荷重フットはHLCシリーズのロードセル用として、プラットフォーム重量計と共に使用する時に、特に高い有用性を発揮します。荷重をかけるのはロッカーピンにより行います。このロッカーピンは可動式で、様々な荷重状況やスケールの温度の変化を補正するために移動することができます。荷重をかける高さは調整が可能なため、プラットフォームの取り付け作業中でも、その高さ調節を簡単かつ効果的に行うことができます。他の固定装置や取り付け部材は必要ありません。複数の荷重フットを採用しているため、このタイプのプラットフォーム重量計では非常に平坦でシンプルな設計となっています。こうした特長から、このタイプのシステムは重量計の設置場所がよく変更される場合によく利用されています。
荷重フット(ロードフット)
ロードセルにおける荷重の適用 ― ユーザーの方へのヒント
ロードセルに対して荷重を適切に適用することは、正確な計量結果を得るための必須条件です。荷重の方向や、支持構造、あるいは取り付け補助具など、多くの要素が荷重の適用に影響を及ぼします。
ロードセルに対して荷重を加える位置(ポイント)の他にも、計量する荷重とロードセルの接点や、ロードセルとその接触面の接点については特に注意を払う必要があります。
そのロードセルで指定されている計測方向以外に作用する荷重成分があると、計測結果に誤差が生じ、結果的にロードセルの作動寿命が短くなる可能性があります。
ロードセルは、指定された荷重方向にのみ使用しなければなりません。HBM製のほとんどのロードセルでは、荷重方向を矢印マークで示しています。一部のロードセル(Z6、Z7、HLCなど)では、その荷重軸が監視されている場合に限って、商取引用ではないスケール配置での +/- 荷重も可能です。
横力、ねじれモーメント、曲げモーメントは、できるだけ避けなければなりません。下の図では、ロードセルの正しい荷重方法の他、不適切な荷重の例もいくつか示しています。
ロードセル配置の支持構造
圧縮荷重用のロードセルは、そのベース部分が水平な耐荷重支持構造に載った状態になっていなければなりません。また、表面が荷重で変形しないようにする必要があります。ロードセルのベース部分から支持構造に対して荷重が均等に伝達されるためには、ロードセルは硬質のベースプレート上に固定されていなければなりません。例えばロードセルが主にベルトで支持されている組み立て式のビーム上に設置してある場合などには、こうした固定作業を早急に実施する必要があります。ロードセルの支持構造は、その荷重に応じた支持力があるものとしてください。
状況によっては支持構造が荷重の影響によって著しく変形する可能性もありますが、据付の安全性は完全に確保されています。
こうした変形が原因で、支持構造が低くなってしまう場合があります。実際に支持構造が下がってしまった場合には、すべての支持具を同じ様に下げてください。こうすることで構造の傾きが防げます(構造の傾きがあると荷重がかかる割合や横力に変化が生じてしまいます)。
通常は、支持構造については、変形しやすい構造よりしっかり固定された設計の方が適しています。曲がりやすい設計になっていると、すべての支持構造を均等に下げることが難しくなります。構造体の全体にわたって張力が存在する可能性もあります。
ロードセル用の取り付け補助具
タンクの計量や充填レベルのモニタリングを行う時は、タンクと支持構造の両方について、熱膨張や、熱膨張に付随して生じる水平方向の動きを考慮する必要が あります。しっかり固定された設備ではこうした動きが妨げられますが、最終的には、計測結果に頻繁に歪みを生じさせるほど強い水平方向の力を誘発します。 ロードセルは、時としてこうした影響によって損傷を受け、破壊されてしまう場合さえあります。同様の結果は、ねじれモーメントや横力成分により負荷が重複 してかかることによっても発生する可能性があります。こうした現象の例としては、一定の角度でかけられた偏心荷重や力があります。したがって、熱膨張など から発生する水平方向の力を考慮しながら設置の形状を選択する必要がありますが、さらに良いのはこうした力を除外することなのです。
