計測技術のトレンド

今日のテストベンチ設計における技術革新は、計測用アンプとソフトウェア・システムだけで推進されているわけではありません。センサ自身も、設定時間の短縮、テストの実施やテスト自動化における適応性の改善などがおこなわれています。

ここでは力計測を例に、最新のひずみゲージ式センサがラボやテストベンチの様々な技術的要求にどのように対応しているかについて説明します。

力センサの絶え間ない開発により、近年では、堅牢で構築しやすく、対費用効果に優れた高精度なセンサが生産されるようになっています。

4つの主要トレンド

精度の改善

極限環境での計測

最大の柔軟性

大きい力の計測

革新的トレンド#1: 精度の改善

テストベンチにおける精度向上はコストにそのまま直結

センサの精度向上はコスト改善に大きく貢献します。それはセンサの精度が向上するとその精度要件で使用できるセンサの動作範囲が広がるからです。

この相関関係を図に示します: ここでは量産タイプの産業用力センサS2Mと旧モデルS2を比較します。最新技術で設計されたS2Mは、規定される計測不確かさの範囲内で、計測範囲を大きく広げています。この例における計算は、両センサのパーシャルレンジでの力の計測値を使っています。計測時間は30分で20 K の温度変化が計測中に起こることを想定しました。センサの計測範囲は500 Nで、非直線性、ゼロ点と感度の温度係数、ヒステリシス、およびクリープの影響を考慮しました。

その結果、計測範囲500 N のセンサを約20 N の力の計測に使えます。この長所を利用できる2つの可能性があります:

  • より大きなな容量のセンサを使うことでチェーンの負荷安定性が高まり、より堅牢なチェーン構築が可能になります。最新センサを使う場合は不確かさが極めて小さくなります。
  • 同じセンサを広範囲に利用できるので、使用するセンサの種類が減らせます。

革新的トレンド#2: 極限環境での計測

完全密閉型ハウジングほぼすべての計測量に対応。最大500 N までの小さい力の計測には依然として課題も

極限環境で製品を使用するシミュレーション試験が、一般的になっています。こうした環境下では耐環境型の堅牢なアンプシステムとセンサが使用されます!

堅牢性で極めて高い必要条件を満たすようにセンサは溶接密閉されています。高い保護等級であるIP68(同シリーズでは標準)は、3 m水柱で100時間の浸水試験に耐える試験に合格したものです。

使用するステンレス材は耐食性と再現性に優れたばね特性の両方の特長を兼ね備えています。したがって、HBMなどのメーカーは、密閉型センサ用のステンレス容器(IP68)と精度等級0.02*の組み合わせを保証します。
*HBMが定義する精度等級は市場の規格よりかなり厳しい条件を満たしています。

小さい力の計測で注意すべきこととは?

最大500 N までのわずかな力の計測では、起歪体に鉄鋼を使用するのは困難です。この場合、低い弾性係数を持つアルミニウムが適しています。しかしながら、ひずみゲージはシリコンによって保護する必要があります。このため、ひずみゲージは耐湿設計が不可欠です。例えば、ひずみゲージ・キャリヤ材のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は湿気をほとんど吸収しないので、非常に好ましい材料です。この材料を組み込んだ力センサが湿度変化の影響を受けるレベルは、完全密閉でなくとも多くのアプリケーションにおいて十分なものです。

ケーブル付の完全密閉型ハウジングを採用したHBMの力センサU10は、保護等級IP68と高い精度を実現している
センサの耐水試験

力計測技術に関する参照記事


革新的トレンド#3: 柔軟性

カスタム仕様に対応し、納品後すぐ設置が可能

センサの柔軟性に対する要望はかなり高くなっています。セットアップ時間の短縮をめざし、テストベンチのエンジニアは、力センサの付属品、校正、ケーブル長もしくは固定式接続プラグなど様々な周辺部品やサービスの提供を期待しています。

最新の力センサは、モジュール式デザインを採用することでこうした柔軟性への期待に応えています。現在、HBMの力センサは、ほとんど全てが個別設定でき、様々なコネクタとケーブルのオプションを選択できます。力センサC10では合計2,304通りの組み合わせが利用できます。

また、TEDS (Transducer Electronic Data Sheet)対応ニーズが近年急増しています。TEDS対応のセンサは、センサデータを保存したメモリチップが組み込まれておりプラグアンドプレイが可能です。TEDS対応のアンプを組み合わせればセンサ接続時に計測チャンネルの自動設定が行われ人為的エラーを最小化できます。

2,304通りの組み合わせが可能: 力センサC10

2,304

 力センサC10で使用できる組み合わせ2,304通り:

  • ダブルブリッジ/シングルブリッジ
  • 4 mV/V もしくは2 mV/V 出力電圧
  • TEDS対応
  • 100%校正もしくは50%校正
  • 有料もしくは無料プラグ
  • 保護コネクタ、ケーブル付
  • IP68オプション

革新的トレンド#4: 大きい力の計測

ビルドアップ方式: 小型センサの組み合せで大きい力も計測

計測対象は大型化する傾向にあり、現在HBMでは5 MN までの標準品に加え、最大 20 MN のカスタムセンサも提供しています。これは例えば船舶や風力発電システムなどで利用される容量です。船舶や風力発電所では運転に大きな力が必要なので、そのテスト手段が必要になります。

もちろん現場で使用する力センサは、何らかの方法で校正しなければなりません。しかし、大容量の力校正の手段は限られています。

一般に、大きな力の校正は大容量を生成できるもの(例:水圧シリンダ)や力センサと参照力変換器を使って行われます。参照する力変換器の精度により校正の精度が決まります。

このためHBMは、小さな力センサを3台並行に組み合せたビルドアップ方式の基準機を開発しました。この方式は、校正だけでなく数多くの研究プロジェクトに使用されています。目的は、高い精度で校正しやすい小型センサを複数使用して、大容量の高精度センサシステムを構築することです。

例えば、小型センサを3台組み合せると、容量を3倍にできます。

大容量計測が必要な場合に校正精度を向上できるこの技術は、EUがサポートしており、容量は現状 60 kN ~ 10 MN です。

HBMビルドアップ方式の基準機のレイアウト:同一平面上に並行に配置された3台の力センサで構成

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