高強度部品に対する優良な構造試験 高強度部品に対する優良な構造試験 | HBM

高強度部品に対する優良な構造試験

長年の間、 ひずみゲージ(SG)  は、ストレス解析試験で真価を発揮しています。主には、部品や構造体などの重要基幹部分に対する疲労寿命解析です。優良な結果が得られるひずみゲージベースの計測チェーンを使用することで、アセンブリや構造物に対する実際の負荷やシミュレートされた負荷に対する効果を解析できます。

ファイバ複合材などの新しい高強度材に対する計測は、特にその材料の機械的性能限界まで解析する場合は、高度な技術力を必要としますがやりがいのある課題になっています。長期間、高い負荷レベルの振動にひずみゲージがさらされると、試験対象の材料よりも早くひずみゲージが劣化してしまう場合があります。

負荷変動に対する耐性

機械部品の疲労に対する耐性は、負荷変動に対する耐性として説明できます。材料特有のS-Nカーブの図を作成して説明できます。S-Nテストでは、一定の振幅で周期的(通常正弦波)な負荷が材料サンプルに加えられます。このテストは、材料が機能を失うまで(破損するまで)行われます。このテストを異なった振幅で繰り返し、その都度、破損するまでの負荷繰返し回数を記録し、その結果をグラフに表すと、S-Nカーブが作成されます。材料破損までの繰返し数は対数関を使用してx軸に、振幅は機械的ストレスもしくはひずみの大きさとしてy軸に入れます。

以下のグラフは、3種類の材料それぞれのS-Nカーブを示しています。ファイバ複合材は負荷変動に対する耐性が高いことが、明確にわかります。

ひずみゲージのS-Nカーブ

ひずみゲージ(SG)自体も疲労により劣化するので、S-Nカーブがあります。これはゲージの材質(特に格子材料)、レイアウト、および設置状態の影響を受けます。ニッケルクロム合金の特別な計測格子のひずみゲージは、コンスタンタン計測格子の標準的ひずみゲージより、負荷変動への耐性が高くなります。

ひずみゲージの形状に関しては、角張っているものより曲線形状の方が負荷変動への耐性が高くなります。ひずみ緩衝機能があるはんだタブは、接続ケーブルからの機械的ストレスがひずみゲージに伝わるのを緩衝し、はんだタブと計測格子間の破断を防ぎます。ひずみゲージ開発者は、複雑な耐久性テストから得られた経験を利用して、適切な設計を行なっています。

対照的に、ひずみゲージの設置作業はユーザーが行います。ここで極めて重要なのは、接着剤は非常に薄く塗ること、また、はんだはできるだけ少量で済ませることです。これは、できるだけはんだ接合点の柔軟性を確保して、破損の限界点を設定しないで済むようにします。しかしながら、ひずみゲージのS-Nカーブを決定するテストでは、テスト停止評価基準が定義できるので、ひずみゲージが完全に破損するまで行いません。通常、100µm/m以上のゼロ点ドリフトが、停止評価基準となります。コンスタンタン計測格子の標準的なひずみゲージの疲労強度の基準値は、負荷変動±1400µm/mでは107サイクルです。金属材料に対するひずみ計測にはこれで十分ですが、高い強度を持つ繊維複合材には使用できません(グラフ1参照)。

負荷変動に対するひずみゲージ耐性を強化

いわゆる Mシリーズの箔タイプのひずみゲージは、規定の評価基準を満たします。Mシリーズの計測格子は特別なニッケル・クロム合金からできており、レイアウトは負荷変動に対する耐性が最大化するよう設計されています。ひずみ緩衝機能があるはんだタブは、システマチックな改良を積み重ねた結果に基づき最適化されています。高強度素材がテストできます。下のグラフは新型Mシリーズと汎用ひずみゲージ1(例えば、HBMのYシリーズ)を直接比較しています。

光学計測技術により負荷変動への耐性を極限まで向上

S-Nカーブを改善して負荷変動への耐性をさらに強化した材料の計測には金属製のひずみゲージを使用できません。この場合の代替手段は ファイバブラッググレーティング(FBG)に基づいた光学計測技術です。

この技術は光ファイバ内に作ったブラッググレーティングを利用します。グレーティングは、照射された光学スペクトルの特定波長のみを反射します。この波長は、特にひずみに依存しているので、この原理を利用して光学式のひずみゲージを作成します。

光ファイバは等方性の機械特性を持っていて、本質的に金属材料にみられるような疲労の現象がありません。光ファイバは、約30,000µm/mまでの究極の動的負荷に耐えることができます。疲労寿命テストでは、負荷変動±5,000µm/mで既に最大107サイクルを達成2しています。

また、光ファイバは埋め込むことができるので、既に説明した、周期性の極端に高いひずみを計測するアプリケーションだけでなく、原理的に電気式ひずみゲージを使用できない場所に使用できます。例えば、非常に高い電磁場(変圧器、高電圧スイッチなど)で使用可能です。疲労寿命解析では、ファイバ複合材など高性能な材料の負荷変動に対する耐性を計測する場合は、高規格な計測技術が必要になります。HBMは最適な設計を行うことにより、例えばMシリーズにおいては、ほとんどの計測に使用できるように、負荷変動に対するひずみゲージの耐性を向上させています。また、光学計測技術は極端な負荷変動がある場合にも使用できるセンサです。

1ポリイミドキャリヤーホイル上のコンスタンタン計測格子

2  HBMの「K-OL」光学ひずみゲージで計測

作者に関して

本文の作者Jens Boersch氏はHBMプロダクトマネージャーとして14年在職しており、ひずみゲージ、アンプシステム、およびデータ収集ソフトなど、ほとんどすべてのHBM製品に関して豊富な職務経験を持っています。勤務地はダルムシュタット(ドイツ)です。