アクティブひずみセンサ(アンプ内蔵型ひずみセンサ)による力計測の利点と欠点

1. ひずみセンサの動作原理、利点、および限界

HBMのひずみセンサSLBシリーズなどは、様々な計測アプリケーションでその価値が実証されています。既存の構造物にネジで簡単に取り付けることができます。標準的な用途には、プレス機、溶接機、サイロなどがあります。例えば、ひずみセンサを備えたプレスでストロークが開始されると、フレームには力に比例したひずみが生じます。ひずみセンサは、このひずみを計測可能な電気信号に変換し、また電気信号を力(この場合は、プレス機で発生する)に変換します。

ひずみセンサの利点は明らかです:

  • ひずみセンサは、力センサよりもかなり低い価格です。この点は、大きな力を計測する力センサと比較すると非常に明白です。

  • ひずみセンサは、システム剛性に影響を与えません。したがって、装置の動的特性に影響を与えません。

  • 非常に大きな力を計測する場合でも、ひずみセンサはコンパクトです。力センサは特に、より大きな設置スペースが必要になります。これは、計測システムの設計変更を意味し、特に、オプションとしてのみ提供される場合は、その設置スペースを確保しなけれなりません。

しかし、欠点もいくつかあります:

  • ひずみセンサは、力センサほど正確ではありません。これは、生産のより高い精度に対する要求が高まるにつれて、決定的な要因となります。

  • ひずみセンサは、取り付け後に校正する必要があります。校正とは、C6A のような力センサを使用して、最初にプロセスに加えられた力を計測する必要があります。それをひずみセンサの信号と比較し、そのひずみを力に変換します。校正は、既知の重量を用いて行うこともできます。この場合、校正された計測システムの精度は、校正プロセスの精度よりも優れていることはありません。

2. ICチップ組込んだアンプ内蔵型ひずみセンサ

精度が最優先ではなく、計測システムの予算が限られている場合は、ひずみセンサが第1の選択肢となることがよくあります。この場合、センサはアンプを使用する必要があり、そのための費用と十分な設置スペースを確保する必要があります。

そこでHBMは簡単な計測作業用として、ひずみセンサSLBに非常に効果的な電子部品を内蔵しました。このタイプのひずみセンサには、4~20 mA出力と0~10 V出力があり、製品コードの最後に "VA"(例:SLB700A/06VA)が追加されます。

複数のひずみセンサの並列接続が望ましくないときは、常にSLBVAを使うことをお勧めします。並列接続が絶対必要な場合は、内蔵エレクトロニクスなしの アナログタイプのひずみセンサSLB700A を推奨します。

ひずみセンサを並列接続する

多くの用途において、潜在的な曲げひずみは計測しないことが望ましい場合があります。この曲げひずみは、2つのひずみセンサを使用して簡単に補正できます。これを行うためには、ひずみセンサを被計測体の対面方向に設置し、電気的に並列になるように接続する必要があります。こうしたケースには、出力抵抗と感度がバランス調整されているため、パッシブなひずみセンサSLB700Aがこの目的に適しています。また、ひずみセンサSLBシリーズは、入力抵抗が1000Ωと高いという利点があります。4つのセンサが並列に接続されていても、ブリッジアンプの抵抗はわずか250Ωで、ほとんどのアンプが容易に対応できる負荷です。

アンプ内蔵型ひずみセンサを使用するかどうかは、信号調整の要件にも依存します。フィルタアルゴリズム、リミットスイッチ、演算チャネルなど、工業用計測アンプが提供する機能が必要かどうかを確認することをお勧めします。

アンプ内蔵型ひずみセンサが推奨されるのは、計測値をパラレル接続なしで取得する場合、演算機能を必要としない場合(または制御装置で提供されている場合)、また費用対効果の高いソリューションが望まれる場合です。

3. HBMの「ティーチング」方式:アプリケーションに関係なく、常に最大出力信号を使用

アンプモジュールを内蔵した従来型のひずみセンサは、ゲインが固定でした。例えば、500 µm/mは10 Vの出力信号に固定されていました。しかしこの場合、最大出力信号は使用するゲインに依存するため変更できません。上述の例では、センサに200μm/mのひずみ加わると、出力電圧は4 V(500 μm/m = 10 V、したがって100 μm/m当たり2 V)となります。特に、計測チェーンに低分解能または高ノイズのモジュールが含まれる場合、計測結果が不十分となるケースが多々あります。

アンプ内蔵のひずみセンサSLB700A/06VAは、常に最大限の出力信号を使用できるため、この問題を回避することができます。

この種のセンサは合計5つ(電流式)または6つ(電圧式)の入力と出力を備えています:

コネクタSLB700A/06VA 電圧出力タイプSLB700A/06VA 電流出力タイプ配線の色
供給電圧19~30 V19~30 V
供給電圧0 V0 V

出力信号0~10 V4~20 mA
出力信号0 V未使用
制御入力 IN 1(ゼロバランス)  
制御入力 IN 2( 「ティーチング」入力)  

 

電流式では、計測回路は電源電圧の0 V入力(黒線)で閉じられています。ここで、いわゆる「Teach2入力、IN2」を見てみましょう。この入力により、センサは実質的に任意の計測範囲に調整することができます。このためHBMは非常に便利な「ティーチング」方式を開発しました。

  • まず、センサは通常の方法で設置され、機械設備(プレス、ロールスタンド、サイロ)側の負荷をゼロにします。電子機器にゼロ点を記録させるため、「ティーチング」入力に長パルス(少なくとも+10 V)を加えてください。
  • その後、最大負荷をかけると、別の短いパルス(少なくとも10 V、1秒未満)が「ティーチング」入力に送られます。これで2点間のアンプ調整が完了します。

この方式では、ひずみの程度にかかわらず、最大出力範囲をティーチングできるので、全入力範囲を完全にカバーできます。

4.「ティーチング」方式に関するヒント

この「ティーチング」方式では、計測範囲の上限と下限には常に10 %のバッファが設定されています。そのため、より高いひずみ信号(例えば、故障の場合などに)が増幅・伝送できます。この内蔵アンプは、0~10 Vではなく1~9 Vに設定されています。

特性曲線(すなわちひずみと出力信号の比)には、負の値も使用できます。伸長と圧縮の両方を正の信号に変換可能です。内蔵アンプが両方のひずみを正の出力信号に変換することができるので、圧縮(負のひずみ)または伸長(正のひずみ)のどちらでも使用可能です。決定的要因は、最初に計測され、ゼロ点として定義される点です。この内蔵の計測アンプは低ノイズと2 kHzの帯域幅を提供しているので、ダイナミックプロセスに適しています。

スパン(計測範囲の幅)、つまり最小値(ゼロ点)と最大値の差は、固定値として永久に保存します。一方、ゼロ点は保存されず、停電後には失われるため停電後に必ずゼロリセットすることが不可欠です。ただし、再校正は必要ありません。

また、センサを校正することができるひずみの限界値がより低いことにも注意してください。この限界値の設定では、相対的に電気ノイズが強すぎる範囲では、計測の品質が保てません。ゼロ点と最大力が負荷された時のひずみは常に50 μm/m以上異なる必要があります。これ以上差が小さくなると、エレクトロニクスのティーチングプロセスが有効に働きません。鋼材による構造物では、応力が約10 N/mm2 なので、非常に低いひずみ量でも検出が可能で、非常に堅い構造物でも容易に計測することができます。

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