教会再建時の耐震データを光ファイバセンサで収集 教会再建時の耐震データを光ファイバセンサで収集 | HBM

【導入事例】地震で崩落した教会の再建を支えるHBMの光ファイバセンシング技術


アークイラは豊かな文化遺産がある中央イタリアの古都。バロックやルネッサンス様式の建築物や教会が、歴史的な都心の通りに並んでいます。町の人口は7万人ほどです。この都市が有名になったのは、古い建築物や近隣のアペニノ山脈の風景やではなくある大災害のためでした。

2009年に大地震がこの地区を襲い、無数の住居や歴史的建造物を破壊しました。18世紀に建築されたサンタマリア・ディ・コレマッジョ聖堂はこの地震のシンボルになりました。ドーム崩壊の様子がニュースで繰り返し放送されたため多くの人々に記憶されました。

再建と耐震補強

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地震による崩壊から7年が経過し、サンタマリア・ディ・コレマッジョ聖堂は、部分再建が行われた最初の歴史的建物です。主要な構造を暫定的に補強することにより、地震の1年後には部分公開が可能になりました。教会の完全な再建は2013年に始まり今でも進行中です。この地震は、ドームの崩壊を引き起こしただけではなく構造材全体を脆弱にしました。

部分再建に際しては、耐震性の向上と、長期的な安定性、安全性の確保がゴールとなりました。連続して構造部の挙動をモニタし制御するために、補強部分は I.A.T. Ingegneria A&TEarth System(地質工学的、環境的、構造的な監視と計測を専門とするイタリアの会社) によってテストされています。HBMのFiberSensingによる光計測技術を使用して、補強に使用されるプレストレス連結ロッドのひずみと温度を計測します(設置箇所は図1と2を参照)。

ひずみと温度を同時に計測

ひずみと温度を同時に計測するために、FBGセンサ(ファイバ・ブラッグ・グレーティング・センサ)をDywidag 32WR連結ロッド(図3)に接着しました。ロッド接続部にFBGを2個搭載の光ファイバ1本(ひずみ計測と熱補償用センサ)を搭載しています。熱補償センサは、校正すると絶対温度値が提供できます。現場での作業を簡単にするために、センサはHBM FiberSensingの工場で、事前に組み立てられ、設置現場に輸送されます。

光学スプリッタの使用は、現場でのシステム設置を簡素化し、インテロゲータの容量を最適化できます。上記のFBGセンサのアレイはターミナル・タイプ(センサアレイは片側のみ接続)なので、光学スプリッタにより複数のFBGアレイからの信号を1個の光学チャンネルに統合します。このスプリッタにより、1×4か1×8の多重化を行います(図4参照)。

遠隔地よりデータアクセス

BraggMETERインテロゲータは、同時に、毎秒1個のサンプルレート(S/s)で、様々な光学式チャンネルから全計測値を収集できます。この装置は19インチラック取付タイプで、8個の光学チャンネルを装備しています。FS22 Industrial BraggMETERは、イーサネットケーブルで標準のコンピュータに接続すると、HBM FiberSensing(図5)からBraggMONITORソフトウェア、もしくは、SCPIコマンドやcatmanを介して、制御できます。

この静的なインテロゲータがスタンドアロン装置として、内部にデータを記録できることが、このアプリケーションでは重要になります: このインテロゲータは3Gルータに接続されているので、現場ではコンピュータは不要です。データは遠隔地からアクセスできるので、快適な事務所環境にあるラップトップなどを使用できます。


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*Photo: Ra Boe / Wikipedia // Licence: CC by-sa 3.0