こう した目的に使用されるエレメントについては、本文書で説明していきますが、これらはタンクの形状に応じて発生する問題に対して具体的なソリューションを提 供します。取り付け補助具は、ロードセルの設置ガイドラインの順守に役立ちます。障害となる要素を解消するために強調しておきたいポイントについても、ア プリケーションごとに特定のアプローチが必要なので、本当に幅が広いのです。最終的には、その製品について詳しい知識を持った設計エンジニアが、その計量 に関して障害となる要素の個々のケースを判定します。ロードセルの色々なモデルを使用して荷重をかける際には幅広いオプションが用意されていますが、それ ばかりではなく、取り付け補助具にも様々なタイプが揃っています。
エラストマーベアリング
エラストマーベアリングは、一般的にいくつかの鋼鉄製プレートと、上下に重ねて加硫によって相互につなぎ合わせたゴムの層から構成されています。小さな力をかけただけで、上と下の両方の荷重適用面が、平行な状態を維持したまま互いの方向に移動します。その結果、横力がかかった時に、余分な加重効果を伝達することなく、一番上のベアリングプレートからロードセルの下部プレートへの受け渡しが可能になります。こうした方法により、タンクとロードセルの間で最大15 mmの水平方向の偏差を実現することができます。この偏差はエラストマーベアリングによって可能となりますが、偏差を最大にすることで計量精度の大幅な減少につながります。
偏差が発生すると、それを回復しようとする力が同時に発生し、タンクを元の位置に戻します。この力は、荷重とは無関係に偏差に比例して作用します。エラストマーベアリングのタイプにより、最大で800 Nまでの力がかけられます。ベアリングにより、最大1.7°までの傾きで配置されているタンクに対する補正が可能です。
特に衝撃荷重や振動など、外的に誘発された揺れの場合、エラストマーベアリングの減衰効果が有利に働くことが証明されています。エラストマーベアリングも、その設計から結果的に熱を絶縁するため、レイヤーの構造が、タンクとロードセルの間における上方向への熱の伝達を最小限に抑えます。
横方向の偏差は、エンドストップを装備することで簡単に制限することができます。連結部材を使用する必要はありません。
注意
計量対象のタンクが接続されている場合、最大重量がかけられると、エラストマーベアリングは約1 mmほど短くなります。この値は、ロードセル自体に実際に見られる変位よりもかなり大きくなっており、重大な計測誤差につながる可能性があります。
従来型のステイロッドによる固定具を使わないとしたら、特に望ましくない位置に重心がある場合には、タンクを所定の位置に固定するための措置を講じる必要があります。エラストマーベアリングは、計量タンクに使用する部品としては比較的安価で、設計の面からも使用が容易であり、中程度までの精度が要求される用途に適しています。
振り子ロードセル
自己佇立式・振り子型ロードセル
このタイプのロードセルは、側方変位(傾斜)を伴う荷重がかかると、自動的に上部構造を元の位置に戻るように誘導します。この復元プロセスは、良く知られている物理原則である「安定均衡」を利用しています。ロードセルは、振り子の本体として作用しており、曲げ半径の合計を含む荷重適用面がロードセルの高さより大きくなっています。したがって偏差が発生すると荷重が上昇し、結果的に荷重が元の位置に戻ります。
データで指定されている許容最大偏差(例えばC16/40 tの場合、最大13 mm/5°)は、絶対に超過させないでください。この許容値を超えると、ロードセルと荷重適用ポイントが損傷する可能性があります。適切な調節式のストップを上部構造に装備することで、こうした問題は簡単に解消することができます。ただし多くの場合、こうした設置状況の下ではステイロッドも使用する必要があります。
HBM製のスラストピースを上下に1個ずつ設置する方法は、コストがかからず実施も簡単なので、この目的に適していると言えます。回転ストップは、対象物自体の軸の周囲での、許容量を超えた回転運動を防止します。
HBMの自動調芯式C16ロードセルは、20トンから200トンの最大容量を持つ振り子型ロードセルとしてご利用いただけます。このタイプのロードセルは、中程度の精度から高い精度が要求される用途に適しています。
振り子ベアリングと振り子支持具
振り子ベアリングと振り子支持具を使用すると、ビーム形状やCタイプ形状の標準的なロードセルでも、自動調芯型ロードセルとほぼ同様の特性を実現することができます。この方法により、タンク計量装置に要求される高い精度条件を満たすことができます。振り子ベアリングの取り付け部分は、大きな計測誤差を生じることなく、約3°の偏差が許容できる設計になっています。したがって、支持ポイントにおける水平方向の変位を許容範囲内に収めることが可能です。ZPL振り子ベアリングは、2個のスラストピースと1個のシリンダから構成されているのが一般的ですが、ZPS振り子支持具では、1個のシリンダと1個のEPO3スラストピースでほぼ同等の機能を果たせます。
