパラメータも考慮に入れてください。

  • この誤差には分布のタイプによって統計上の数値が割り当てられます。あくまでも計算上の計測の不確かさを低減する方法にすぎないため、評価の段階では無視してかまいません。詳細はここでは言及しません。

  • すべての個々の誤差の二乗を合計して、その平方根を算出します。
  • この結果は、計算上の計測の不確かさが実際の計測で達成される確率を決定する要素になります。

上で説明したように、フルスケールに関連した誤差要因が特に重要です。しかしながら、最大の誤差要因に注意する事も重要です。上で説明された手順で、影響が最も大きい物理量を合理的に最適化する場合にだけ、意味ある改善になります。特性の一か所を改善するだけでは意味がありません。優良な力センサには、それ相応の特長を持っています。

どのパラメーターが最適化されたのか?

U10M改良の一環として、実際に真の改良をもたらす特性のすべてを最適化しました。改良点に関する、短い説明付きのリストを以下に示します。

相対的な再現性誤差

相対的な再現性誤差とはセンサが精度を再現できる能力のことです。力センサに、繰り返し同じ大きさの負荷にかけた場合の、計測値の分散の大きさはどうなるでしょうか? 相対的な再現性誤差はこの分散に関する情報です。この分散値が小さければ小さいほど、センサがより良く計測値を再現していることになり、校正の結果がより確かに実際の計測に反映されます。

直線性(リニアリティ)

直線性は、センサの意図している理想の特性曲線からの計測値の偏差(ズレ)の大きさを示しています。直線性が小さければ小さいほど、校正ポイントの間の力の計測値がより正確に計測できます。

ヒステリシス(相対的往復誤差)

センサに対する負荷を、公称値まで段階的に増加させ、その後減少させた場合では、同じ負荷に対する計測値に差が出ます。このが力センサのヒステリシス(相対的往復誤差)です。大きい力の計測範囲で動的計測をした場合は、ヒステリシスは、主要な誤差要因になります。

クリープ

弾性材料とひずみゲージからできている力センサ部品の弾性効果のおかげで、一定の力がかかっている状態では出力信号に対しては小さな影響しかありません。このため大多数の計測タスクでは無視できますが、より長い期間の計測がおこなわれる場合は、クリープ値が小さいことが重要になります。

ゼロ信号における温度係数(TC0)

TC0は重要な技術特性で、多くの場合、最も重要な値です。温度が変化するとき、力センサのゼロ信号の大きさを示します。この値は計測値の大きさにかかわらず重要な値ですが、小さい力を計測する場合は、特に重要になります。計測値が小さくなると、相対的な影響度合は大きくなるからです。

力センサU10Mの最適化により達成された改良点

上で説明した誤差要因のすべてがテストベンチで確認されており、計測の不確かさに影響する物理量です。

 

調整前の取り付け位置(計測値に対する%)での再現性誤差

 

クリープ(計測値に対する%)

 

直線性(フルスケールに対する%)

 

 

ヒステリシス(フルスケールに対する%)


 

TC0に関しては、150ppm10Kである現在の値は既に非常に良い値ですが、多くのアプリケーションにおいて追加の微調整ができます。これを実施するには、オプションの「200%の校正」を適用できるかチェックしてください。これは、力センサU10Mが公称値の2倍の力で校正されることを意味します。例えば公称値50kNの力センサは100kNで校正されます。これは、2倍の出力値を使用することを意味します。現在までに行われた改良と、このオプションにより、TC0を75ppm10Kまで減少させました。U10の機械的公差により、全く問題なく実施できました。しかし、2つの点にご注意ください:

  • Ÿ   アンプの入力範囲が適切であること: 5mV/Vが、校正に使用される最大の力(100kN以上)を利用するためには必要です。より小さい力を計測する場合は、その規模に比例して縮小できます。

  • Ÿ   許容周波数の振幅が小さくなる:例えば変化が激しい負荷の場合、Peak-to-Peakは校正値に合致します

アプリケーションにおける利点

力を計測するとき、通常、必要とされる精度が想定されます。力の計測精度は、使用されるセンサに依存するだけではなく、計測される力にも依存します。計測の不確かさは、力がより小さいとき、より大きくなります。逆に、精度が先に定義された場合は、力センサの精度が低いと計測範囲は大きくなります。

最新技術の実務での利点:

  • 拡張計測範囲: 高容量センサでは、既存の精度(負荷範囲の一部で計測)で、より小さい力を計測できます。
  • テストの必要条件が増加しているので、計測技術の必要条件も増加します。力センサを長期間にわたり十分に活用するためには、現在利用可能な精度と周囲条件に対する耐久性が長期間利用できるような将来性のあるセンサを選択してください。
  • Ÿ計測公差をより大きく組み込んでください。センサを計測範囲のより下側で使用すれば、安全側で計測チェーンを構築できます。過負荷のリスクがあれば、容量の大きいセンサを選んでください。通常、精度に関しては、計測の容量だけでは目的を達成できません。

  • Ÿ 不良品を低減: 生産工程をより高精度に制御するには、センサの計測精度を改善する必要があります。合否判定において、部品は良品の判定基準値(黄色部)から計測の公差(赤のエリア)を引いた値の内側にある場合に合格となります(正規分布の斜線部)。図が示しているように、計測精度が上昇すると、赤いエリアが減少し、許容部品数が上昇します(右図)。いいかえれば、不良率も力計測チェーンの計測精度に依存しています。

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