計測技術の新たな可能性 計測技術の新たな可能性 | HBM

新しい単位体系 (SI単位)

国際単位系は、「SI」(仏語:Système international d’unités)と呼ばれ、物理的な数量を定義するためのグローバルシステムです。「SI」はメートル法の後継システムで、その基本単位の1つがメートルです。2世紀以上の絶え間ない努力の結果、基本単位のアンペア、ケルビンおよびモルの再定義が行われ、2019年5月20日の世界計量学の日に施行されています。メーターとカンデラは、すでに物理定数として定義されていました。最後の要件は、さらにキログラムの人工物に基づいた質量単位の定義を物理定数に置き換えることでした。

1889年に国際度量衡総会(CGPM)で承認された国際キログラム原器(IPK)は、キログラムの世界的な基準となっています。これは、パリ近郊のセーヴルにある国際度量衡局(BIPM)の地下室に保管されている、三重のガラス製鐘の中にプラチナイリジウム円柱の形で保護されています。「キログラムは国際キログラム原器の質量と等しい」などの定義における問題点は、このキログラムの人工物の重量が長年の間に変化してしまうことです。これらの変化が非常に小さい場合でも、その原因と変化の大きさは説明できません。なぜなら、キログラム原器は、定義上、実際にどれだけ重いかに関係なく、常に正確に重量1キログラムであるからです。科学技術の継続的な発展により、このような現状を容認できなくなりました。この人工物を置き換え、代わりに物理定数からキログラムを導出する時期でした。

したがって、国際単位系(SI)の定義は、7つの定義定数の固定値のみに基づいています。この新しい「不変の基盤」は、計量の可能性を根本的に変えます。同時に、新しい基準とガイドライン(DIN EN ISO/IEC 17025、IATF 16949 など)により、産業プロセスとより密接な連携が行われます。

SIの再定義により、より正確な計測機器の制作が可能になり、それに応じて新しい用途も開発されます。同時に、産業が発展するにつれ、より高い精度が必要となってきた事も、計量の専門家が新しいSIを不可欠と考える理由となっています。このように計量学と業界の進展は、ともに新たなレベルの「品質」を達成していきます。

著者:André Schäfer 博士

この歴史的文献は以下をご参照ください:

「自然は普遍的であるため、ロンドンで発見されたものは、パリ、ワシントン、さらに月でも同様に有効です」 Terry Quinn 

「From Artefacts to Atoms(人工物から原子へ)」の著者

Terry Quinn、Bureau International des Poids et Mesures (BIPM) の元名誉理事。

1998年から2003年までBIMPの理事。計測における世界的な相互認識協定の確立において主導的な役割を果たした。各国で使用されている計測の単位基準体系を国際的に共通化して、技術革新と通商の発展に寄与しました。

この文献の発注情報

Terry J Quinn "From Artefacts to Atoms - The BIPM and the Search for Ultimate Measurement Standards", published by Oxford University Press, New York 2012, ISBN: 9780195307863