高精度トルクセンサ T40MAR による船舶エンジンの最適化

高精度で信頼性の高いトルクセンサT40MAR を利用した船舶エンジンの最適化により、莫大な燃料の節約ができます。これはまた、最近増えている国際的な規制基準に沿ったものです。

汚染物質の排出量を徐々に削減することを推進する国際MARPOL条約は、既存の船舶用燃料や液化天然ガス(LNG)などの様々な燃料を組み合わせて使用できる新エンジンの開発を海洋エンジン業界に呼びかけています。その理由は、2種類の燃料を用いるデュアルフューエルエンジンは、排気ガス低減の目標値を問題なく達成できるからです。異なる種類の燃料を併用できるこのエンジンは、可能な限り、全く出力を失うことなく、燃料を素早く切り替えられる必要があります。さらに、エンジンがLNGモードで使用される場合、ノッキング、失火、過負荷(図1参照)などの臨界動作モード(シリンダ圧力の)も確実に防止する必要があります。

これを確実に実行するには、負荷信号を正確に計測・処理することです。また、既存の船舶用燃料とLNGを出力損失なしに切り替えること、及び、運転状況にかかわらずエンジンを常に最適な運転ウィンドウの範囲内で運転することが、正確な負荷信号を使用した制御により可能になります[1]。その結果として、燃料消費が大幅に削減されると同時に、効率が大幅に向上します(図 1 参照)。

負荷信号を決定するために、駆動力Pは、エンジンのトルクMの正確な計測値と角速度ωの積として計算され、エンジン制御システムに送信されます。

P = ω*M              (1)

図1:デュアルエンジンのガスモードでの動作範囲

負荷計測値の精度が十分である場合のみ、最適動作ウィンドウの範囲内で船舶エンジンを適切に運転することができます[1]。トルク情報が正確であればあるほど、正確な制御が行えます。このトルクは、直接または間接的に計測できます。

負荷を計測する方法

間接的な負荷計測

駆動トレインのシャフト上で間接的な荷重計測を行う場合は、トルク関連パラメータの計測とその後の演算処理が必要になります。これらのトルク関連のパラメータは、通常、次の条件によって決まります:

  • インプットシャフト表面のひずみ計測。ひずみゲージをシャフトに直接接着して計測ブリッジに配線。ブリッジの励起電圧と計測信号は両方とも非接触型
  • シャフトのねじれ角度の計測

直接的な負荷計測

直接的な計測では、インライン・トルクセンサをドライブシャフトの一部として組み込みます(図2参照)。トルクセンサは、製造元で適切な校正マシンを利用して出荷時には校正済みです。このセンサは、取り付け、取り外し、交換、および再校正を、簡単に実行できます。

図2:船級取得済みのトルクセンサT40MAR

上述の方法には、それぞれ利点があります。例えば、既存システムの改造では間接方式が選択される場合があります。しかし設置状況や使用部品によっては、演算で得られるトルク値は、各構成要素の公差が比較的高い不確実性を持つことがあり、総合的な計測の不確さは高くなります(下記テーブル参照)。

入力変数 間接方式: ひずみゲージ 直接方式: トルクセンサ
ヤング率 2 … 5% ~ 0%
ゲージファクタ ~ 1% ~ 0%
シャフト・ジオメトリ ~ 1% ~ 0%
ひずみゲージの位置 1 … 5% ~ 0%
T° の影響 2 … 5% ~ 0.1%
総合 5 … 7%、検出不可能 ~ 0.2 … 0.3%、検出不可能

校正とトレーサビリティ

高いトルク値を計測することに加えて、船舶用エンジン業界の厳しい環境規制に適合するためには、トレース可能なトルク校正を行い、駆動力や効率計算の精度を確保する事が、ますます重要になっています[2]。基本的に、トルク校正には以下に示す3つの方法があります:

  • レバーアーム・マス・システム - 既知の長さのレバーアームを使用して、校正済みの質量を試験サンプルに作用させ、正確に定義されたトルクを使用[4]
  • レバーアームを備えた参照用力変換器を使用[3]
  • 基準値を提供する参照用トルク変換器を使用

参照用トルク変換器を備えたシステムは、トルクを生成する任意のメカニズムを使用することができ、発生したトルクは参照用トルク変換器で計測されます[2][3]。

図3:400 kN・m の校正マシン(HBM ダルムシュタットの設備

HBM のトルク校正マシン

標準器を参照する校正法に従って、この新しい校正マシン(図3参照)は、レバーアーム・マス・システムに参照トルクを提供する参照用トルク変換器の機能を組み合わせています。改造した高精度トルクセンサT10FH / 150kN・mおよびT10FH / 400kN・mを参照用変換器として使用して、計測の不確実性0.1 %を達成しています。

この高レベルな精度クラスが達成できる主な理由は、HBMのトルクセンサをドイツ国家基準の参照トランスデューサにまでトレースして精度を検証しているからです。ドイツ国家基準マシン(本拠地PTB)は、1.1Mn・mの最高ランクの校正マシン(「トルク標準マシン」とも呼ばれる)で、その計測不確かさは 0.08%です。図3のHBMの新しい400 kN・m校正マシンはこのドイツ国家基準マシンで検証されています。

まとめ

HBM のトルクフランジT40MARは、特別に船舶の推進システム用に開発されたトルクセンサで、船級取得済みです。その計測精度により、海運業の現在の環境規則によって必要とされる精度より、少なくとも10倍以上の高精度な負荷信号を使用して推進システムの制御を行えます。


References

[1]   K. Weissbrodt, Direct torque measurement on large drives with very small tolerances, Paper Hottinger Baldwin Messtechnik GmbH (2011)

[2]   H. Frais, L. Lioba, D. Röske, Development of a New 400KN.m Torque Calibration Machine, Paper, Hottinger Baldwin Messtechnik GmbH (2015)  

[3]   R. Schicker and G. Wegener, Measuring Torque Correctly. Bielefeld: Hottinger Baldwin Messtechnik GmbH. (2002)

[4]   Davis, F.A. The 1st UK National Standard Static Torque Calibration Machine-New Design Concepts Lead The way. Measurement Science Conference in Anaheim, USA. (2002)

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