CEDEXのテストトラックで舗道の加速耐久性試験

スペインの交通研究センタCEDEXは、長い実績を持つHBMのデータ収集システムMGCplusを使用し、テストトラックに沿って戦略的に配置された240チャンネル以上のセンサからのデータを収集・変換・記録しています。

舗道の加速耐久性試験とは

舗道の加速耐久性試験とは「車両タイヤから繰り返し受ける負荷に対する舗装道路の長期的な耐久性を、短期間でシミュレートする制御アプリケーション」と定義できます。

 ヨーロッパには正式なテスト施設が12箇所あり、アメリカ合衆国にもほぼ同数の施設があります。またメキシコ、ブラジル、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、および日本にもあります。今日では、舗道の加速耐久性試験は、世界の道路研究の基本となって います。円形トラックと直線トラック方式(図1、図2参照)の2種類の試験施設があります。

CEDEXについて

スペイン語の略語でCEDEXとして一般に知られている、土木工事研究実験センタは土木工学、建築、環境への最先端技術を実践する公共団体です。この施設と実験室によって提供される技術支援は、特定の合意に従い実施されています。また、得られた知識を広める事が設立目的の一つなので、CEDEXは技術移転においても大きな役割を果たしています。

図1: 円形テストトラック(LCPCフランス)
図2: 直線テストトラック(LINTRACK、Delf、オランダ)

テスト トラック

図3: CEDEXテストトラック
図4: 交通シミュレーション用の車両

CEDEXのテストトラックは、75mの直線部分2本と半径25mの半円部分2個を組み合せたレーストラック構造になっています。トラックの内側の境界上に配置されたレールビームが、2台の無人車両のガイドレールとして使用されます(図3参照)。

舗道のテストは直線部分を6つのセクションに分割して行えるので、この施設はテストの種類の観点からは、図2の直線テストトラックの施設に分類できます。負荷用テストタイヤによる移動距離の全長は、1周あたり304mです。円形部分は耐久性試験には使用しないで、表面材料、表面処理、塗装などの研究に使用されます。

舗道の試験は直線部分で行われるため、他の直線テストコースで得られる結果と比較できます。長さ20~25mの直線舗道を6種類設定して同時にテストを行えます。

円形部分は地形によって変化しますが、直線部分は鉄筋コンクリートから作られた2つのU形防水テストピットの中に設置されています。深さ2.6mで幅8mのコンクリートのテストピットは、少なくとも断面が高さ1.25mの舗装道路を通常の道路建造用機器を使用して、同じ方法で建設できます。コンクリートのテストピットを使用する目的は、周囲の地面からテスト面を隔離することです。テストを行うたびに常に舗道が均一な条件におかれるようにして、異なるテスト結果を比較できます。この構造により、様々な地下水の条件のもとで、路盤の浸水テストを行うことができます。

2台の試験車両が重い車軸を通して路面に荷重をかけます。負荷は5.5~7.5トンの間で設定可能ですが、通常6.5トンで固定され、これはスペインにおける単一軸の最大許容負荷(13トン)に相当します。サスペンションシステムは空気式です。テスト用タイヤには内圧8.5Kg/cm2の2個のツインタイヤか1個の球形タイヤを使用します。牽引テスト用のタイヤにはサスペンションシステムと同様に、路面輸送に使用される通常のタイヤを使用します。運転速度は40km/hで、最高60km/hまで可能です(図4参照)。

油圧アクチュエータを使用して、テストタイヤの路面幅方向の位置を7つの異なった位置に設定でき、これは1.0~1.3mのタイヤ接触幅になります。この位置の自動制御で、実際の交通状態に近くなるようにタイヤ接触箇所の統計的分布を再現できます。

このテスト設備は、テストトラックの幾何学的な中心に位置する中央制御室から完全に制御できます。このアプリケーションのために制御プログラムが特別に開発されました。このプログラムが設定されると、施設全体が無人で稼働します。試験頻度は、年間1×106サイクル以上です。

