電気自動車(EV)のトルク計測

燃焼エンジンから電気モータへの転換はすでに始まっており、テストベンチ計測技術に影響を与えています。この傾向は、近い将来より顕著になります。従来の燃焼エンジンと比較して、電気駆動システムは、寸法が小さく重量も軽いので、出力密度が大幅に高くなっています。電気モータの熱損失はわずか10%ほどに減少しており、電気エネルギーの90%以上は機械エネルギーに変換されています。それに加えて、車両の電気駆動装置はかなり高い回転速度で動作するため、エレクトロモビリティ用テストベンチのトルク計測には高度な技術が必要になります。

高速回転と複数のインタフェース

HBMのトルクセンサT11は、2004年に公称(定格)回転速度に関して、画期的な新基準を業界にもたらしました。ローターの質量が小さく、慣性モーメントが小さいため、最大30,000 rpmの回転速度が可能でした。その後T11は長い間モータースポーツ計測用の標準として活躍しました。このセンサは継続的に改良され、2016年にはT40シリーズに置き換えられました。

最大45,000 rpmの公称(定格)回転速度が可能になり、さらに、最新のセンサにはEtherCATおよびPROFINETインタフェースが接続できます。したがって、この計測システムは動的アプリケーションに最適なので、取得したトルクおよび回転速度の計測値を活用して、自動制御システムの高度化を大幅に促進できます。 

回転速度の増加にともない、電気駆動装置の動的な動作状態を、高速で正確に計測・分析する、高性能なエレクトロモビリティ用テストベンチが必要になります。したがって、質量慣性モーメントと重量をさらに小さくすることが、開発の重要課題となりました。また、電動パワートレインの最適化のためには、計測システムをさらに改良する必要が出てきました。90%を超えるエネルギー変換効率を考慮し、燃焼エンジンの場合とは対照的に、様々な計測項目を非常に高精度に計測するセンサシステムが必要になります。

新しい課題:高精度と自由に選択可能な計測範囲

高精度トルクセンサT12HPにより、高度な最適化を実行できます。最大22,000 rpmまでの最大許容速度でも、このシリーズは0.02の精度クラスで利用できます。このセンサの高い基本精度により、最大10 kNmの計測範囲全体にわたってFlexRange™機能を使用できます。したがって、ユーザーは定義済みの計測範囲を切り替える必要はありませんが、自由に計測範囲を変更して必要な部分を詳しく観察することができます。

世界的に環境保護への意識が高まり、持続可能性がさらに重要視される傾向にあるので、エレクトロモビリティはさらに発展していきます。ひずみゲージベースのトルクセンサは、今後も引き続き重要な役割を果たし、機械と車両のコンポーネントを最適化するプロセスには不可欠なものになっていきます。

総合的な計測コンセプトの一部として

この最適化プロセスには、機械的なトルクだけでなく、電動ドライブトレインの開発における他の多くの機械的および電気的計測値の収集と分析が非常に重要になります。これはまさに、電気インバーターと機械をテストするHBMのeDriveシステムの出番です。このシステムは、物理信号(トルクなど)、電気信号(電流と電圧)、およびデジタルバス信号(CAN)を同時に取得し、データをリアルタイムで計算および分析できます。単一の供給元から総合的なシステムとして提供されるeDriveシステムは、最高の精度でドライブトレインの挙動を分析し、その効率を最高レベルまで改良するシステムとしてご利用いただけます。