バイオガスプラントの効率を高める高精度計量技術

バイオガスは環境に優しいエネルギー源であり、すでにグリーンエネルギーへの移行に大きな貢献をしています。ベルリンのフンボルト大学農業・都市生態学プロジェクト研究所では、廃棄物の利用をますます増やすなど、バイオガス用植物で持続可能性に貢献する研究が進んでいます。この研究は複雑な長期テストが必要になるので、正確な計測技術が必要です。実験炉でレベル計測を行うために、科学者はシングルポイントロードセルPW12CからPADデジタルトランスデューサ電子機器、PanelX ソフトウェアまでを含む、HBMの統合計量技術計測チェーンを利用しています。

バイオガスはグリーンエネルギー移行の重要な柱です。太陽や風力タービンとは異なり、この技術は天候や時間帯に依存しないため、風力や太陽から十分なエネルギーが得られない場合など、グリッドの負荷変動を補完できます。2018年までに、ドイツのバイオガス発電所による電力は、再生可能なエネルギー源からの電力の約13%をすでに占めています。しかし、特にエネルギー用トウモロコシは、これまでのところバイオガス生産に主に使用されていますが、高価で非効率的であるという批判もありました。

課題

BioKatプロジェクトでは、ベルリン・フンボルト大学の農業・都市生態学プロジェクト研究所の科学者たちが、バイオガスの生産に廃棄物の使用を増大させるなど、バイオガス用植物の有効利用を研究しています。25リットルの実験炉を4台使用した実験では、反応炉の充填レベルが非常に重要な役割を果たしています。新しい実験では、科学者たちは、次のことを可能にする重量計測技術を求めています:

  • テスト期間全体にわたり、重量を正確に計測
  • プロセスシミュレーションの劣悪な環境で信頼性の高いデータを提供
  • 迅速かつ安全に、使いやすい方法で操作できること

「残留物や廃棄物を有効利用」

「当研究所のBioKat研究プロジェクトでは、バイオガス工場の真菌酵素成分が分解が困難な物質を、迅速かつ容易に分解する方式を開発しています」と、IASP(Institut für Agrar-und Stadt ö kologische Projekte)の研究プロジェクト担当、Marius Conrady氏は述べています。プロジェクトマネジャーの Patrice Ramm博士は次のように付け加えています。「残留物や廃棄物は、今後バイオガスの生産においてより有効に利用できるようになります。数ヶ月にわたる一連のテストには、テスト期間全体にわたって正確なデータを提供する、信頼性の高い計測技術が必要です。HBMは高品質な計量技術の総合パッケージにより研究チームをサポートし、その中心に高精度シングルポイントロードセルPW12Cを使用しています。」

バイオガス反応炉の精密レベル計測

BioKatの研究プロジェクトの中核となるのは、4台の黒い円筒形の反応炉です。Marius Conrady氏によると、「4台の実験用反応炉を使用して、発酵穀物を原料とする実験サンプルに様々な酵素の配合を行い、それぞれの発酵がどのように促進されるかを調査しています。「この目的のために、スタートアップ段階から毎日、発酵穀物と水を176グラムずつ実験用反応炉に供給します。」撹拌子により実験サンプルは連続的に撹拌され、温度制御されたバスにより、反応炉内の温度は38℃に保たれるため、プロジェクト期間全体で同一条件が確保されます。

各反応炉の充填レベルは、合計容量25リットルで、試験には特別な役割を果たします。これは、ガスの生成や、反応炉内のサンプルを攪拌する撹拌子のトルクや体積負荷などの重要な要因に大きな影響を与えます。「以前のテストでは、反応炉の検査用窓からサンプルの状態を目視で評価することしかできませんでした」とConrady氏は語っています。「これは、サンプルが発酵穀物と水で構成され非常に不均一で、乾燥した物質の含有量が高いために問題でした。さらに反応炉内では泡が多く発生します」と問題点を指摘しています。このため、新しい試験では、重量計測技術を使用してサンプルの状態を精密に決定できるソリューションが必要であると判断されました。HBMの専門家の助言を受け、IASPは科学者とともにセンサ技術からソフトウェアベースの電子評価に至るまで、総合的な重量計測方式を開発することになりました。

ソリューション

HBMの計測技術の専門家が、IASPの科学者とともに、最適なテスト装置を設計するために包括的な計測コンセプトを開発しています。次の機能が組み込まれます:

  • PW12Cロードセルはマルチレンジ精度等級C3で、このロードセルの特長である高精度計測が可能。偏心荷重補償機能付きなので、最大800x800mmの大型計量プラットフォームを使用するシングルポイント・アプリケーションに最適。
  • PADセンサ用電子機器がHBMひずみゲージベースのロードセルからの信号を高分解能デジタル計測データに変換。さまざまなフィルタを装備しているため、過酷な計測環境でも正確なデータを得ることが可能。
  • 使いやすいPanelXソフトウェアにより、計量電子機器はさまざまな計測作業に最適な設定が可能で、計測データの記録、評価、適合、視覚化を実施。

