HBMによる水力発電プラント監視:タービンブレードの効率計測

水力発電所の効率向上とグリーンエネルギーの推進

本文は、最新のひずみゲージ技術とPMX計測システムを使用して、既存の水力発電所の効率を10%まで改善した実例についてのレポートです。第1アイアンゲート水力発電所(Djerdap渓谷)は、ドナウ川の最大のダムであり、ヨーロッパ最大級の水力発電所です。それはルーマニアとセルビアの間のアイアンゲート峡谷にあります。

このプロジェクトは、1964年にルーマニアとユーゴスラビアの両国政府がドナウ川に大規模ダムを建設する合弁事業として開始しました。1972年の完成時では、世界最大級の水力発電所であり、12台の発電機が2,052MWを生成し、その成果は両国間で平等に分割されました。

従来型機械化ソリューションの限界

30年以上の操業後、2009年にセルビアで6基のタービンの再生プロジェクトが開始されました。その目的は、発電定格と効率を10%向上させることでした。Đerdap1に搭載されているタービンは、調整可能なブレードを備えた古いカプランタービンであり、設計の変更と最適化が必要でした。目標は、運転状態を徹底的に調査して、発電効率が最大になる生産電力と消費水量の比率を決定することでした。このために、IEENT(ベオグラードのニコラテスラ研究所)が、MFB(ベオグラード大学機械学部)およびTRC PRO(テクニカルリサーチセンター)の協力を得て、実際に稼働している発電設備上でリアルタイムに効率を計測する方法のコンセプトを設計しました。最大の効果を上げるために、タービンの発電能力を最適化できるタービンブレードの機械的構造を調査し、最新の基準に従って設計しました。

信頼性の高いセンサ技術

計測のための基本的なセンサは、タービンホイールの入力ステージに直接取り付けられたひずみゲージです。ひずみゲージは、長期安定性が非常に高いという利点があります。このプロジェクトで重要なのは、プラント内で事実上無限に使用できるセンサです。再校正のためにタービンを停止させることは効率的ではありません。

  • 最初のひずみゲージ計測がトルク計測を行いました。
  • 第2のひずみゲージ計測は、入力ステージでタービンの軸方向の力および速度の計測を行いました。

タービンホイールと発電機(タービンホイールの上方で発電機の下側)の間のシャフトに、トルクおよび軸力計測用のひずみゲージを配置しました。それらを4軸(上から見て、軸の円周上に等間隔に4か所)に配置しました。

このトルク計測のために、エンジニアはひずみゲージ HBM XY41-3/700を使用することを決定しました。2つの4ゲージ式ひずみゲージが並行接続で動作しています。

 軸力計測には、ひずみゲージXY31-3/350を選択しました。4つの4ゲージ式ひずみゲージが並列に接続されています。

シャフト上にひずみゲージを取り付け、さらにその上に電気的保護を与える特別なカバーで覆いました。さらに、この過酷な環境で、電磁干渉(EMI)の影響から、ひずみゲージを守るために、最終的なカバーを計測エリアに設置しました。

稼働中は、タービンシャフトが回転しているため、非常に小さい信号をひずみゲージから計測アンプシステムPMXに安全に送信する方法を開発しました。さらに計測信号を回転シャフトから受信機に無線で送信する遠隔計測システムを設置しました。

HBMを使用して稼働中

計測制御システムには、迅速で信頼性の高い計測、設定が簡単なこと、リアルタイム演算、診断情報、追加のソフトウェアのインストール、効率的な価格設定など様々な要求がありましたが、これらのすべてが 計測制御システムPMX で実現できました。

最初のステップでは、PMXを電圧入力用の4チャネルアンプとして使用しました。第1の入力は、トルク計測用にタービンに設置されたひずみゲージの遠隔計測システムからの電圧でした。第2の入力は、タービンの軸力計測のテレメトリシステムであり、第3の入力は回転速度でした。すべての信号は、高い帯域幅の19.2 kHzで計測され、計測信号の品質を確保しています。

PMXシステムの調整は、標準のEthernetインタフェースと内蔵のPMX Webサーバで処理されます。このソリューションは、マシンネットワーク経由で調整を行うことができる点が長所です。またWi-Fiが利用可能な場合は、リモートでも調整が行えます。そのため、各エンジニアはアプリケーションの状態や試験の進行状況をリアルタイムで観察できます。ユーザ管理機能により、権限のないオペレータによる誤操作は防止されています。

 

PMXスマート機能による強力なリアルタイム演算

次のステップでは、必要に応じて、関連する情報が、リアルタイムで計算されます。これは、PMXのスマート機能を使用して、高度なソフトウェア技能がなくても、オペレータが簡単に実行できます。スマート機能には、ポケット電卓、論理関数、プロセスの評価からPID制御のような制御機能まであります。

機械的出力は、次の式で計算できます:

 

単位: P: W; M: Nm; n: rpm. 

安全な設置と診断機能

PMXは、ほこりやEMIを防止するため、キャビネット内に取り付けました。キャビネットにはテレメトリシステムも装備されています。 

キャビネットのガラス窓からは、PMXと診断機能用のLED表示を直接見ることができます。これは、デバイスの潜在的なエラーと計測ステータスを簡単かつ迅速に判断するための指標です。これにより、サービスエンジニアは追加のテスト装置を使用せずに、迅速に情報を得ることができます。

より専門的な診断データの詳細は、PMXのログファイルに保存されています。このファイルは、 PMX の内部メモリに格納されています。これには、デバイスと計測に関連して発生したすべてのエラーと、オペレータが行ったパラメータのすべての変更を記録しています。これは、試験作業の全体と計測プロセスの100%をカバーしています。

“「PMXのWebサーバは、パラメータ設定、設定、制御に非常に役立つツールです。PC 、タブレット、スマートフォンでは、標準のWebブラウザを使用することができ、追加のソフトウェアは不要でした。そのうえ、発電所全体のどこからでもリアルタイムで永久的に利用でき、非常に便利です。」とTRC PROのHotimir Licen氏と述べています。

プロセスデータの取得と評価

このプロジェクトの要件として、エンジニアチームは、使いやすく、堅牢で強力なDAQおよび評価用ソフトウェアを要求しました。このソフトウェアは、PMXシステムからの演算チャネルだけでなく、全速度ですべての計測信号を取得する必要があります。これらのチャンネルはリアルタイムで計算されます。つまり、計測信号と同じ速度で計算されます。さらに、ソフトウェアはすべてのデータを可視化して保存し、要求に応じて印刷用レポートを作成する必要があります。

全てのデータは、HBMのデータ収集ソフトウェアcatmanで収集されました:

プロジェクトをA4で終了した後、効率試験を実施し、新しいタービン特性を記録しました。

使用されたHBM計測ソリューションの要点を以下にまとめました:

  • 迅速で簡単な導入

  • 設定が簡単で効果的な診断機能付き

  • 高解像度、高精度、および高速データ取得

  • デバイス内蔵の演算チャネル:

    • ダイナミック信号とフィルタリングされた信号

    • ひずみ計測によるトルク計算

    • ひずみ計測による力計算

    • トルクと回転数計測による電力計算

    • PCを使用しないデータストレージとWeb上でデータが見られるアプリケーションの開発、および、PC、タブレット、スマホ(WEBブラウザ付きの端末)でのデータ表示

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