QuantumX: DAQ革命の第3世代

HBMのQuantumXは、計測データ収集の分野で新しいトレンドを生み出し続けています。このデータ収集システムは、誕生10周年を迎え、第3世代のデバイスに移行しようとしています。計測技術の専門家であるChristof Salcherにインタビューし、その成功の理由を聞きました。

HBMのQuantumXは、分析・テスト分野の従来のソリューションに革命をもたらしました。ユニバーサルチャネル、分散システムアプローチ、高精度デジタル化、並列リアルタイムと独自のオープン性を備えたQuantumXは、市場においてスタンダードに位置づけられています。

Christof Salcher(QuantumXのプロダクトマネージャー)

Christof Salcherはミュンヘン工科大学で電気工学と情報技術を修了し、計測、制御、オートメーション、ロボティクス分野を専門としています。

2007年からHBMでテスト・計測分野のグローバル担当のプロダクトマネージャー/プロダクトオーナーを務めており、耐久性、機能性、パフォーマンステストのためのソリューション全般の設計に携わっています。

QuantumX – その名前がすべてを語る: 非常に複雑な計測課題を解決するためのモジュールシステム、つまり柔軟に組み合わせ可能ということですが、このアイデアはどうやって思いついたのですか?

Salcher:

「10年前、計測電子機器の柔軟性は非常に限られており、大きくて扱いにくく、高価なものでした。そのころHBMは製品ラインとしてMGCplusというデータ収集システムを擁していました。このシステムは今も現場で運用される計測デバイスの標準として活用されています。試しにインターネットでMGCplusを調べてみてください。計測技術の代名詞的存在です。

HBMが保有する特許のうち驚くほど多くのものがこのシステムに関連しています。しかし、同システムにも制約があり、乗り越えなければならない時期でした。お客様の要求にお応えできるようにするため、その上を行く新たな計測システムが求められていました。お客様のニーズはまだはっきりとは顕在化していませんでしたが、技術的には可能でした。つまり、将来に向けた大きなステップであり、柔軟性に優れたツールという特徴を持たせる必要がありました。私たちはそのシステムの市場への投入に際し、「計測技術のスイスアーミーナイフ」という表現を用いました。それから10年が経ち、QuantumXはそれ以上のものへと進化を遂げているのです」

テスト・計測領域において、難しいタスクをこなせる柔軟なツールには、どのような特徴が求められているのでしょうか。

Salcher:

「私たちは、お客様の個々の作業ステップを調べ、そこから効率化の可能性を探りました。そして、パラダイムシフトを起こしたいと考えていました。それは、一度設置されたらそのまま永久に使い続けることになるツールから、常に効率性の向上をもたらすツールへの脱却を図ることでした。

新システムの構造は、できるだけ多くの用途で利用できるように、小型でポータブルなものにする必要があります。センサの近くに実装し、分散利用が可能であることも必要です。タスクの変更があっても装置の入れ替えが不要でなければなりません。新しい計測技術を統合可能であり、どのようなセンサにも対応できることが必要です。お客様の作業ステップをさらに最適化できるように、ユニバーサルな計測チャネルとして求められる要素にTEDSチップテクノロジを組み合わせました。ユニバーサルチャネルと組み合わせることで、センサやプラグの電子データシートの効率性が大幅に向上しました。当然、QuantumXでは、正確性・精度の面で基準点になることと、より大型のMGCplusに遜色のないものにすることを目指しました。高ダイナミクスを求める声の高まりも応える必要がありました。機器がよりダイナミックになる中で、信号帯域とサンプルレートも振動音量範囲を完全にカバーし、ローテーション分析を可能にし、高分解能で過渡プロセスを処理できなければなりません。

当時既に明白であったことは、できるだけ早期にできるだけ深く実際のフィールドアプリケーションをテストできるように、開発に付随するより多くの計測作業が完全自動(つまり、反復して再現可能な形で)で行われるようになるだろうということでした。このことから、注目を浴びつつあったイーサネットベースのフィールドバスへのリアルタイムの統合を提供する必要がありました。しかし既に、自動化と並行して、試料の計測データの分析についてより深く掘り下げてほしいというお客様の要望がありました。寄せられる要望は非常に多かったので、それらを分類して優先度をつけました。こうしてQuantumXモジュールシステムは、技術的な可能性を常に考慮しながら、モジュール1つずつ、そしてあるアプリケーションから次のアプリケーションへという形で、実現化されていったのです」

QuantumXは仕事の生産性を高めましたか?