反応炉のレベル計測用シングルポイントロードセル

「容量50KgのHBMシングルポイントロードセルPW12Cは、IASPの計量コンセプトの中心となっています」とHBMの製品管理計量技術・OEMセンサ責任者、Marcel Richterは述べています。「ロードセルは、統合された偏心負荷補正機能を備えており、最大800mmx800mmのプラットフォームのシングルポイントアプリケーションに最適です。IASPのテスト構成では、1台のシングルポイントロードセルで実験用反応炉の全重量を計測しており、この独特な構成における総合性能を確保しています。」シングルポイントロードセルPW12Cはマルチレンジ精度等級C3の性能を持っており、50~750 kgの負荷を重量として正確に計測します。また、計測本体に接続されたシールドケーブルは、電磁的影響を防止しており、ラボ環境での使用に最適です。Richterは次のように述べています、「実績のあるHBMひずみゲージ技術により設計されたPW12Cは高い剛性を持つロードセル本体を使用しており、重量検査装置などの静的および動的アプリケーションに最適です。」「同時に、ロードセルは非常に堅牢につくられています。」PW12Cは、保護等級IP67と個別に調整可能な過負荷保護により、過酷な産業環境での使用にも適しています。

高解像度で計測データをデジタル化

「当研究所のBioKat研究プロジェクトでは、PAD搭載の変換器機能により、ロードセルのアナログ信号を高分解能でデジタルデータに変換します」と Marius Conrady氏は述べています。「このように、各テストの計測結果をPCに記録・評価して、簡単に概要を得ることができます。」HBMは、ロードセル、電子機器、各種アクセサリを提供しており、一か所の供給元から必要なものすべてをIASPの科学者に提供します。「当社は、お客様に理想的な計測チェーンを構築するために、幅広いアクセサリを提供しています」とHBMのMarcel Richterは述べています。「当社のPAD搭載の変換器機能は、アナログ、ひずみゲージベースのロードセルまたはセンサの計測値を、簡単で使い易い方法により、超高解像度でデジタル化できます。」

PADにはプラグ&プレイでロードセルを簡単に接続でき、数分で使用開始できます。選択式または自動フィルタを備えた計測信号処理が統合されているため、IASPの試験設定で実験用反応炉の撹拌子に連続振動があっても、センサ電子機器は最高の精度を保証します。コンパクトなステンレス製ハウジングと保護等級IP68/IP69Kの性能により、センサの電子機器は最も過酷な環境条件にも適応できます。

まとめ

ロードセルPW12Cは重量の計測精度が非常に高いので、試験期間中の反応炉の充填レベルの状態を高い精度で計測できます。シングルポイント構成では、各反応炉に1つのロードセルで十分です。PADに搭載された変換器機能と関連アクセサリにより、IASPの研究チームはロードセルを直接PCに接続し、計量技術のテスト用計測チェーンを簡単に設定できます。PanelXソフトウェアの広範な機能を使用すると、実験用反応炉の各充填レベルにおける計測データを迅速に、評価、分析、可視化できます。

スタートアップと可視化

また、IASPの科学者たちは、ソフトウェアに関してもHBMを利用しています。Marius Conrady氏は次のように強調しています。「ロードセルの校正、計測データの記録、出力、可視化には、HBMのPanelXソフトウェアを使用しています。PanelXの直感的な操作により、テストの設定要件に対して計測技術を迅速に対応・調整し運用することができました。さらに、計測結果を迅速に且つ簡単に可視化して評価できました。」

PanelXソフトウェアには、さまざまな機能が搭載されているため、HBMの計測技術は、さまざまな静的および動的計量アプリケーションに最適です。例えば、計量技術機器の起動時および校正時に、広範なソフトウェアサポートを使用すると、計測データを迅速に評価・可視化できます。その中でも、統合周波数解析は、動的アプリケーション全体を評価および最適化できる、重要な機能です。

バイオガス研究用の精密計測データ

Marius Conrady氏の説明によると、「HBMの高精度計測技術により、この実験で、毎日追加される発酵穀物と水の重量を正確に監視し、目標値と比較することができます」「これにより、プロセスを最適化し、たとえば、毎日追加投入するバイオマス量の最適化を行えます。」さらに、分解プロセスによる反応炉の重量減少をより正確に特定し、ガスの生成と相関させることができます。我々の実験では、体積流量計を用いてガス形成量を計測しており、重量減少のカーブとガス生成量は明確に相関しています」

「両方の計測結果を比較することで、計測誤差を迅速に特定し、検査結果を適切に調整することができます。HBMの正確な計測チェーンのおかげで、バイオガス技術を将来、向上させることができる信頼性の高いデータベースを構築しています」

農業・都市環境研究所(IASP)、フンボルト大学、ベルリン:

食品技術、生体原料、畜産、植物システムの分野における革新的技術の研究開発に関連して、中小企業を支援しています。科学的パートナーとして、35人の科学技術スタッフの学際的なチームが、現場で発生する問題に対するアプリケーション指向のソリューションを開発しています。バイオガス研究は、IASPが特に力を入れている研究です。IASPは、BioKatなどの研究プロジェクトを通じて、より持続可能で効率的なバイオガス技術の導入に重要な貢献をしています。