力計測-いつでも、どこでも同じ値を得るために

センサは機械装置が導入されているほぼすべてのテストラボで使用され、材料試験装置や制御用、プロセス解析用の信号を提供しています。

力センサ:2つの方式

ひずみゲージ式力センサは、高度なばね特性を持つきわい体にひずみゲージ(SG)が貼付された構造をもちます。きわい体に力が加わると変形しその程度に応じて抵抗が変化します。抵抗の変化は、4ゲージ式のブリッジ回路で電圧に変換されます。ひずみゲージ式のセンサには常に動作のための電圧(印加電圧)をかける必要があります。

圧電式力センサは、力が加わると電荷が発生する水晶を材料とします。電荷と力には相関があり電子機器を使って電圧信号に変換できます。

力センサには、感度情報が添付されています。出荷前に工場で一定の力をかけてその時の出力信号が計測されます。記載されているのはこの「校正」結果です。最大負荷での出力や異なる力を掛けた場合の複数の計測値がここに記載されており、値はセンサ品質レベルや価格により変わります。校正はセンサ製造の最も重要なステップの1つで、校正が力センサの価値を決めるといってよいでしょう。なおセンサの特性を確認する際に使用される校正用センサの精度は、校正後の実測値よりも高くなります。

力センサメーカーは、荷重負荷装置(ローディングデバイス)を使って細かく標準荷重をかけて校正を行います。HBMは10Nから5MNにわたる標準荷重がかけられる装置を保有しています。

荷重負荷装置(ローディングデバイス)

負荷装置は非常に厳しい仕様で作られています。例えば、HBMが使用する負荷装置は、計測された力に対し最高0.005%の精度を確保できます。この制度は、機械よって生成された最大荷重に対する精度ではなく、力の発生源によらず、機械に加わった力に対する精度です。つまり装置の精度が0.005%であれば、1000Nの力が加わると0.05Nの誤差が許容されます。荷重負荷装置には動作原理により様々な種類があります。

小さい力はおもりを使用して荷重を生成

おもりの質量は正確に分かっており、試験する力センサに荷重を加えることができるので、小さな力にはおもりを使用するのが一般的です。この装置は静荷重器(デッドロードマシン)と呼ばれます。おもりの質量はもちろん、使用場所での重力加速度に依存します。これに加え、大気による浮力が影響します。この浮力は、おもりの体積と空気圧に依存します。HBMには最大試験力が240 kN の静荷重装置があり、ドイツ物理工学研究所(PTB)では2 MNの試験力の静荷重装置を使用できます。

この装置の幾何学形状は、負荷がかかっても決して変化しません。さもなければ、荷重がセンサに均等には印加されなくなります。形状の変化は目に見えなくても、重大な計測エラーを引き起こします。質量が発生する部分は、化学的に非常に不活性な材料で作られています。しかし環境反応(例えば酸化)で変化が起きないことを確認することは不可欠です。また定期点検により、機械の機能が誤ったメンテナンスや汚れ(荷重発生部分へのほこりの堆積)によって悪影響を受けないようにします。

25kN装置での校正計測

大きな力の範囲には油圧装置を使用

おもりを使用しない方式では、荷重負荷装置は油圧装置で荷重を生成します。これは非常に大きな荷重を必要とする場合に特に便利です。そうしなければ、試験場に巨大なおもりを用意する必要があります。このため極めて精密な力センサが、被試験器と油圧装置との間に設置されています。この高精度力センサは、被試験器にかかる力を確立するために使用される基準になります。したがって、組み込まれた基準センサが正常に動作しているかどうかを定期的に確認することが重要です。

キログラム原器

すべての荷重負荷装置は、パリのBIPM(Bureau International de Poids et Mesures)に保管されているキログラム原器を最終的に参照しています。質量はさまざまな単位で存在していますが、すべて原器を最終基準として参照しています。このため、1 Kgの質量から総重量200トンの質量を積み重ねて作り出すのは技術的に困難です。

正しく計測できているか、また校正が正確かを確認する方法とは?

計測結果は再現性があることが重要です。これは、ある場所で確立された計測結果を別の場所で再現(結果が確定した時の不確かさの範囲内で)できることを保証する唯一の方法です。つまり、力センサはどこでも同じ方式で校正される必要があります。計測された力は、国際比較においても常に同じであるべきです。このため、すべての装置が定期的にチェックされる必要があり、その方法は正確な計測基準と比較することです。

各国の計量研究所は、計測された力があらゆるところで同じであることを保証する責務を負っており、その前提条件と力の定義を提供します。ドイツではこの役割を、ドイツ物理工学研究所(PTB)が担当しています。この施設には、他のすべての装置が基準として参照できる荷重負荷装置があります。