Salcher:

「はい、向上しました。実際にQuantumXでいろいろと試したり、テストしたり、分析するなど、お客様には、慣れ親しんだ計測品質にこれまでにない高度な柔軟性が加わったQuantumXにご満足いただいています。QuantumXは、柔軟性と生産性の代名詞となっているのです。

2008年には、QuantumX MX840で市場に新たなスタンダードを打ち立てました。ユニバーサルチャネルを備え、優れた操作性・携帯性をもち、正確かつダイナミックであるうえに、他のソリューションよりも低価格のデバイスが突然出現したのです。QuantumX MX840は今でも非常に多様な用途で活用されています。ソフトウェアに伴う投資はますます膨れ上がっています。この製品はこれまでの投資を全く無駄にすることがありません」

進化を前進させた新しいトレンドは何だったのでしょうか、そしてそれはいつ起きたのでしょうか?

Salcher:

「進化の第2段階であるBプラットフォームにおいて、重要なコンポーネントをいくつかモジュールに追加しました。1つ目はPrecision Time Protocol (PTP)です。IEEE1588:2008とも呼ばれますが、イーサネットをベースとしたネットワーク上にある複数のデバイスを小数点以下第2位のサンプルレートで同期する標準規格です。当社の中核的なMX840Bをさらに改善し、電力消費を抑えながらその機能的範囲と性能を広げることも目指しました。

振り返るとこの第2段階は、調和のとれた非常に重要なステップであり、ちょうどよいタイミングでした。PTPと小数点以下のサンプルレートの一番の長所は、高い精度を保ちながら数百ナノ秒の範囲でHBMやそれ以外のメーカーの計測デバイスを同期することです。これにより、計測データを統合、分析する作業が簡略化されます。すべての計測ポイントを同時に割り当てることが可能になり、最善の場合、データセットが1つだけになるからです」

ちょうど10周年を迎える今、進化の第3段階としてQuantumX CX27Cが登場しました。何が新しいのでしょうか?

Salcher:

「Cプラットフォームは、性能の面で先頭を走っているように見えると思います。車両分野やテストベンチにおいてますます高くなるデータレートに対応することが不可欠です。1つ目に、テストを圧縮するトレンドがあります。お客様は、シミュレーションとそのリアルタイムの監視・制御に際して、膨大な数のさまざまなテストとそこで取得した何百もの計測信号に1つのレイアウトで対応したいと望んでいます。2つ目に、車両電子機器のネットワーク化は、従来のCANからCAN-FDとFlexRayを通過してイーサネットベースのビークルバスへとさらに進歩しています。

ゲートウェイモジュールQuantumX CX27Cは、QuantumXファミリで初めて、極めて強力で省電力のシステムオンチップ(SoC)アーキテクチャを採用しました。この新プラットフォームによって、お客様は記録データを任意のフィールドバスのいずれにも手早く取り込んだり、最新のビークルバスから同期的に信号を取得できるようになります。このような方法で、少なくとも12倍も性能を向上させることができました。もちろん、このC世代初のモジュール製品は、QuantumXファミリのすべてのモジュールと互換性があります」

Quantumのさらに向上した部分にも触れておくべきでしょう。SomatXRは、車両路上テストに使用される超堅牢なテスト計測機器ですが、テストベンチでも利用されるケースが増えています。プラットフォームのそれぞれのモジュールを超堅牢バージョンとして構築できます。簡単に言うとモジュール構造システムです。

オープン性と接続性についてはどうでしょうか?

Salcher:

「全く最初から、オープン性を強調し、統合化を進めてきました。私たちは、パートナーとして見込まれる企業に積極的にアプローチし、さまざまなソフトウェアパッケージへの統合を推進してきました。これには、LabVIEW / NXG、Visual Studio .NET、DIAdem、CANape、DASYlab、InNova、IPEmotion、jBeam、mlabなどがあります。当社のコミットメントは、以前も今も、当社独自のソフトウェアを組み込んで効果的で包括的なソリューションを提供することですが、お客様が既に他のソフトウェアパッケージを選ばれていようともその邪魔立てをしないようにすることにも配慮しています。多数のチャネルがあるシステムでのcatmanAPやEnterpriseの浸透率は、現在では90%までになり、これは当社のコミットメントを裏付けるものです。エンドユーザーにさらなる価値を届けられるように、PTPに関連する課題に関して、競合他社に技術移転を行うことすらあるのです。

"現在は、データ収集ソフトウェアEVIDASを採用した最新のソフトウェアプラットフォームを新たに確立する過程にあります。このパッケージは、効率的なワークフロー、言語サポート、クラウド統合、オープン性の面で新たなスタンダードを打ち立てます」

テストや計測の未来についてはどうお考えですか?

