この研究の一環としてNISTでは、精密工学を駆使し、急速加熱機能を備えたスプリットホプキンソン棒(具体的にはスプリットホプキンソン圧力棒)を開発しました。この装置の開発目的は、高速機械加工プロセスの有限要素モデリングを改善するために、材料特性情報を提供することです。
NISTのスプリットホプキンソン棒は、ベアリング上に取り付けた長さ1.5 m、直径15 mmの2本の高強度ステンレス棒から構成されており、軸方向のスライドを容易にしながら、他の方向では曲げに対する抵抗性を高めています。これら2本の棒はそれぞれ、入射棒および透過棒(Transmission Bar)と呼ばれています。さらにストライカー(打撃棒)と呼ばれる3番目の棒があり、これも2本の棒と同様に高強度ステンレス鋼でできています。ストライカーは、直径は2本のメインの棒と同じですが、ずっと短く簡単に動かせるようになっています。
実験を実行する時は、対象となる材料の円筒形のサンプルを2本の棒の間に固定し、軸方向の対称性を慎重に調整します。これにより、半径方向の影響を無視しながら、収集されたすべてのデータを、一次元波理論を使用して分析することが可能になります。ここでエアガンの速度を様々変えて高速に発射し、入射棒に向けてストライカーを打ち込みます。
ストライカーの衝撃によって送り出された圧縮応力波が、入射棒とサンプルを通過します。このアプローチを使用することにより、サンプルに対する圧縮応力波の衝撃が急激に与えられます。圧縮応力波がサンプルに到達する時、棒とサンプルの間にある電気抵抗の差によって、入力波が2つの部分にスプリット(分割)されます。
第1の部分は、入射棒に沿って反射して戻ってくる伸張波です。第2の部分は圧縮応力波のまま直進し、急激かつ恒久的にサンプルを塑性変形させます。その後、圧縮応力波は透過棒に伝播します。NISTのスプリットホプキンソン棒は、サンプルだけが塑性変形による影響を受けるように設計されています。