校正機関どうしの比較検証を実施

計測されたニュートン値が世界中のどこでも常に同じであることを保証するために、校正機関は他の研究所と精度の比較校正を行っています。たとえば参照用センサを取り外して、国立研究所の正確な負荷装置に設置し、その結果を国の計測基準と比較することができます。しかし高感度な計測部品の取り外しと設置は不確かさの原因となり、それを輸送することもmリスクが伴うのでこの方法は実際には行われません。

そのためトランスファ変換器が使用されます。この力センサは、センサを取り外してから元に戻しても、究極の計測再現性が得られるように特別に設計されています。0.002%未満の再現性が可能であり、国家標準にトレーサブルな荷重負荷装置とすることもできます。これにより、荷重負荷装置は試験対象の校正マシンとドイツの国家計測標準(ドイツ物理工学研究所(PTB))との比較校正により、国家標準にトレーサブルとなり、最高レベルの国際比較を行われたことになります。

HBMトランスファ変換器には、取り付け位置を変更しても0.002%~0.05%の再現性が得られることが実証されています。これらのトランスファ変換器を使用して、2.5 Nから5 MNにわたる力を計測標準にトレースできます。

ひずみゲージ式センサは最高基準を満足

このように高基準を満たす力センサは、ひずみゲージ式計測技術を利用しています。理由は2つあり、ひずみゲージセンサは、ホイートストンブリッジ回路を使用します。ひずみゲージを適切に設置することで、温度、曲げモーメント、横力など、多くの寄生負荷が大幅に補償されます。ひずみゲージセンサは、ドリフトがなく長期安定性に優れており、校正に共通する静的計測に理想的です。

これらのセンサの特性は、国際標準ISO 376に従って評価されます。この規格では、計測を繰り返すことが重要なポイントです。また、クリープ、ヒステリシスの限界、および指定された特性曲線からのセンサの偏差も記載されています。

力センサはISO 376に従って精度クラスに分類されています。クラス00は最も厳しい要件を満たすものです。取り付けおよび取り外し時の再現性(「取り付け位置の変更」)が計測値の最大0.05%であるということです。したがって、クラス00センサであっても、高精度な荷重負荷装置を国家計測基準にトレースするためには不十分です。

HBMトランスファ変換器は、取り付け位置を様々に変更しても0.002%~0.05%の再現性が得られることが実証されています。これを使用して、2.5 Nと5 MNの間の力を計測標準に参照させることができます。

トップクラスのセンサは「作る」のではなく「見つける」もの

これにより、いわゆる「トップクラス」センサが利用可能になりました。このセンサによって達成される精度は、意図的な生産によって容易には達成されません。むしろ製造業者が進行中の生産品のなかから有望なものを選別します。そして、特別な適性が確認できるまで、徹底したテストを受けます。

一見するとこの厳しい要求はおそらく過度に思われますが、参照のためにトレースするたびに精度が失われる点を考慮する必要があります。認定された校正機関の装置は、直接、国家計測標準にトレースされています。これらの荷重負荷装置では、トランスファ変換器を使用して、次のレベルの装置を再びトレースします。フィールドで実行されるキャリブレーションの精度が満足できるものであるためには、各トレースが可能な限り正確に行われる必要があります。生産とテスト現場からの精度に対する要求は、明らかに厳しくなる傾向があります。この傾向は、最終的に、力センサの校正に対する要求が厳しくなる事を意味しています。

校正についてもう少し詳しく

技術用語

校正用語で「トレース」は、より高次な計測標準との比較検証することを意味します。高度な計測技術を使用するメーカーの校正装置は、ドイツ物理工学研究所(PTB)の国家計測標準との比較計測によってトレースされトレーサビリティが確立しています。正装置は、ドイツ計測メジャー協会(PTB)の国家計測標準と比較計測によって接続されトレーサビリティが確立しています。

標準クラスと高精度クラス

ISO 376規格は、参照用力センサの校正に関連する国際規格です。試験されるセンサは荷重負荷装置に3回着脱が繰り返され、毎回装置内で120度ずつ回転されます。荷重は2つの取り付け位置において増加方向と現象方向に少しずつ、少なくとも各8段階で加えられます。各荷重の結果を相互に比較するために、規定の演算式を使って「様々な取り付け位置における再現性」を計算します。取り付け位置での再現性は次の3項目でも定義されます。

ヒステリシス誤差(ある荷重における、増加荷重ステップと、減少荷重ステップ間の差)、クリープ(一定の負荷での時間経過に伴う出力信号の変化)および、フィッティング曲線からの偏差(センサの実際の特性曲線と公式で指定された特性曲線との偏差)。校正が行われる荷重負荷装置の精度も考慮されます。

これらのパラメータはすべて、ISO 376に準拠した校正証明書で計算され、様々な荷重でのセンサの不確かさが記載されます。基準に従いすべての特性項目で達成された精度クラスも記載されます。特性項目が1つでもクラス制限値を下回ると、そのセンサは下位クラスに分類されます。

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