高速列車が通過する駅ホームの天井を耐久性監視 高速列車が通過する駅ホームの天井を耐久性監視 | HBM

構造モニタリングによりホルムストランド駅のスチール製天井の安全性を確保

HENT AS社は、多様な設備を使用する交通分野の総合契約、公的契約、特別プロジェクトなど、あらゆる種類の建築プロジェクトを請け負う全国規模の総合建築業者です。同社は、この種の鉄道施設では世界初となるホルムストランド駅(Holmestrand、ノルウェー)の建設中でしたが、施主のBane NOR社により、レールの上を覆う耐用年数100年のスチール製天井の長期監視と耐久性の調査を依頼されました。同社は、この作業を実施するために社外の専門家を含む特別チームを発足させました。このような鉄道駅舎は世界のどこにも建設されていないので、高精度で精密な計測試験と文書による記録を要請しました。また、高速で通過する列車によって発生する風圧が、プラットホーム上にいる乗客に不快感を与えないように配慮する設計にしました。


HBMの試験計測システムを使用して、スチール製天井を吊り下げるために岩盤に固定されたスチール製ロッドにひずみゲージを取り付け、計測信号を収集しました。このシステムは、単一サーバにソフトウェアを搭載したITソリューションになっています。

高所作業

この鉄道線路を覆う天井に計測装置を設置するプロジェクトは、HBMがHENT社から勝ち取ったものです。同社が初めてHBMを請負業者として使用したケースでしたが、HBMの作業内容や結果は同社から高く評価されました。スチール製の天井は、長さ6 mのロッドで岩盤から吊り下げられていますが、そのうちの3 mしか特殊ハンガを使用してセメントで固定されていません。そこで、Bane NOR社は、正確性、精密性、書面による記録に関して厳しい仕様を設定し、風圧による圧縮力・張力に関する正確な計測・演算結果を継続的に監視できるように要請しました。この山岳地域に敷設された鉄道のプロジェクトは、地上25 mの高所作業となり、HBMによる設置作業は設置条件が非常に厳しいうえ、時間もかかりました。最終的に、スチール製の天井を吊り下げているスチール製ロッドの200本以上に、ひずみゲージの計測ポイントを設置しました。目的は、動的な応力にさらされるスチールロッドの状態を計測することです。 HENTと施主のBane NORの両社は HBMの貢献に非常に満足しています。

「HBMは、完ぺきな仕事をしました。HBMは効率的で柔軟性があり、非常に厳しい作業条件でも、しっかりとプロジェクトを完了しました。特に、HBMが急な要請にも対応してくれたこと、また、設置するだけでなく、試験の際には専門家が助言してくれたことに感謝しています。このプロジェクトはHENTにとって前例のないものなので、品質の高いソリューションを提供するために、信頼できる業者の参加を得られたことは非常に有意義でした」

とSebastian Nordahl 氏(HENTのプロジェクトマネージャ)は述べています。

計測アンプにはQuantumXシリーズ、センサには主にひずみゲージ技術をベースにしたものが使用されましたが、IEPE(Integrated Electronic Piezoelectric)センサやピエゾ抵抗型センサも使用されました。

226箇所のひずみゲージの測定ポイントに加えて、 3台のロードセルをスチール製の天井のボルトに設置して、ボルトのひずみを長期間監視できるようにしました。また、3台の加速度センサ( IEPE センサ)を設置して、スチール製天井内の 3 次元方向の動きを長期間監視しました。さらに、岩盤アンカの欠陥および動きの変化を検出する運動計測装置15個、 スチール製天井の正負両方向の風圧による影響を監視する圧縮/引張力センサ(ピエゾ抵抗式)15個、 騒音低減対策の長期的効果を監視する音量計6個も設置されました。

HBMのソフトウェアcatmanを使用して機器の設定、ひずみゲージなどのセンサデータの収集と保管をしており、あらゆるデータが常時モニタできるようになっています。

設置が成功した理由

HBM社との効果的なコミュニケーションと共同作業が実施できたので、HENT社は設置作業が順調に実行され信頼性の高い監視が継続できると判断しました。ひずみゲージとデータロギングにより、設備の安全性を監視し、同時に、あらゆる条件下で計測機器が最高の品質を維持していることを確認できます。

HENT社は今後のプロジェクトでもHBMを採用する予定です。Nordahl氏によると、

「長期間の連続計測のために、天井裏に人を頻繁に派遣することは現実的ではありません。それゆえプロジェクトの発注者であるBane NOR社は、保守と校正を実行するために、HBMとのパートナーシップを継続し、サービス契約を締結する予定です。さらに、天井に欠陥が発生する可能性がでた場合には、Bane NORに警報信号を送る前に、欠陥の前兆を検知する限界値を設定する計画です。これは、設備がしばらくの間運用されてから可能になる予定です。Bane NORは、この計測監視システムを運用する初期段階にあり、この種のプロジェクトをおこなった経験はありません。しかしHBMから計測データの収集や品質管理の作業に関する助力を得て、列車の高速通過テストをすでに実施し、風圧による圧縮・引張力の試験を駅舎構造物のすべての構成要素に対して行いました」