高精度なひずみ応力解析のヒント

応力解析において、様々な手法で測定エラーを補正できるひずみゲージ式計測技術は、長い間製品改良が進んでいます。それでもなお、計測に影響を与える要因は残っています。ここではひずみゲージを応力解析に使う際の誤差要因(通常、回避可能な場合が多い)をとりあげ、準備の段階で不確かさを判断する方法を紹介します。

基本的な確認事項

ひずみ応力解析を始める前に、以下に示すような点に関して過去の経験をまとめておくことが有用です。これらの確認事項により、重要な対策(例えば計測ポイントの保護)の準備や計測の不確かさが明らかになります。

  • 計測ポイントの寿命は?
  • ひずみの最大値は?
  • 温度変動はあるか?ある場合変動の速さはどの程度か?
  • 計測ポイントに、特殊な環境影響(水や湿度など)が作用していないか?
  • どのような素材(不均一、異方性、高吸湿性など)にひずみゲージを貼付するのか?

経験豊富な技術者は、計測プランを立てる段階で(ひずみゲージを貼付するよりもかなり前に)、この様な確認を行います。特に最後の確認事項により、ゼロ点固定の計測を行うべきかそうでないかが決まります。

ゼロ点固定式の計測

ゼロ点固定式の計測とは、一般に、現在の計測値を計測開始時の計測値を参照しながら計測する方式です。計測は、数週間、数カ月または数年間も連続する場合があり、この期間中は計測チェーンの「ゼロ点補正」は全く実行されません。ゼロ点固定式の計測は、ゼロ点補正を随時おこなう計測に比べ、ゼロ点の長期安定性が重要になります。これは、ゼロ点ドリフト(温度や他の環境の影響による)が計測の結果に含まれてしまうからです。

ゼロ点のドリフトは、特にひずみ値が小さいと影響が大きくなります。何故なら計測値に対する相対的な偏差が非常に大きくなるからです。機械部品や構造体に起こるひずみは安全な弾性変形の範囲内で使用するので、100μm/mに達しない場合が多くあります。この場合、ゼロ点が100μm/mずれると、100%の測定誤差になります。

構造体監視の連続測定は、ほとんどの場合ゼロ点固定式の計測であるので、環境の影響からひずみゲージを保護することに特に注意する必要があります。長期安定性のある計測ポイントを使用することが不可欠です。また大きい温度変動が予想されるので、可能なら温度係数を小さくしてください。大型構造体に対して、計測信号の振幅が小さい場合は、ゲージの設置不良による影響が相対的に大きくなります。計測エレクトロニクスはゲージ抵抗値のあらゆる変化に反応し、画面にそれを表示します。

被計測体の量的変化や水分子の侵入により計測値が影響を受ける可能性があります。実際の計測値は、すべてのひずみの集合信号となり、有用なひずみと不要なひずみの区別はできません。

 

 

ゼロ点を固定しない計測

ゼロ点を固定しない計測とは、データ損失なしで、特定の時点でゼロ点補正を行いながらする計測です。「ゼロ点補正」後の値だけが有効です(電源スイッチが入るたび、ヘルスメータは情報のロスなしに自動的に風袋を補正)。負荷がオンオフする試験(短期的な計測方式によくあるタイプ)では、「ゼロ点補正」は負荷がゼロの時に簡単に行えるので、ゼロ点ドリフトは全く問題になりません。

破壊試験では、非常に高いひずみが起こるので、ひずみゲージの計測範囲が適切であるがことが重要です。何週間も準備して設置したひずみゲージが機能しないのは、時間と費用が無駄になります。

実験室などの室内では、周囲条件(温度、湿度)が安定しているので、正確な計測が可能です。しかし、野外など湿度が高く温度変動が大きい環境では、計測は困難になります。

 

 

続き...

「高精度なひずみ応力解析」のパート2で続きをご覧ください。 

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