バルチラ社が開発したデュアルフューエルエンジンは、天然ガス(LNG)、舶用ディーゼルオイル(MDO) または重油(HFO)を燃料として使用できます。このエンジンは駆動中でも、ガスモードからオイルモードに、またはその逆に、切り替えることができます。エンジンがガスモードで運転されているときに、エンジンを適切に運転するには、出力シャフトからの正確な負荷信号をモニタして、エンジンの出力制御をする必要があります。正確な負荷信号を得るには、高い精度のトルクセンサで計測する必要があります。
上記のイメージはバルチラ社提供
トルクセンサの採用で天然ガスがエンジン燃料として使用可能に
天然ガスでも動くデュアルフューエルエンジンは、高精度のトルク計測が必要です。HBMのトルクセンサT40MARにより、バルチラ社は天然ガスをジーゼルエンジンの燃料として使用できるようになりました。
バルチラ社(フィンランド)は、天然ガス、船舶用ディーゼル油または重油のいずれかで稼動できるデュアルフューエルエンジンを開発しました。推進動力直接駆動方式のデュアルフューエルエンジンを使用するためには、エンジンのプロペラシャフトにかかる負荷の正確な計測値が必要になります。HBMのトルクセンサT40MARは、バルチラ社が必要とする正確なトルクデータを提供できます。
お客様 : バルチラ社(フィンランド)
バルチラ社は、船舶用機器、エンジン、操縦装置、発電設備など、船舶及びエネルギー関連市場におけるパワーソリューションのグローバルリーダーです。同社は機械、システム、サービス、保守、トレーニングに関して完全なライフサイクルソリューションを提供し、持続可能な方法で、お客様のビジネスの遂行を全力でサポートします。
トルク計測では精度が非常に重要
HBM とバルチラ社は、共同でこの問題を解決するソリューションを調査しましたが、その結果、最適オプションとしてHBMのトルクセンサT40MARを選択しました。バルチラ社は、T40MARをエンジンのフレキシブルカップリングとギアボックスハブの間に設置しました。
天然ガスを使用してエンジンを適切に稼働させるためには、正確な負荷信号により燃料噴射システムを制御する必要があります。T40MARは、負荷信号のもととなる出力シャフトのトルクを計測します。そのため、トルクセンサは高精度である必要があります。他の方法では十分な精度が得られませんでしたが、T40MARは精度クラス0.15 の要件を満たしました。これにより、最良の運転条件でエンジンを運転して船舶を運行することが可能になりました。
HBMビジネス開発マネージャのガイ・ビーホ氏によると:
「この高レベルな精度クラスが達成できる主な理由は、HBMのトルクセンサをドイツ国家基準の参照トランスデューサにまでトレースして精度を検証しているからです」
天然ガスの需要が増加
厳しい排出規制を必要とする船舶では、硫黄排出量を最小限に抑えることを要求されます。天然ガスはそれほど多くの硫黄成分を含んでいないため、クリーンな燃料として船舶エンジンで使用できます。さらに、天然ガスは高価な排ガスクリーニングシステムを必要としないので、コスト効率が良くなります。バルチラ社のデュアルフューエルエンジンはガスを使用するときにはIMO Tier 3 規制に準拠しており、液体燃料を使用する場合には、 IMO Tier 2 規制に準拠しています。今日、 IMO Tier 3 の要件に準拠する必要がある場合は、天然ガスを使用するか、または、排ガスクリーニング装置と組み合わせて液体燃料を使用することになります。天然ガスで運転する場合は、排ガスクリーニング装置は必要ありません。天然ガスを使用する船舶エンジンの市場が拡大するにつれ、この新しい需要に対応することが非常に重要になっています。
「しかし、T40MARがなければ、直接駆動方式のデュアルフューエルエンジンを運用できないため、我々はHBMと一緒に確立したこのソリューションに非常に満足しています」
ヴィクトル・ヘグブロム氏 (バルチラ社海洋ソリューションの開発エンジニア)