振り子ベアリングに偏差が生じると、荷重はその本来の位置からわずかに上昇します。この上昇によって復元力が発生し、システムが元の位置に戻ります。こうした機能から、振り子ベアリングと振り子支持具は自動調芯装置と見なされます。この装置は取り扱いが容易で、設置作業の際に取り付け補助具として使用すると便利です。プラットフォームを固定するのに、水平方向のステイロッドを使用する必要はありません。ただし水平方向の偏差については、エンドストップを使用して抑えることをお薦めします。攪拌(かくはん)装置付きのタンクでは、常にステイロッドによって固定する必要があります。前述のように、エラストマーベアリングの使用に際しては、安全上の理由から、タンクも位置の上昇や転倒から保護する必要があります。
C2A with ZPS | Z7 with ZPL |
その他の設計コンポーネント
コーンおよび円錐パン
従来型のスケール製造技術では、機械スケールで非常に高い精度を実現することが可能でした。この実績のある機能を引き出すために、個々のロードセルに対してはハイブリッドスケール用の取り付け補助具「カッターアンドブレード(cutter and blade)」に加えて、「コーン」や「円錐パン」を使用することも可能です。
こうした取り付け補助具は、特に高い精度が要求される計量技術アプリケーション用として提供されています。また商取引に適した製品レンジでも装備されています。このアプリケーションでは、動的ローディングや振動はすべてのケースで不適合となります。
折りたたみ式アーム
折りたたみ式アームは、二重屈曲ビーム形式でロードセルと一緒に使用します。このアームを使用すると、アームのピッチライン上での伸張力や圧縮力を伴うモーメントのない荷重をかけることが可能になります。可能な用途は、通常限定されており、プラットフォーム内にロードセルが1個だけのアプリケーションと、吊り下げ荷重用に両側に配置したナックルアイと共に使用するアプリケーションだけとなります。
ナックルアイ
ナックルアイは、準静的な伸張荷重(荷重サイクル=10 Hz)での使用に適しています。接続の残り部分には、フォークピースを使用するのが一般的です。動的荷重のかかる頻度が高い場合には、曲がりやすいテンションバーを使用する必要があります。
図4-10の表は、ユーザーの方が簡単に部品を選択できるように、対応する取り付け補助具と該当するロードセルに使用可能な付属部品を示したものです。その他の新しいコンポーネントに関するHBM製品の最新情報もご参照されることをお薦めします。
固定ベアリングおよびロッカーベアリング
すべてのタンクブラケットがロードセル上に配置されていない場合には、代わりに固定式のベアリングかロッカーベアリングを使用します。固定式のベアリングが使われている場合には、ある程度は既製品のコンポーネントを使用することも可能です。図は、支柱で固定した二重Tキャリアーで構成されたHBM製の固定ベアリングです。この支柱が規定の屈曲部分を生成します。固定ベアリングは水平方向でもタンクの動きを抑えますので、連結部材を使用する必要がなくなります。固定ベアリングの屈曲部分は、ロードセルの変位によってわずかに上昇する可能性があることに留意してください。これにより、計測信号に歪みが発生することがあります。ただし、指定された重量で調整を行うことにより、こうした歪みを大幅に低減することが可能です。
HBM製の取り付け補助具およびアクセサリの概要
HBM製の固定ベアリング
ロッカーベアリングの場合、曲げ応力の代わりにごくわずかな回転摩擦が存在するだけなので、事実上、計測信号の歪みは存在しません(⇒)。ただし、ロッカーベアリングの水平方向の固定力は、固定ベアリングの場合よりも大幅に小さなものになります。したがって、用途によっては最終的に連結部材が必要となる可能性があります。実際のところ、ロッカーベアリングの成形可能な伸縮性のカバーが、汚染の防止や、汚染に伴うロッカー機能の劣化防止に有効なことが実証されています。
固定ベアリングおよびロッカーベアリングの使用が推奨されるケースは、それほど高い精度が要求されておらず、タンク内の重心の位置が水平方向にのみ変化する場合に限られます。これは主として、タンク内の媒体が自由に流れる液体である場合に該当します。
