光ファイバ式ひずみセンサのアレイを正しく構築するためのヒント

ファイバブラッググレーティング(FBG)技術の長所の1つは、優れた多重化機能です。FBGセンサアレイでは、多数のブラッグ波長を同時に使用(多重化)することができるので、各センサが独自のブラッグ波長を使用する限り、正確な計測値の読み取りを損なうことなく1本の光ファイバ上に直列に多数のセンサを接続できます。

光ファイバの途中に、コネクタ接続でセンサを個別に追加、または、融着接続(2本のファイバを永久接続)によりセンサのアレイを追加できます。設置時には、センサやセンサアレイをインテロゲータ(光信号収集装置)の光チャネルの1つに接続できますが、正しく波長選択を行い、ケーブル長と接続からくる信号損失に注意する必要があります。

1. センサの選択

いくつかのタイプのFBGベースのセンサがHBMから提供されているので、光損失が限界内であり、センサの波長が重ならない限り、全てのセンサをインテロゲータの同じ光チャネルに接続できます。下記のヒントはひずみ計測に適用されますが、他のタイプのセンサにも簡単に適用できます。

最適なセンサのタイプを選択するためには、以下の要件を考慮する必要があります:

a) 計測範囲

センサのカプセル方式によって、 計測範囲が制限されることがあります。 必要な計測範囲が得られず、一部のセンサが使用できない場合があります。

b)取り付けタイプ

センサを接着、溶接、埋め込み、またはボルト接続により設置するソリューションを、HBMは提供しています。取り付けタイプによっては、設置の速度およびコストが問題になったり、他のオプションと競合したりする可能性があります。溶接タイプのゲージは、金属構造物にセンサを設置する場合に使用します。溶接は、接着剤のように硬化を待たずに設置直後にすぐに使用できるので迅速かつ効率的な方式です。複合材料の場合、接着または埋め込みの2つの方式を選択できます。繊維複合材に対しては、ボルト接続はファイバに損傷を与えるので、通常推奨されませんが、コンクリートや金属構造物には適しています。

c)堅牢性

さまざまなレベルの堅牢性を備えた多種多様なセンサが利用可能です。センサのケーブルは、実験用から屋内または屋外用、さらには誘電体ケーブルなどを特定の環境に合わせて選択できるので、追加の保護カバー設置などは必要ありません。

d)ケーブルの曲げ半径と長さ

HBM FiberSensingひずみセンサは、使用される光ファイバの特性が異なる2つの製品シリーズに分かれています。OPシリーズは、光損失が無視できるほど小さく、屈曲能力の高いファイバを使用しており、曲げ半径が小さく非常に狭い場所に設置可能で、曲がった表面上でも計測できます。FSシリーズは、センサとケーブルの柔軟性が低いタイプですが、数キロメートルにわたる長い配線距離で使用可能です。

e)動作温度

ひずみ計測は、非常に異なる環境でも行うことができます。高温または低温の環境で使用する場合、光ファイバ式ひずみゲージに最適なタイプがあります。

f)温度補償の必要性

FBGベースのひずみセンサは温度変化に敏感であり、補正が推奨されます。

HBM FiberSensingは、アサーマルひずみセンサを使用した、FBG波長(試料材料の熱膨張ではない)に対する温度変化の影響を根源的に打ち消すユニークなソリューションを提供しています。 このようなひずみセンサを選択すると、温度補償用の余分なセンサが不要になります。これ以外のひずみセンサは、次のような検出素子が追加で必要となります。

  • ひずみセンサと同じ温度の下に置かれた温度センサ:ひずみセンサと同じ場所での温度計測、センサの温度クロス感度(データシートと校正シートに記載されている)、およびベース材料の熱膨張によって、ひずみ計測値を補正することができます。
  • 光学補償素子:ひずみセンサの中には、温度補償効果のために特別に設計されたFBGセンサを使用することができます。
  • 同じ材料に適用され、等しい温度条件にさらされるが、機械的ひずみの影響を受けない光ファイバ式ひずみゲージ:このセンサによって計測されるひずみは、温度によって誘起されるひずみです。
  • 試料の反対側の面に設置され、ひずみの絶対値が同じであるが反対の信号を有する光ファイバ式ひずみゲージ:プッシュプル構成で動作するようにセンサを組み合わせることにより温度の影響をゼロにできます。

