2. ハイパワー自動車バッテリシステム
以下の内容は、リチウムイオンバッテリのみを対象にしています。その理由は、リチウムイオンバッテリの技術が、エネルギー密度に関し電気自動車(EV)の要件を満たす可能性があるためです[1]。図1と2が示すように、バッテリシステムは様々なサブシステムで構成されています。これらの個々の構成要素は、安全かつ最適な動作を確保するために相互に緊密に調整されなければなりません。独立した電気化学セルを多数個、相互接続することにより、高いシステム電圧と容量を確保しています。バッテリパックの合計電圧および電流の仕様を満たすために、パックには直列および並列に接続された多数の独立したセルが組み込まれています。自動車バッテリのアプリケーションでは、パックは数百個のセルを組み合わせています。通常、大きなセルの集合体は、モジュールと呼ばれる小さなセルの集合体を多数個組み合わせた構造になっています。各モジュール内のセルは相互に接続され、電気回路を形成しています。これらのモジュールを、複数個組み合わせてバッテリパックを作ります。このモジュールには、冷却機構、温度モニタ、セルバランシングのような機能を搭載できます。個々のセル電圧は時間の経過とともにばらばらに変化するため、セルバランシング機能はバッテリシステムの寿命にとって重要です。バランシング機能がないと、パック全体の容量が急激に減少します[2]。