実用標準による参照計測チェーン 実用標準による参照計測チェーン | HBM

定期的校正で計測機器の高い信頼性を確保

ほとんどすべての企業が、関連する品質基準(おそらく最も有名なものは EN ISO 9001)に従って、認定を受けています。これは、生産・サービスのサプライヤとして、幅広い分野で活躍するには、この資格がある事が前提条件となるからです。また、計測機器の校正ははトレーサブルでなければならないと規定されています。

トレーサビリティとは

切れ目のない比較の連鎖によって、決められた国家基準(国際標準)に結び付けられ得る校正のことで、各段階の校正の不確かさが必ず証明され、文書化されています。

校正ラボ

実際には、各国の国家計量研究所(独国では、Physkalisch-Technische BundesanstaltまたはPTB)は、処理能力の観点から、業界で使用されるすべての計測機器を校正できません。このため、認定された校正ラボは、ドイツ連邦共和国の国内認証機関(DAkkS) を通じて、PTBにまでトレースされています。これは、DAkkS研究所とPTBの校正装置の間の高精度な比較計測によって、1ニュートンは常に1ニュートンまたは1ニュートンメートルであることを意味します

HBMの校正ラボは、1977年以来世界で最も有名な校正ラボの1つであり、DAkkSの認定を受けています。計測の不確かさを低く抑える目的で校正を行う場合は、力センサまたはトルクセンサをHBMに送付するのが一般的です。トレーサビリティは次のように実施されます:HBM校正ラボは、PTB(ここでの計測値精度と計測の不確かさは既知の値で文書化されています)にトレースされており、その既知の計測不確かさ(校正証明書に記載されています)でHBMはセンサを校正しています。

オンサイト校正用の参照用センサ

設置状況またはコストと時間の関係上、取り外しや輸送ができない機器を計測する場合、監査に必要な品質基準を満たすためには、別の方法が適用できます。高精度参照用センサ(トランスファー規格)を使用して、現場で校正を行い、センサが実際に使用されている環境の下で校正を行うことが可能です。HBMは、この校正作業を目的とした、力センサとトルクセンサを提供しています。このセンサは、計測の不確かさが非常に小さいだけでなく、堅牢性も備えており、特別に設計されたアンプモジュールと組み合わせて、コストパフォーマンスのよい参照計測チェーンを形成できます。

力トランスファー標準器

U15 は、最大2.5 mNまでの力の精度確認に使用できることが確認されています。このセンサは、引張力および圧縮力の両方に適しています。ステンレススチール製で完全に密閉されており、保護等級IP67の要件を満たしています。ISO 376の精度等級は0.5*です。U15の計測範囲は非情に大きな範囲をカバーしています:精度等級0.5は、最大計測力の10%からフルスケール値まで確保されています。

* ISO 376 に基づく精度等級0.5 は、計測誤差が計測値の0.5%であることを示すものではありません。実際、 ISO 376 では、再現性、ヒステリシス、クリープ、その他のパラメータに関して、センサの能力に関して4つの異なる品質等級が定義されています。不確かさが最も小さいトセンサはクラス00に属し、その後に 0.5、1、および 2 が続きます。

C15 は、圧縮力のみに使用できます。ISO 376の精度等級は00です。C15とU15は、両方供非常に高い出力信号を提供します。4 mV/Vを超えているので、アンプモジュールの入力レベルを十分に活用できるため、優れた分解能が得られます。

参照用トルクセンサ

トルク範囲については、TB2を基準センサとして使用することをお勧めします。最適化された設計により、密閉された中空のボディの形をした一体化された部品で構成される計測ボディは、水分などの環境要因から保護されています。この性能と保護等級IP67の構造により、産業環境での校正作業に最適です。適切な精密計測機器と組み合わせることで、最高の性能を実現できます。定格トルクの10~100%の範囲で、DIN 51309準拠の最高の精度等級0.05を達成できます。

この堅牢なセンサは、実用的な精度を提供し、校正システムのマスタセンサとしても使用できます。U15およびC15には、ダブルブリッジバージョンもあります。これにより、1つの計測ブリッジを参照基準として使用し、もう1つの出力を機械制御に使用できます

完全な計測チェーンを構成

HBMは、入力範囲、キャリア周波数、および電源電圧に関してTB2、C15、およびU15参照センサに最適なアンプモジュールを提供しています。The QuantumX MX238B および MX430Bモジュールは、計測の不確実性が低いため、TB、C15、U15に最適です。このアンプはコンパクトで軽量なため、モバイル用途に最適です。QuantumXシリーズの追加モジュールを使用すると、温度やひずみなどの物理変数をいつでも同時に収集できます。

DAkkS校正が実施されていれば、最新の工場標準により、国家標準へのトレーサビリティが保証されます。計測の不確かさを評価することで、パズルの最後のピースを配置できます。計測の不確かさの計算、参照センサ、校正とともに、現場で必要なセンサのトレーサビリティが実現されます。また、HBMは、力およびトルク計測チェーンの計測不確かさの計算方法に関するセミナを開催しています。