例えば橋梁や航空機の翼などに配置された計測ポイントは、計測機器からかなり遠距離にあることがほとんどです。直接接続できない計測ポイントの場合、長いケーブルを使用して接続する必要があります。その場合のデメリットは、ケーブル内のリード線の抵抗が全体で数オームに達するため、計測にマイナスの影響を及ぼすことです。特に、(例えば温度の変動などによって)計測中にケーブル内の電気抵抗が変化すると、計測に悪影響が出ます。

同じブリッジアーム内でストレインゲージ(SG)と直列になっているリード線の場合、ケーブルの加熱による温度応答は、以下のように計算することができます。

 

 Q = 導線材料の伝導率      

例:

長さが1 m(入力線と戻り線がそれぞれ0.5 m)で断面積が0.15 mm2の銅線が、120オームのストレインゲージと直列になっている場合、10 Kの温度変化で20 μm/mの温度応答が発生します。その他の条件がすべて等しいと仮定すると、350オームのストレインゲージにおける温度応答はわずか7 μm/mです。

様々なタイプのストレインゲージ回路を使用することで、リード線の抵抗を補正することが可能になります。この記事では、ホイートストンブリッジ回路を使用した3種類の回路のメリットとデメリットについて説明します。

2線式回路

2線式回路の場合、ストレインゲージとアンプは2本のワイヤで接続されています(図1)。回路図から、ケーブルの抵抗が2回(入力と戻り)にわたってストレインゲージの抵抗に付加されていることが分かります。

このことは、ブリッジのゼロポイントとその感度の両方に影響を及ぼします。長さが数センチのケーブルでも、その抵抗を考慮に入れることが非常に重要です。抵抗の変化は直ちに計測値に影響を与えるため、2線式回路は計測中の温度変動に対して特に敏感です。

2線式回路の温度安定性は、これまで、取り付けたストレインゲージおよび QuantumX MX1615 ストレインゲージのブリッジアンプを使用して試験が行われてきました。

試験結果:2線式回路を使用して取得した計測結果には、有意性は認められませんでした。温度の変動などに起因するケーブル内の抵抗の変化は、計測結果に完全に反映されます。
 

ストレインゲージ回路に対する非対称の抵抗の変化も、計測誤差の原因となります。抵抗の変化は修正されません。

 

図1: 2線式構造におけるストレインゲージの接続

3線式定電圧回路

3線式回路では、計測抵抗の接続ポイントの一つに追加のリード線が接続されます。その結果として第2の計測回路ができるので、これを基準として使用します。3線式定電圧回路は、ケーブル抵抗の上限電圧を測定し、測定値の2倍単位で励起電圧が増大します。その結果、ストレインゲージ全体の電圧は、ケーブルの有無にかかわらず同一となり、ケーブルが感度に影響を及ぼすことはありません

3線式定電圧回路では、電圧は1本のリード線上でのみ計測されるため、通電している2本のリード線の抵抗が等しくなければなりません。ただし、修正の目的で2倍の値が適用されます。したがって、4本のリード線を含むケーブルの場合、ケーブルの抵抗を低減するために2本のリード線を並列に接続するのは間違いです。こうした操作は、深刻なゼロポイント誤差をもたらす可能性があります。その一方で、ストレインゲージロゼットやストレインゲージチェーンの場合は、抵抗器RKab1が、並列に接続された抵抗器RKab2すべてに対応していることを確認することが非常に重要です。

 

今回の試験でも以下の結果が認められます。抵抗値の変化が修正されるのは、1本のリード線のみです。抵抗における非対称の変化(接点における干渉など)は、計測結果に直接的な影響を及ぼします。また、抵抗における対照的な変化(計測中の温度変動など)は、感知用リード線によって補正されます。

図2: 3線式構造でのストレンゲージ接続

4線式定電圧回路

異なるケーブル抵抗の補正が可能となるのは、4線式回路またはHBMが特許を持つクロイツァー(Kreuzer)回路を使用する場合に限られます。既知の電流がリード線のうち2本を経由し、抵抗器を通過して流れます。抵抗器RKab1における電圧降下は、2本の追加リード線によって(高インピーダンスで)補正されます。

クロイツァー回路は、抵抗器RKab2の全体にわたって電圧を計測し、その値を励起電圧に追加します。電圧および完成抵抗器Rergを通過する電流は、ケーブルの抵抗とは無関係です。ゼロポイントおよびケーブルの影響による感度誤差は、電気的な補正の対象となります。

 

注意:3つのグラフに、それぞれ2線式3線式、および4線式の回路を使用したストレインゲージの計測値を示します。ここでは、3つの方式がすべて同一の安定性を示しているように見えます。2線式と3線式のグラフにはステップが見られ、4線式ではグラフが安定状態を維持するのが理想です。

今回の試験で証明されたのは、特許を取得しているクロイツァー回路では、以下に示す特長により正確な計測結果が得られるということです。

  • 高い温度安定性
  • 両方のケーブルリード線における抵抗値の変化の修正

例えばコネクタにおける抵抗値の非対称的な変化や、温度変動などによる抵抗値の対照的な変化は、修正の対象となるため計測結果に影響を及ぼすことはありません。

図 3: 特許を持つクロイツァー(Kreuzer)回路によるストレインゲージ接続

リード線抵抗の補正 - QuantumX MX1615を使って

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