アレイに必要なセンサの数により、上記のオプションを考慮する必要があります。

2. 波長選択

2つのセンサ間のブラッグ波長間隔により、両方のセンサの最大計測範囲が定義されます。2つの信号が重なる波長領域があると計測値が損なわれます。各センサの使用波長範囲を決定する要因には、動作温度範囲内の計測範囲、及び、材料の熱膨張とセンサクロス感度に起因する熱による波長シフトセンサの感度があります。

センサの中心波長(λ0)から出発して、確保する必要がある波長範囲は、センサの最小波長値から最大値までです:

通常のセンサ計測範囲での使用で、予め選択された波長が利用可能な場合は、特に波長の選択をする必要がなくなります。

  1. FSシリーズのセンサは、約6.4 nm間隔の波長を使用しています。
  2. OPシリーズのセンサは、5 nm間隔の波長を使用しています。

3. 光損失の制御

各光チャネルに接続される1本のFBGセンサチェーン上に使用できるセンサの接続数は、使用される接続の種類だけでなく、インテロゲータ、ファイバのタイプ、長さ、および光信号損失(光ケーブルの経路、微小曲率などの設置状態により影響される)にも依存します。

a)コネクタ接続vs融着接続

光ファイバ式ひずみセンサをチェーン接続する場合、コネクタ接続融着接続の2つの方式を使用できます。

コネクタは文字通り「プラグアンドプレイ」を意味するため、現場で簡単に設置できます。しかしながら、この方式は、光信号の損失や時間とともに劣化する傾向が比較的大きくなります。

一方、融着接続は2つのファイバを融合させる最も確実な接続方式であり、時間の経過に関係なく安定し、光学損失が低いのが特長です。しかし、融着接続は、専用ツール、熟練した専門家、およびより長い設置時間が必要です。

設置時間を最小限に抑え、各センサのチェーンに接続できるセンサ数を増やすために、HBM FiberSensingは、各用途に合わせた、融着接続(保護カバー付)で組立済みのセンサアレイを提供します。

b)ファイバの種類と長さ

HBM FiberSensingのセンサチェーンに使用されるファイバケーブルは2種類あります。FSシリーズのセンサで使用されるファイバは9 µmコアで、 OPシリーズのセンサで使用されるファイバは6 µmコアです。

9 µmコアファイバの減衰損失が非常に小さいため、FSシリーズのセンサケーブルはセンサ信号を損なうことなく、数キロメートルの距離を伝送できます。OPシリーズのファイバケーブルは、減衰損失がより大きいので、長距離伝送には適していません。

2種類のファイバを一緒に接続すると、たとえ融着接続を使用しても、インタフェース面での損失も大きくなり、チェーン内で異なる種類のファイバを使用できる回数が制限されます。

c)センサ反射率

FBGセンサの計測原理は、入射光の一部が反射してできる反射スペクトルに基づいています。入射光は一定の割合で反射されます。FSシリーズのセンサは約65%の反射率、OPシリーズのセンサは15%未満の反射率をもっています。損失を計算する際には、センサの反射率も考慮する必要があります。

d)インテロゲータのダイナミックレンジ

光センサチェーン上の許容損失は、インテロゲータダイナミックレンジによって決まります。ピーク値検出に使用する光学スペクトルを有効な信号と判断するために、ダイナミックレンジと信号対雑音比が使用されます。ダイナミックレンジに対して、損失値が大きい、または非常に近い信号は、インテロゲータによって正しく取得されません。

光ファイバ式センサチェーンを最適化するためには、センサ, インテロゲータ および アクセサリの技術的特性を注意深く検証する必要があります。

HBMは、お客様が適切な部品が選択できるようにサポートしています。ご不明な点は、HBMの担当者までご連絡ください。

 

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