ロッカーベアリングの例
タンクの固定具
ストップ
タンク計量設備の設定はロードセルを基準としており、適切な取り付け補助具を使用した移動が可能、あるいは計量設備自体が移動可能になっています。取り付け補助具は、その機械的な原理によって、ある程度の自動調芯機能を持つか、または自動復元式となっています。このことは、水平方向の許容最大変位の距離で必要となるのが機械的なストップ(停止装置)のみであることを意味しています。こうしたケースで有効性が実証されているものとして、角度ストップに加えてゴム製のパッドがあります。
ストップ
垂直上昇防止装置
タンクの重心が支持ポイントより上にあり、風などの外力の影響が避けられない場合は、タンクが転倒したり持ち上がったりしないよう保護する必要があります。
こうした保護措置は、第2レベルでストップを使用するか、または特殊な垂直上昇防止装置によって実現することができます。垂直上昇防止装置は、例えば支持ポイントの近くで垂直ネジ棒を使用すること等で実装できます。ネジ棒は、タンク側面にある脚部に設けられた穴を通して、非接触で誘導します。その場合、支持具とタンクブラケットの間の最大距離は、ネジ棒上にあるナットによって決まります。タンクブラケットに設けた穴のサイズによっても、水平変位が最大になるのを防げます。
垂直上昇防止装置
ステイロッド
非自動復元ベアリングを使用している時は、タンクを固定するためにステイロッドの使用を推奨します。ステイロッドは、外部からかかった力を受け止める一方で、タンクの動きに対してはできる限り小さな力をかけるように、その寸法と配置を決める必要があります。
以下に示す形式が、ステイロッドには効果的なことが立証されています。:
テンションをかけたロープ:
テンションをかけたロープは垂直方向には全く力を伝達しません。不必要な力のシャントを防止するのに適しています。
テンションをかけたロープ
ステイロッド:
ステイロッドは、水平方向の力により、縦方向の伸張荷重を受けやすくなっています。
したがって、完全な固定を実現するためには、軸ごとに2本のステイロッドを使用する必要があります。
ステイロッド
平らなステイロッド:
平らなステイロッドの場合、受け取った水平方向の変位の結果として縦方向の力が発生します。垂直方向の偏差が屈曲を引き起こし、これが力のシャントにつながります。ただし、平らなステイロッドはそれ自身が「曲がることができる」方向へと曲がるため、たとえ両端で固定して大きな面をねじっても、得られる効果は比較的小さくなります。調整中に発生する力のシャントを考慮することが非常に重要です。
平らなステイロッド
計量システムの動的な励起においては、荷重を繰り返しても曲げ距離が同一になるよう、対称的なクランプ機構とネジ接続(上と下)によってステイロッドを固定することを特に推奨します。
ボルトステイロッド:
ボルトステイロッドで発生するのは、垂直方向のごく小さな力のシャントだけです。しかしステイロッドの傾きが非常に小さくてもステイロッド内に締め付け効果を引き起こす可能性があり、その結果として生ずる摩擦力によって垂直方向の力のシャントが発生します。したがって取り付けの際は、ステイロッドを真っ直ぐに取りつける作業を慎重に行う必要があります。変位が発生してもボルトステイロッドが傾かないように、タンクの固定具も必ず取りつけてください。
ボルトステイロッド
ロッドエンドベアリング付きのステイロッド:
ロッドエンドベアリング付きのステイロッドは、特にボルトステイロッドらしい挙動を示します。ピボットジョイントベアリングは全方向に自由に動くことができるため、傾斜を防ぐことができます。エンドベアリングが付いたこのタイプのステイロッドは、設置作業中にはステイロッドの水平方向の位置合わせが必要ではありますが、それ以外は製造工程の影響を受けにくく、タンク構造の取り付け誤差範囲も大きくなっています。
ロッドエンドベアリングを外側で使用している場合には、接合部のシージング(焼き付き)を避けるために、ロッドエンドベアリングは必ず保護してください。
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エンドベアリング付きのステイロッド
最終的な設置位置では、ロッドエンドベアリングが互いに構造オフセットに統合されるように、(図4-18に示した位置とは対照的に)ロッドエンドベアリングを90°オフセットさせる必要があります。