動的な材料特性

スプリットホプキンソン棒法によるひずみ計測

ヤング率やポアソン比のような材料定数は、コンポーネントや設計、構造体で使用されている材料の重要な特性量です。設計によっては、使用している材料で有効となっている各パラメータを正確に知ることが絶対に必要不可欠です。こうしたパラメータは、例えば、力をかけた時にそのコンポーネントがどの程度変形するのかといった情報を提供してくれるからです。

これまで標準的な作業や表に指定されている数値は、材料試験機の中で、準静的な条件下で計測されるのが一般的でした。しかし、動的な条件下における材料の特性を判定するには、これ以外の方法が必要となります。

 

ヤング率は、力をかけた時にそのコンポーネントが変形する程度を示す材料定数です。言い換えると、材料が硬いほどその弾性率は高くなります。一般的に使用される材料については、「Dubbelの機械工学ハンドブック」(Dubbel's Handbook of Mechanical Engineering)に数値が明記されています。

ヤング率は、材料試験機内の準静的な条件下で作成された応力ひずみ曲線から、つまり非常に小さなひずみ率で決定されるのが一般的です。しかしながら、動的な負荷を受けるような材料は、より高い硬度を示すなど、時として材料試験機内とは著しく異なる挙動を見せる場合があります。構造体内で動的な負荷も発生しているのかどうかにもよりますが、設計技術者は、その材料の動的な特性も知っておく必要があります。

スプリットホプキンソン棒法の概念図:いわゆる打撃棒(ストライカー)を使用して、圧力波を入力棒に衝突させます。衝突した圧力波の一部は反射し、残りは伝播します

ひずみゲージで圧力波を計測

通常、単純な材料試験機では、ここで必要となるような高いひずみ率を適用することは不可能です。そこで、そうした動的な特性を計測するために、いわゆる「スプリットホプキンソン棒法」を使用します。英国の電気技師、バートラム・ホプキンソンが、1914年に初めてそうした計測方法を提案しました。

現在使用されている計測装置は、1949年にロンドンでHerbert Kolsky(ハーバート・コルスキー)が開発した改良型が基準になっています。そのためこの計測方式は、スプリットホプキンソン・コルスキー棒法(split Hopkinson Kolsky bar)と呼ばれることもあります。

 

材料サンプルは、スプリットホプキンソン棒法の試験装置内にある2本の棒、入力棒と出力棒の間に配置されます。いわゆる打撃棒(例えば圧縮空気によって加速された発射体など)を入力棒に衝突させることにより、圧力波が発生します。この圧力波が最初の棒を通過します。

圧力波の一部は棒の終端で反射され、他の部分は材料サンプルを通過して出力棒に到達します。入力棒と出力棒の表面にはひずみゲージ(SG)が取り付けてあり、圧力波によって発生したひずみを計測します。

この方法により、入力棒に最初に加えられた圧力波の大きさや、反射した圧力波および伝播した圧力波の大きさを決定することができます。

各ひずみゲージは、ホイートストンブリッジ回路で相互接続されています。圧力波は棒の中を音速で通過するので、これに対応して100 kHz程度の高いバンド幅を提供できる非常に動的な計測システムが必要となります。

高速計測データ取得 ...

... そして材料特性の高速計算

試験と計測のエキスパートHBMは、ダイナミックスとバンド幅に対する高い要求を満たした Genesis HighSpeed 計測システムを提供しています。このモジュラータイプの計測システムは、高いチャンネルカウント数を持つシステムでも、非常に高いサンプルレートを実現しています。

このシステムのモジュール方式では、各ユーザーの計測タスクに対して計測システムを最適に適応させることができます。例えば、対応したデータ取得カードが利用できるので、クォーターブリッジ回路で必要となるひずみゲージの直接接続が可能です。ひずみゲージの接続は非常に簡単です。補正回路やプリアンプを追加する必要はありません。取得された信号の解析用として、認識ソフトウェアもご用意しています。

得られた信号から必要な材料特性を推測するには、いくつかの前提条件が満たされていなければなりません。入力棒と出力棒は、両方とも同じ材料で作られている必要があり、また直径に比較して長さがはるかに大きいものでなければなりません。

これに加えて、圧力波が棒を通過する際の音速C0を知ることが必要不可欠です。棒の直径が上述のように小さいと仮定すると、ヤング率Eおよび密度ρから、以下のように簡単に音速を計算することができます。:

入力棒εIに加えられた圧力波(つまり反射した圧力波εRおよび伝播した圧力波εT)のひずみ信号を、前述のように計測します。その結果、材料の応力は以下の値となります。:

ここで、Eは出力棒のヤング率、A0は出力棒の断面積、Aは材料サンプルの断面積です。試験対象となっている材料サンプルのひずみ率は、材料サンプルの元の長さLを使用して、以下のように求められます。:

これを以下のように積分すると、ひずみが得られます。:

結 論

スプリットホプキンソン棒法は、すでに50年以上にわたって使用されてきた方法です。ところが過去数年間で、この計測方法が使用される機会が大幅に増えています。これは、近年になって、必要な計測を以前よりずっと容易に行える高速試験や計測機器が利用出来るようになってきたためです。また、これに適合するソフトウェアと強力な新型コンピュータの導入により、求める材料特性の計算を大きな問題なく実行することができます。

HBMは、この用途のために、ひずみゲージとそれに適合する計測アンプや計測システムから解析ソフトウェアに至るまで、多種多様な製品を完全な品揃えを提供しています。その成果は、多くの異なる産業分野において、設計エンジニアが使用する材料での信頼性の高い計測結果となって現れています。

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