高効率電動モータの開発に必要なのは正しいテスト機器の選択 高効率電動モータの開発に必要なのは正しいテスト機器の選択 | HBM

高効率電動モータの開発に必要なのは正しいテスト機器の選択

中国でのモータ効率改善

高いエネルギー効率をもつ製品開発への要求が強まるにつれて、電動モータのメーカーは、最新の設計の効果的なテスト手法が求められています。電動モータは、世界の総消費電力の40%以上を消費しているため、省エネと排出削減が各国政府や産業界にとって重点項目になっています。また工業用の電力消費量の60%以上をモータが占めていることからも、その効率改善により省エネルギーを行うことが当然の選択となっています。

高効率電動モータは必須

この省エネ促進の一環として、多くの国々が、最小エネルギー消費基準(MEPS)を設定しており、高効率モータ採用の義務化を進めています。関連の数値を見ると、この変化が必要であることをはっきりと示しています。高効率モータは標準のモータより2%~8%効率が良くなっています。 これはすべての電気モータの効率が5%増加した場合、中国の電気エネルギーの節約が年間765億kWhになることを意味します。これは、2008年に世界最大の水力発電所の三峡水力発電所で生成されたエネルギー出力に匹敵します。

展開される国に応じて、電動モータが準拠すべき国際基準がいくつかあります。中国で適応する標準GB18613は、頻繁に更新されています。GB18613-2006は2011年7月に有効になり、より最近の標準GB18613-2012は、2012年9月から発効しています。さらに最新規格GB2は、3年後に実施される予定です。

800億キロワット時の省エネ効果

中国では最近、高効率モータの重要性をさらに示すものとして、「モータ効率を改善するための計画(2013年~1015年)」を作成しました。この国家的計画は2015年までに、低電圧三相ケージ非同期モータの50%、および高電圧モータの40%が、エネルギー効率の良いモータの基準を満たすことを要求しています。計画では、現在使用されている非効率なモータ160万kWを排除し、高効率モータ170万kWの増加拡大を推進しています。また計画では、技術的再構築により1億kWhの省エネルギーをめざしており、排除した旧式モータを高効率基準に改造することにより20万kWを節約する予定です。 中国は2015年までに800億kWhの省エネルギーを達成すると期待されています。これは、標準的な石炭の26百万トンと二酸化炭素の排出量68百万トンの節約に相当します。

テストにおける最重要分野:トルク計測

多くの企業は、新しい必須基準や期待に適合できるように、高効率モータの研究、開発、製造への努力を重ねています。これらの新デザインの開発においては、関連規格の要求事項に適合(もしくは越える)ために、複数のパラメータを厳格にテストする必要があります。

テストの重要分野の一つは、トルク計測であり、多くの場、いくつかの方式が採用されます。HBMは、お客様の個別のニーズに合わせてさまざまなソリューションを用意しています。

T20WN トルクセンサ

例えば、HBMのトルクセンサT20WNは、静的・動的トルクの計測と回転速度や回転角度を計測できます。これは、家庭用や事務所用の機器の性能や機能をテストベンチ上で行うのに必要な、小から中ぐらいまでの程度のトルクを計測する設計になっています。T20WNはベアリングを組み込んだ支持軸受としても使用できるので、取り扱いが簡素にできるだけでなく、±10Vのセンサ出力信号をだす電子部品を内蔵しています。

 

T40Bデジタルトルクセンサ

これとは対照的に、T40Bデジタルトルクセンサは、回転軸シャフトの静的および動的なトルクを計測することができます。また、トルクセンサは、磁気速度計測システムを備えています。計測部分は軸方向に短い構造となっているので、非常にコンパクトに設置することができるため、非常に広い範囲のアプリケーションに適しています。

中国の規制では、トルクを計測するために使用される計測機器はフルスケールの±0.2%の精度が必要です。 周波数を計測するための機器は、フルスケールの±0.1%精度が必要です。速度計測では、0.1%か毎分1回転以内(どちらか誤差が小さい方)の精度が必要です。

HBMのT40Bシリーズの温度による影響は、TC0とTCスパンで0.05%/10K(50Nm = 0.1%/10K)ですが、ほとんどのアプリケーションでは温度変化がわずかなので、直線性と再現性が精度の重要項目になります。これは、HBMのT40Bトルクセンサが重要なパラメータの影響を考慮してもフルスケールの0.2%の精度を確保できることを意味します。

 

またT40Bトルクセンサは、5kNm、1kNm、200Nm、50Nmの異なる計測範囲のモデルがあり、各計測範囲でフルスケールの0.2%の精度が使用できます。 これによりトルクセンサの要件を簡単に満たすことができます。簡略化された設置方式により保守が簡単になっているだけでなく、コストの節約にもなっています。

 

 

T40Bは、50Nmから10kNmまでの全計測範囲で、1024パルス/回転の出力パルス数を使用しています。磁気回転速度計測システムは、高パルスカウント出力を使用して、回転速度を正確に計測することができ、特に低速回転領域で信頼性の高い計測値が得られます。

電動モータスタンドの構造

テストベンチ上の試験サンプル(電気モータ)は、頻繁に設置と分解を行います。場合によっては、オペレータが、トルクセンサとダイナモメータを交換する必要があります。このため、テストベンチの設計は、簡単に着脱と位置合わせができるようになっている事が不可欠です。

電動モータのテストベンチの例:

信号処理ソリューション

あらゆる試験から最も正確な情報を得るためには、トルクを計測することに加えて、収集データの信号処理を正しく行わなければなりません。HBMは、PME関連の製品を始め、様々なタイプの信号処理をするソリューションをいくつも提供しています。これらは、力、変位、圧力、温度、速度、周波数、トルクなどの計測データを記録するために使用します。 PME シリーズは、モジュール設計になっており、異なるセンサからの計測信号を均一に処理します。すべてのモジュールには、LCDディスプレイ、キーパッド、CANインタフェースなど、信号を最適化するための様々な追加デバイスが付属しています。

別の方法にはPMXシリーズの利用があります。これは、HBMの最新データ取得および信号処理システムで、生産管理や産業用テストベンチで使用します。PMXは力、トルク、振動、圧力、歪み、温度、電圧、電流、および他の多くの計測量に対して専門的な処理できるため、正確で信頼性の高い結果が得られます。 PMXは16個の計測チャンネルと32個の計算チャンネルを持ち、毎秒19,200個の計測値を処理できます。 つまりPMXは毎秒40万個のデータを処理し管理できることを意味します。 PMXはまた、産業用イーサネットを経由でリアルタイム通信をサポートし、最新のブラウザベースのユーザーソフトウェアと柔軟なプラグイン·カードを搭載しています。

全計測チェーンをカバーするトータルサービス

HBMは、センサ(変換器)計測用電子機器ソフトウェアおよびサービスを含む全計測チェーンを提供することで、お客様を総合的に支援することができます。トルク、速度、相電圧、線間電圧、電力、力率、周波数の回転などの、計測値を収集・可視化・分析できる高度に専門的で、かつ強力なデータ収集ソフトウェアを開発しました。

HBMは、アプリケーションのコンサルティング、技術サポート、トレーニング、セミナー、修理、校正、スペアパーツ提供など、すべての計測業務を総合的にサポートしています。広く自動車業界全体でも使用されているソリューションを使用し、お客様から高い信頼を得ています。