熱膨張係数の計測 熱膨張係数の計測 | HBM

熱膨張係数の計測

この記事では、アルミニウムの熱膨張係数を「異なる熱膨張係数を持つ」箔ひずみゲージを使用して決定する方法を紹介します。

温度が変化すると、それぞれの1ゲージ式ひずみゲージが「見かけひずみ」を計測します。ひずみゲージを接着した計測ポイントが、温度差Δϑにさらされた場合の見かけひずみは、以下の式で表されます:

各記号の説明:

ε                   ひずみゲージの見かけひずみ
α                   電気抵抗の温度係数
αb                    計測対象物の熱膨張係数
αm                   計測グリッド材料の熱膨張係数
k                       ひずみゲージのK係数
Δϑ                    見かけひずみを引き起こす温度差

見かけひずみは、ひずみゲージのデータテーブルに記されているチャートの温度の関数として、また多項式としても示されています。もちろん、これらのデータは、テストする材料の線熱膨張係数がテーブルのデータと一致する場合にのみ有効です。

次に、以下のことが適用されます:

線熱膨張係数αの決定

しかし、熱膨張係数αmを決定する場合、見かけひずみを使用することができます。この場合、次の式を使用できます:

展開すると、次のようになります:

 

ε                    アンプに表示されたひずみ
εm                     機械的負荷によって発生するひずみ
αDMS                ひずみゲージデータテーブルに記されている線熱膨張係数

実際のテストでは、スチール(α = 10.8 * 10-6/K)に適合した LG11-6/350タイプのHBMひずみゲージ4個が、計測対象のアルミニウム部材に取り付けられました。4線式回路を使用して、センサ配線上の影響を除去しました。部材の製造業者から提供されたデータによると、 α = 23.00 * 10-6/K ( T = 0~100℃の場合)

ϑ (°C)εa(*10-6)εs(*10-6)εa-εs(*10-6)αb(*10-6)/K
-10-396.9-38.0-358.9 
0-254.4-16.9-237.522.9
10-122.5-5.0-117.522.8
200-1.11.122.7
30118.8-3.9122.723.0
40232.4-12.2244.623.0
50344.3-24.8369.123.2
60453.3-40.3493.623.3
70562.1-57.7619.823.4
80671.6-75.6747.223.5
90781.8-92.7874.523.5
100894.1-107.91002.023.5
1101010.5-119.91130.323.6
1201132.3-127.41259.823.7

表1 : アルミに設置した、(フェライト鋼に適合の)ひずみゲージによる計測結果

指定した温度間隔でαmを計算すると、理論値 0.19*10-6/K (0.84%) からの偏差に対応する 23.19*10-6/K が得られます。
実験を実行するには、まず調査対象物にいくつかのひずみゲージを取り付ける必要があります(実験の信頼性を高めるため)。サンプルは、計測グリッドの方向が平坦である必要があります。

次のステップでは、ひずみは温度に応じて決定されます。熱平衡が確立されるように注意する必要があります。
最初のεas が計算されます。線熱膨張係数を決定するには、2つの計算値(εas)を相互に減算し、これを対応する温度間隔で除算します。ゲージデータ表に基づいた熱膨張係数αDMSを、これに加算する必要があります。

例: 20~40度の間隔では、熱膨張係数は次のように計算されます(式4に示す計算を使用):

この計測では、ひずみゲージのクリープは望ましくない影響をもたらします。したがって、最高の精度を得るために、3種類のクリープ調整を標準とするHBMのシリーズKひずみゲージを使用することをお勧めします。また、折り返し(エンドループ)が最長のひずみゲージを使用します。
また、計測温度が60℃を超える場合は、熱硬化型接着剤を使用して取り付けることをお勧めします。

 

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注意:本書の内容は、事前通告なく変更する場合があります。本仕様書の記述はすべて当社製品の一般的な説明です。品質や耐久性を保証するものではありません。