Salcher:

「QuantumXでは、私たちは進むべき道筋に従って絶え間なく前進しています。新世代の最初の製品であるQuantumX CX27Cは、テストベンチアプリケーションに対応します。近い将来、車両路上テストでのフィールドバスやビークルバスのサポートが追加されるでしょう。

今後5年から10年のタイムフレームでは、お客様と当社が直面する課題は同じものです。それは電気関連、自律性、デジタルネットワーク化、インテリジェントです。

当社の新しいデータ収集ソフトウェア EVIDAS と共に最初のステップを踏み出します。バンドルする計測技術をIIoT(産業用モノのインターネット)対応にし、お客様が選択するいずれのプラットフォーム(MS Azure、Siemens MindSphere、GE Predix、Bosch IoT、SAP Hana、Amazon AWS、ThingWorxなど)にでも統合できるようにします。オンプレミスかパブリックかに関係なく、国、業界または用途によりこの側面がさまざまに変わると確信しています。この点に関して当社はオープンであり続けます。ここでもう一度、ポイントを抑えたいと思います。これは、HBM nCodeとReliasoftで構築済みのウェブベースの Aqira プラットフォームに直接関係します。Aqiraは統合ソリューションを実現し、強力な自動分析をバックグラウンドで用いて仮想(シミュレーション)テストと実テストを合成します。この方法で、お客様が新製品を開発する際の効率を高め、品質向上を後押しします。また、 Bruel & Kjær Sound & Vibration(BKSV) から、その分野の先駆的技術支援も受けます。2019年1月1日付で、正式にチームとなる予定です。HBM/HBKの今後にご期待ください」

多機能かつ専門性の高いデバイス

QuantumX計測モジュール

  • ユニバーサルデータ収集モジュールQuantumX MX840BMX440BMX410Bは、本当の意味での多機能デバイスです。一般的なすべてのトランスデューサおよびセンサと接続します。
  • 周波数カウンタモジュールMX460Bは、一般に回転速度、トルク、角度、絶対位置、変位量、PWMを、非常にダイナミックかつロスなしに高精度で取得します。
  • 多数の計測チャネルがある計測作業向けに、QuantumXファミリにはMX1615B = 16チャンネルひずみゲージブリッジアンプモジュールとMX1609 = 16チャンネル熱電対モジュールをそろえています。
  •  力、トルク、圧力計測用高精度計測アンプMX430Bと2チャンネル4ゲージ式高精度アンプモジュールMX238Bは、フルブリッジのひずみゲージベースの力、トルク、圧力センサの計測を最高精度で可能にします。
  • QuantumXの8チャンネル熱電対/電圧入力モジュールMX809BMX403Bの2つのモジュールは、高電圧環境での計測の場面で、立証可能な最大限の安全性を意図します。

モジュールを統合、データを蓄積

  • データレコーダQuantumX CX22B-Wは、計測値、信号、位置、カメラのデータを、全く独立的に収集、評価、蓄積します。結果は直接またはWLANにより伝送可能です。
  • 4ch・CANbus入出力モジュールQuantumX MX471Bは、CAN信号を同期的に取得し、アナログ計測値をCAN経由でテストベンチ制御ユニットまたはデータロガーに送信します。

 

リアルタイムの応答

  • ゲートウェイQuantumX CX27はPROFINETやEtherCATなどのリアルタイムなバスに計測システムを組み入れ、それにより自動テストシステムへの完全な統合を実現します。
  • アナログ出力トランスミッタモジュールQuantumX MX878Bとマルチ入出力モジュールMX879Bは、信号の評価、刺激の生成、または取得した信号値の直接出力を行います。そのため、小型のテストベンチの制御が簡単になります。
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