計測パラメータ

図5: 各種センサの計装例

タイヤが路面上を動くとき、ストレスとひずみが舗道構造の各部分に影響を与えていきます。このストレスとひずみの影響は、負荷のタイプ・大きさ・方向、舗道構造、路盤タイプ、温度、深さなどに依存します。

舗道に適切な計装を施すことにより、特に重要な箇所を中心に、舗道の各部分に負荷が通過するたびにかかるストレスとひずみの計測が可能になります。

テンソル変形の変数と同様に、各層によって着目点は異なっているので、センサのタイプとその配置場所は注意が必要です。

瀝青質層下部の水平方向の張力ひずみは、舗装の弾力性に関して最も重要な応答変数であると考えられています。その結果、アスファルト混合物層に対するセンサ設置は、主に層低部の水平応力のひずみ計測を目的とします。

粒状層と路床(土)は、主に垂直方向のひずみの蓄積により破損します。したがって、路床(土)へのセンサ設置は、特に垂直方向のストレスとひずみの計測に集中しています。

また、舗道たわみセンサは、通過するタイヤの下の過渡的応答を計測するために設置されています。これらのセンサは、アスファルト層の上面に設置されテストピットの下部から固定されています。

最後に、環境や負荷に関連する変数のデータを集めるために、 温度、湿気、地下水位、速度、横方向の位置(図5参照)など一連のセンサが設置されています。

施設の制御システムの説明

図6: 通信システム
図7: 設備の断面図と計装用坑道の写真

耐久性試験用に連続無人運転ができるように、設計の段階から自動運転が考慮されています。そのうえ、施設、 特に車両とその制御システムは、このスペインのテストコース用に設計・建築された最新設備であり、ヨーロッパの技術で完全に開発されたことが重要な点です(図6参照)。

CEDEXテストトラックの制御システムは2つの基本的な部分で構成されています: PLCシステムとデータ収集システム。この2つのシステムは互いに関連していて、イーサネットネットワークで 接続された一つの制御コンピュータで管理されます。PLCシステムは、速度、横方向のタイヤ位置、スペアタイヤの空気圧などのパラメータによる車両の制御と管理をします。さらに、車両の保守と施設の安全に関するすべての変数も管理します: 電力消費量、位置検出器など。データ収集システムは、舗道の計測プロセスを担当します。

PLCシステムは、制御センターの1台のPLCマスタと各車両の中に位置している2台のPLCスレーブによって構成されています。PLCマスタは、無線イーサネットネットワークを通して車両に搭載されたPLCスレーブに接続されます。

240チャンネル以上の、ひずみゲージ、LVDT、Pt100などのセンサにより収集されたデータは、HBMデータ収集システム(実証されたMGCplus DAQシステム)によって、演算処理・モニタ・計測されます。このDAQシステムは、世界中で数多くの構造試験プログラムや土木工事監視システムにも使用されており、配線の手間とコストをかなり削減できるうえ高品質な計測データを提供するように設計されています。

テストトラックでは、電源とデータ収集装置及びMGCplus装置を接続するキーストーンジャックが配置されているテストセクションの隣に、直線状の坑道があります。この様に、センサとアンプ(変換器)間の距離を最小限にしてアナログ出力信号がデジタル信号に変換される前にできるだけひずまない設計にしています(図7参照)

 

 

計装管理タスク

CEDEXにより設計・開発された、完全自動のセンサデータ収集システムは、各計測テストで最大240個のセンサからのリアルタイム計測とデータベースへの記録が可能です。

        管理タスクは3つのプロセスに分割されます:

  • センサプロセスの管理
  • 計測プロセス
  • データの保存と分析

センサプロセスの管理

各テスト用の設備設計に従いセンサの配置が行われると、次のステップは、制御コンピュータのシステム・データベースにセンサを登録することです。ここで、センサの定義、取り付け位置、光学式計測開始スイッチ、日付、活動状態などのすべてのデータを登録します。

センサデータの登録後、MGCplusモジュールに各センサの校正曲線を設定します。ここで計測チェーン(配線と装置)全体に渡り物理的計測量を電気的な量に変換します。次に、記録パラメータ(サンプルレート、時間、センサ起動、トリガ)を、MGCplusのPCカードマネージャに設定して、.MPRファイルを保存します。通常、2つの異なるサンプルレートをプログラムします。1つは、スタティックな変数を記録するもので、もう1つはダイナミックな変数の記録用です(図8参照)。

また、設備の保守作業を簡素化して、計測値のグラフと数値の両方でリアルタイム表示をすることもできます。

図8: センサのグラフ表示の例

計測プロセス

データ収集システムには、明確に異なる2種類のテストがあります:

  • 動的試験(ダイナミック試験)
  • 特殊検査

動的試験とは、車両が動いている間に、装置が実施するシステマチックな計測を示します。この種類のテストを行う場合、計測に使用するセンサは、事前に定義します。1テストあたり最大240個までです。そのうえ、結果を記録するファイル(ASCII)が作成されます。舗道温度、環境温度、繰返し数、横方向の位置、車両速度、日時などのすべての変数が含まれます。動的試験は自動的にスタートします。

テストを予定するときに選択する3種類 のイベントで起動できます。イベントは以下の3種類です: 

  • 繰返し数:車両が事前設定した負荷の繰り返し数に達した時にテスト開始
  • 時間:計測開始の指定日時が来た時
  • 温度:舗道温度(ユーザーが定義)がある設定値に達した時

24時間無休で実行されるこのテストは無人で行われます。テストを起動するイベントが起こると、制御コンピュータは、PLC Masterに命令してテスト条件に則した条件に車両を設定します。

予定従って車両が正しい位置に置かれると、制御コンピュータはネットワークに接続された各MGCplusにローレベル・コマンドを送ります。このコマンドは、記録パラメータの入った.MPRファイルを装置に送って、データ収集プロセス開始の準備を行わせます。計測のトリガに使用する光センサが各MGCplusに1個づつ接続されています。車両がデータ収集をスタートする光センサを通過後、設定された期間が終了すると、 記録ファイルが作成されます(図9参照)。

 

 

図9: 動的試験の登録データ

車両が1サイクル分のデータ収集を完了すると、制御コンピュータはMGCplusに接続して、DAQから作成されたデータ収集ファイルをとりこみます。さらにCatmanコントロールActiveXでASCIIフォーマットに変換します。このプログラムはVisual Basicで書かれており、時間を距離に変換し、分析に必要なサンプル数を得るために計測を追加するなどの信号処理を行います。

その後、制御コンピュータは、車両(速度、横方向の位置)に関するPLCシステムからのデータおよびセンサ計測プロセスに関するデータ収集システムからのデータなどの、全データを結果ファイル(ASCII)に集約します。

全データの記録後、1サイクル分のテストは終了し車両を制御するPLCシステムは次のサイクルの準備に入ります。テストは、繰返し数完了、期間終了、温度が設定値に到達などの目標に達するまで、サイクルを繰り返すように設定できます。

特殊試験は、制御システムを使用せず直接MGCplusで行う方法です。

特殊検査として以下の3つのタイプのテストを上げます:

  • 温度のトレース: 鋪道と環境温度を連続して計測するために、MGCplusの アナログ出力に接続されているPLC Systemの一部としてシーメンスのET200が2台あります。これらは、計装装置の分析だけでなく、舗道の損傷程度を分析するのに使用されます。
  • 手動テスト開始: 車両が動いていても、停止していても、このテストは実行できます。トリガ信号を送ると開始します。 この種のテストは、動的テストとは異なり、車両が通り過ぎているときに起こる特定の変数などを詳細に研究するのに使用します;それは毎秒3000サンプルまでのサンプル周波数を使用できます。また、このテストは、テスト車両以外の設備に対する様々なセンサの応答を計測するのに使用されています(例えば、FWD装置)。
  • 光センサでテスト開始: それには、手動テスト開始と同じ機能ですが、この場合、計測はテストコース上の光センサでテスト開始になります。